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20246
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太田述正 2008-3
2008/03/12 16:33
2008=19286=19705
2007=18896=18067=17032=16414=15047
2006=13852=12865=11825
20257
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太田述正 2008.03.12 皆さんとディスカッション(続x82)
2008/03/13 10:24
太田述正コラム#2417(2008.3.12)
<皆さんとディスカッション(続x82)>
<KAZU>
コラム#2413の「2 国際貢献」について意見いたします。
日本の自衛隊を海外に派兵しても血を流すリスクにさらされないのは、日本の
現役指導層の世代に血を流した世代がいないことが大きいと思います。
先の大戦後に、日本はそういった世代の断絶を生じさせていますので、将来、
そのようなリスクを若者にお願いしたときに、今の指導層の世代が毅然と説ける
のかが疑問です。各国の詳細は無知ですが、多少なりとも流血のリスクは世代間
を通じて継承がなされていると想像します。
<太田>
>日本の自衛隊を海外に派兵しても血を流すリスクにさらされないのは、日本の
現役指導層の世代に血を流した世代がいないことが大きいと思います。
それは違うでしょう。
自分自身が血を流す立場にない政治家、ひいては一般国民が、集団的自衛権の
行使はできないという政府憲法解釈なる自己規制をして自衛隊の海外派兵を認め
てこなかったというだけのことです。
>各国の詳細は無知ですが、多少なりとも流血のリスクは世代間を通じて継承が
なされていると想像します。
戦後、国連平和維持活動に参加していないか参加していても犠牲者を出してお
らず、内戦や戦争を経験しなかった国・・当然軍人の戦死者は出ていない・・は
日本以外にもありうると思いますよ。
>太田さんはいかがお考えでしょうか。
私は全く心配していません。ここでは理由の詳細には立ち入りません。
一昨日、「太田総理・・」の収録に出演した元自衛官の6名は、予備自衛官に
登録している女性も含め、大部分が、いざとなったら武器をとり、血を流す覚悟
があると言っていましたよ。
<コバ>
携帯サイト日テレ記事
(http://i21.4cast.co.jp/news/html/104904.jhtml?uid=NULLGWDOCOMO&sid=MYNI)
によれば、オバマ、クリントン両名のドリームチーム(正副大統領同時就任)は難
しそうですね・・。
<太田>
11日、ガーディアンは、クリントンは副大統領候補には絶対ならないだろうが、
オバマは含みを残したとしている
(http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/10/barackobama.hillaryclinton。
3月11日アクセス)のに対し、ファイナンシャルタイムスは、オバマが副大統領
候補になることを拒否したとしており
(http://blogs.ft.com/crookblog/。3月11日アクセス)、
果たしてどちらを信用すべきか・・。
とまれ、オバマは11日に行われたミシシッピ州の予備選で、61%対37%の大差で
勝利しました。これは、予備選の終わった共和党支持者達が、相当数(総投票数
の12%)民主党の予備選に参加し、その4分の3がクリントンに投票したことを考
えると、地滑り的勝利であると言えるでしょう
(http://commentisfree.guardian.co.uk/richard_adams/2008/03/obamas_delta_force.html。
3月12日アクセス)
<Pixy>
--ジョキッチ氏の反論--
>マルコームのコソボ史に対し、ロンドン大学ゴールドスミス校(Goldsmiths)
のジョキッチ(Dejan Djokic)歴史学講師が反論を同じガーディアン紙上で行っ
ているので、紹介しておきます。(コラム#2401)
紹介ありがとうございます。太田さんの情報収集力と各論説を日本語で分かり
やすく紹介される手際の良さには敬服します。
>更に、マルコームの、現在のコソボが社会主義ユーゴスラビアにおいて連邦の
単位でありかつセルビアの自治州であるという二重の地位を(ヴォイヴォディナ
とともに)有していたという指摘は正しいが、
ただ、太田さんのまとめの上記部分については、?です。反論要旨の紹介とは
言え、少々まとめすぎではないでしょうか。
反論中の下記部分ですので、
Malcolm is only partially right in claiming that Kosovo enjoyed a "dual
status" in socialist Yugoslavia - as both a federal unit of Yugoslavia
and as a highly autonomous province within Serbia. Kosovo was defined,
both in the Yugoslav and the Serbian constitution, as one of two
autonomous provinces of the Republic of Serbia (together with Vojvodina).
は、「更に、マルコームの指摘は、現在のコソボが社会主義ユーゴスラビアにお
いて連邦の単位でありかつセルビアの自治州であるという二重の地位を有してい
たという「部分に限れば」正しいものの、ユーゴスラビア憲法及びセルビア憲法
下ではコソボは(ヴォイヴォディナとともに)いずれもセルビアの自治州として
定義されていた。」
でいいのではないですか。
要旨というかそのままの訳ですが「コソボは実質的には自治州ではなくユーゴ
連邦の一部だった」という説が先のマルコーム氏のコラムの重要な論拠だったか
と思いますので、評価材料として反論にある憲法上の地位にも触れてほしいもの
です。
ジョキッチ氏の反論を「コソボが連邦の単位とセルビアの自治州という二重の
地位を有していたという指摘は正しいが」と紹介するのと「二重の地位を有して
いたという指摘は部分的には正しいが、ユーゴ、セルビアの両憲法下ではコソボ
はいずれも自治州と定義されていた」と紹介するのでは、随分と読者の受け止め
方が違うかと思います。
<太田>
当時のユーゴまたはセルビアの憲法に、コソボがユーゴ連邦の構成単位の一つ
であると読めるような規定、例えば輪番制でユーゴの大統領にコソボ代表が就く
といった規定、があったかどうか(私には)分からない以上、私がジョキッチが
憲法に触れた部分を紹介しなかったのは正解ではないでしょうか。
<Pixy>
ところで以前、コソボ独立は国際法上どうなんだ?という話があったかと思い
ますが、コソボ独立の法的な議論については、下記のBBCの2つの記事にそれぞれ
の立場の主張が詳しく書いてあります。
Saying 'No' to Kosovo independence
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7265249.stm
->Romania, Cyprus, Slovakia and Spainの4ヶ国のMEPの反対理由のコメント
ジョキッチ氏の反論にもあった、コソボは憲法上、連邦から離脱する権利は与
えられていないという部分は、上記のスペイン人の意見で初めて知りました。
Legal furore over Kosovo recognition
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7244538.stm
->EUの主張とセルビア、ロシアの反対意見
EUの主張の不自然さ(安保理決議1244に書かれていない「精神」が独立を支持
している。とか、同決議ではコソボはユーゴ連邦の一部とされているため、 独立
でセルビアの主権は侵害しない→確認したが同決議ではそんな言及はない。恐ら
く決議文中の「Kosovo,Yugoslavia」という、どこにでも ある地名の表記を持っ
て、コソボは連邦の一部だと強弁している。EU官僚恐るべし)は必見です。
<太田>
ご教示どうもありがとうございます。
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20258
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太田述正 2007.09..10 つい最近できたばかりのフランス(1)
2008/03/13 10:27
太田述正コラム#2055(2007.9.10)
<つい最近できたばかりのフランス(その1)>(2008.3.13公開)
1 始めに
私は以前(コラム#96で)、「<イギリスとフランスにまたがった>アンジュー
「帝国」<の崩壊に伴う>13世紀におけるイギリスの「独立」こそ世界最初の国
民国家(Nation State)の成立であり・・<この>アンジュー「帝国」が復興し、
フランスのブルボン王朝を打倒する一歩手前までの大スペクタクルが展開するの
が、・・1337〜1453年「英仏」百年戦争です。
15世紀における百年戦争の勝利によるフランスという第二の国民国家の成立を契
機に欧州はフランスを模範として国民国家の時代を迎える、と私は考えています。」
(注1)と記したところです。
(注1)アンジュー帝国(Angevin Empire)と言われても訳が分からない読者が
多いと思うが、コラム#96参照のこと。なお、コラム#61で1291年にスイス地方の
ドイツ語圏の三つの地域が手を携えて、ハプスブルグ家の封建的支配からの独立
を果たしたことが、欧州における最初の国民国家の形成である、と記したところ
だが、これは孤立的な事件であったと考えるべきだろう。
イギリスのフランス文学史家であるロッブ(Graham Robb)が上梓した'The
Discovery of France’は、私のこの認識の後段は誤りであることを明らかにして
くれました。
ロッブによれば、フランスなる国民国家が成立したのは、ごく最近のことだと
いうのです。
(以下、特に断っていない限り
http://books.guardian.co.uk/reviews/history/0,,2165224,00.html
(9月9日アクセス)、及び
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/books/
history/article2263977.ece、
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2007/09/08/borob108.xml、
http://fanset7.blogspot.com/2007/09/discovery-of-france.html、
http://www.ft.com/cms/s/0/f59d5f16-5b5e-11dc-8c32-0000779fd2ac.html
(いずれも9月10日アクセス)による。)
2 ロッブの指摘
(1)フランスとはどんな国か
1961年10月17日、パリのど真ん中でアルジェリア戦争(1954〜62年)に反対す
る3万人のアルジェリア人の非武装で平和的なデモ隊を警官隊が襲い、70〜200人
を虐殺し何百人に怪我を負わせ、死体をゴミ箱やセーヌ河に投げ入れるという事
件(Paris massacre of 1961)が起きる。
この事件が起こったことは、1998年まで秘密にされてきた(注2)。
(注2)これは、ヴィシー政権下でナチスのユダヤ人迫害に手を貸すという人道
に対する罪を犯したとして1998年に有罪を宣告されることになるところの、警視
総監のパポン(Maurice Papon)・・その後ジスカールデスタン大統領の下で財務
相を務める・・が命じたものであることが判明する。
http://en.wikipedia.org/wiki/Paris_massacre_of_1961。9月10日アクセス)
その3年後、ノートルダム寺院の近傍の橋にこの事件についての額が掲げられ
たのだが、いまだにフランス人の五分の四はこの事件のことを知らない。
フランスは、欧州諸国中イスラム教徒の人口が一番多いというのに、現在の大
統領が2005年11月に、暴動を起こしたイスラム教徒たる市民を「クズ(scum)」
と呼ぶような国(コラム#945)なのだ。
このフランスの凋落ぶりは目を覆うばかりだ。
英語圏で知られているフランスの作家は、今や余りばっとしない小説家のウェ
ルベック(Michel Houellebecq。1958年(?)〜)くらいなものだし、フランス
の哲学者に至っては皆無で、デリダ(Jacques Derrida。1930〜2004年)が嘲笑的
に思い出されるくらいのものだ。
フランス料理の人気は下がるばかりだし、パリが流行の中心をニューヨークと
ロンドンに譲ってから久しい。
(2)つい最近生まれたばかりのフランス
実は、フランスなる国民国家は、つい最近最近生まれたばかりなのだ。
(続く)
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太田述正 2008.03.13 皆さんとディスカッション(続x83)
2008/03/13 18:39
太田述正コラム#2419(2008.3.13)
<皆さんとディスカッション(続x83)>
<ちんみ>
--小野田寛郎さん「昔なら戦争になってる。最近の日本人は『国』という意識
が低く、情けない」--
残念ながら、”ゆで蛙”には通じない…
http://www.nikkeyshimbun.com.br/080311-72colonia.html
(貼り付け開始)
日本会議創立記念講演=小野田寛郎さん、日伯を語る=妻町枝さん「日本女性の
会発足を」
ブラジル日本会議(小森廣理事長、上野アントニオ会長)はこのたび、団体と
して正式登録・発足するにあたり、南マット・グロッソ州に牧場を持つ小野田寛
郎、町枝夫妻を招き、記念講演を行なった。約二百人が会場となった文協小講堂
を埋めた。
小野田寛郎さんは、陸軍少尉としてフィリピン・ルパング島に着任、戦争終了
後も二十九年間、山中でゲリラとして潜伏し続け、七十五年に帰国、国内外で大
きな話題を呼んだ。
その後、町枝さんと結婚、次兄のいたブラジルに移住、マット・グロッソ・ド
・スール州で牧場経営のかたわら、二十年ほど前から、「健全な日本人を育成す
る」ことを目的に『小野田自然塾』を主宰、現在日伯間を往復する多忙な日々を
送っている。
〇四年に、ブラジル空軍から、日本人初の「サントス・ドゥモン勲章」、翌年
には日本政府から藍綬褒章を受章している。
上野会長の紹介で壇上に立った小野田さんは現在八十五歳。よく日に焼けた精
悍な表情と真っ直ぐに伸びた背筋は、年齢を感じさせない。
三十三年前に移住した当時の話や、キャンプなどを通じて、青少年を育成する
『小野田自然塾』の活動を披露。
北朝鮮による拉致問題などを引き合いに出し、「昔ならば、戦争になっている
ところ。人権問題としてマスコミは報じているが、〃国権〃の問題。最近の日本
人は、『国』という意識が低く、情けない」と厳しく日本の外交政策なども批判
した。
「権利や自由を優先し、自分の自由のために親や子を殺す状況となった今、国
とは何かを考える日本会議の主旨は大事」と同会議の発足を祝った。
昨年就任した斉藤準一空軍総司令官について、「個人を守る医者や弁護士では
なく、国防のトップに日系人が選ばれたことは日本人・日系人がブラジルで尊敬、
信頼されている証」と軍人ならではの視点で語り、今年四月に神戸で行なわれる
百周年式典に斉藤総司令官を招待する働きかけを行なっていることも明らかにし
た。
ブラジルに移住するきっかけについて、帰国後に送られた見舞金や義援金の使
い途を聞かれたことや、それを靖国神社に寄付したことで、「戦争を美化する行
為」などとマスコミに書き立てられたことを挙げ、「三十年間、国にために戦っ
てきたが、もう日本には住めないと思った」としたうえで、「移民、二、三世の
ためにも本国である日本がしっかりして欲しい」と強く語った。
「戦争で人間の強さ、弱さを見てきた。子供たちには『夢を持て』と言ってい
る」と約二十分にわたって語った。
(貼り付け終わり)
絶滅したはずの 日本の 武人(士)が”健在”ですね〜♪ デオドラント社
会で養殖された現代日本人と、見た目は同じでも 全く別物です。
そういえば北海道の山菜の”王様”キトピロ(行者にんにく)も、野生と養殖
では、全く見た目は同じでも 全く別物・・匂いも味も断然 野生のものが旨〜
い!
やっぱ ”ほんもの”に 贋物が敵うはずもありません。
軍隊では決してない日本の”自衛隊”も、その存在自体が贋物故の不細工さを
際立たせていますね〜。
<太田>
先の大戦を徹底して戦い抜いた小野田寛郎氏の爪の垢でも煎じて飲んで、われ
われとしては日本の戦前史の再構築を図るべきでしょう。
その観点から注目されるのが、「先の大戦正戦論から脱する米国?」シリーズ
(コラム#2410、2412。未公開)で紹介した、米国のベストセラー作家ニコルソ
ン・ベーカーの新著です。
ロサンゼルスタイムス等に続いてニューヨークタイムスにもこの本の書評が出
た(http://www.nytimes.com/2008/03/12/books/12grim.html?pagewanted=print。
3月12日アクセス)のですが、ガンディー流非暴力主義でヒットラーに対処すべ
きであったしているベーカーの所論の弱点だけをもっぱら攻撃する、という幼児
的書評であるところに、東部リベラルに与えたこの本の衝撃がうかがい知れます。
つまり、書評の中に日本の話が全然出てこないのです。
(わずかに、1941年12月8日に米下院でただ一人対日宣戦に反対した共和党のジ
ャネット・ランキン(Jeannette Rankin)議員への言及がなされているだけです。)
ベーカーはローズベルトが執拗に日本を戦争へと追い詰めていった経緯を史料
に語らせる形で詳述しており、これについては書評子はベーカーを攻撃しようが
なかったということでしょう。
ワシントンポストや、ガーディアン等の書評が待たれるところです。
<コバ>
--東シナ海ガス田問題、日本に理がある?--
太田さんのコラムで、ナンバーは失念しましたが、東シナ海ガス田問題をめぐ
って日本が国際裁判所に訴えた場合、中国の主張(大陸棚の自然延長論?)に分
があるといったコラムがあったと思います。
しかし中国高官が、裁判に訴えた場合には日本が勝つだろうと、国際法上、日本
の主張に理があると事実上認めた
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080312-00000066-san-pol)と産経新
聞が報じています。中国は国際裁判手続きに入ることは拒否しているようです。
日本が主張する中間線が認められる可能性も高いのでしょうか?
ただ、日本が軍事も外交も放棄している現状でこのような問題をヒートアップ
させるのは非常に危なっかしいように思えます。中国と関係を親密化させて、友
邦としてガス田共同開発が出来ればいいのですが。
<太田>
コラム#1253ですね。
ただし、「日本が国際<司法>裁判所に訴えた場合、中国の主張(大陸棚の自
然延長論?)に分がある」というのは、私の友人の話である旨断っています。
このコラムへのコメントもブログでご覧下さい。
話は変わりますが、
「民主党は六日、国土交通省OBの天下り先団体で道路特定財源の無駄遣いが相
次いで明らかになっている問題に関連し、天下り先団体への関係省庁からの公費
支出を禁止する法案を今国会に提出する方針を固めた。・・菅直人民主党代表代
行は、・・公費が支出されなければ、成り立つ団体はほとんどなくなるのではな
いか」と説明した。
さらに「もし修正協議があれば、その土俵に乗せるにふさわしいテーマだ」と述
べ、与党側と道路特定財源問題の修正協議に入った場合、この法案の成立を求め
ていく考えを明らかにした。」
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008030702093330.html。
3月7日アクセス)
というのですが、それが本当なら民主党に拍手を送りたいですね。
今度の総選挙は、天下りの禁止、ひいては政官業の癒着構造の打破をマニフェ
ストの中心に据えて民主党は戦うべきでしょう。
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20276
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太田述正 2008.03.02 あたごの衝突事故(1)
2008/03/14 17:37
太田述正コラム#2398(2008.3.2)
<あたごの衝突事故(その1)>(2008.3.14公開)
(本篇は、「フォーラム21」用原稿を執筆するために作成した、あたごの衝突
事故に関するメモです。既にコラムで書いたことと大幅にだぶること、典拠はつ
けなかったことをお断りしておきます。)
1 始めに
2月19日午前4時7分ごろ、千葉県・野島崎の南南西約40キロの太平洋で、海
上自衛隊の最新鋭イージス護衛艦あたごが、マグロ漁に向かって千葉県勝浦を出
た漁船の清徳丸(7.3トン)と衝突し、漁船の2人が行方不明になった事件とその
後の防衛省の対応をどう見るべきなのでしょうか。
2 衝突事故について
イージス護衛艦あたごの衝突事故と、1988年の潜水艦なだしおの衝突事故(30
名死亡)は、どちらも船がたくさん行き来する海域で起こったものですが、両者
を比べてみると、海上自衛隊や防衛省(庁)の劣化が1988年当時より更に一段と
進んでいるという感が否めません。
海上衝突予防のために世界共通の回避ルールが定められており、大きい船も小
さい船も同じ扱いになっていますが、実際問題として、小さい船の方が、小回り
が利くし、停止することも容易である上、衝突した場合に小さい船の方がダメー
ジが大きい(注1)ことから、衝突回避により配意すべきである、というのが船乗
りの間の常識であると言ってよいでしょう。
(注1)後の米大統領ジョン・F・ケネディ中尉が率いる魚雷艇が1943年、ソロ
モン諸島の近くで日本の海軍の駆逐艦「天霧」と衝突し、天霧はほとんど無傷だ
ったが魚雷艇は沈没し、同中尉が九死に一生を得た話は有名。
ですから、なだしおの事故の場合、釣り船がなだしおに気付きながらなだしお
に近付きすぎて衝突に至ったものであること、潜水艦は漁船よりもむしろ回りが
見えにくいこと、等を考えれば、私は、裁判でなだしお側により大きな過失があ
ったとされたのはおかしいと思っています。
もちろん、なだしお側が事故後、航海日誌を改竄したことは誉められたことで
はありませんが、改竄したかった気持ちも分からないでもありません。当時は現
在よりもはるかに世論が自衛隊に冷たかっただけに、一方的になだしお側が責め
られることを予期して、少しでも風圧を緩和しようとした、と想像されるからで
す。
ところが、今回の衝突事故では、あたご側の肩を持つのは極めて困難です。
最新の対水上レーダーを備え、何人ものレーダー監視員、見張り員、当直士官
らが運航に携わっていながら、日本近海で自動操舵を続け、漁船団が接近してい
るという認識を明確に持たず、また、その漁船団内の清徳丸の存在についてはど
うやら完全に見過ごし、衝突一分前になってようやく気づいて手動操舵に切り替
え全力後進をかけたものの衝突してしまったというお粗末さです。
相手は漁船団ですから、いくら個々の漁船が小さいからと言って、漁船団側が
衝突回避にあたご側より配意すべきであったとは言い難い面があります。しかも、
漁船よりあたごの方が、周囲がより遠くから、しかもはるかによく見えるし、見
ている眼も沢山あったのですからなおさらです。
その上、なだしおの事故の当時とは違って、現在はアルカーイダ系テロリスト
による米軍や自衛隊への攻撃だってありえないことはない状況になっており(注2)、
米海軍及び海上自衛隊の重要な基地である横須賀から太平洋へ出入りする時には
海上自衛隊の艦艇は警戒を怠ってはならないはずです。
(注2)9.11同時多発テロが起こった2001年の前年の2000年10月、イエメンのア
デン港に燃料補給のために停泊中の米イージス駆逐艦コール号に対し、小型ゴム
ボートが接近して爆発し、コールの乗員のうち17人が死亡し、39人が負傷し、同
艦が航行不能となり、そイスラム過激派が犯行声明を出した。
そうなると、いくら夜明け前であったとはいえ、艦長が仮眠をとっていたこと
自体問題なしとしません。
3 事故後の防衛省の対応について
事故後の防衛省(庁)の対応も、なだしおの事故の時に比べて今回の事故の対
応のまずさは際だっています。
清徳丸に気付いたのは1分前だったと発表してからしばらく経って気付いたの
は12分前だったと訂正したのはよしとして、この訂正の公表が遅れたこと、捜査
にあたる海上保安庁の了解をきちんと取り付けずにあたごの航海長を事情聴取の
ために防衛省にヘリで連れてきたこと、しかもこの話を公表しなかったこと、こ
の事情聴取に係るメモ作成の有無や事情聴取内容についての説明が二転三転した
こと、これに限らず、大臣、次官、海幕長らによる記者会見の内容に食い違いが
多発し、また、記者会見時の態度がしばしば顰蹙を買ったこと、等目もあてられ
ない有様でした。
(続く)
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20277
■
太田述正 2008.03.14 皆さんとディスカッション(続x84)
2008/03/14 17:46
太田述正コラム#2421(2008.3.14)
<皆さんとディスカッション(続x84)>
<鎌倉人>
コラム#2333に関連してですが、我が国にとっては、マケイン氏、オバマ氏、ク
リントン氏の内、誰がよいのでしょう?
いわゆる新中国派が大統領になると我が国には良いことがないように思います。
親日派の大統領だと我が国に有利ではないかと思うのですが・・。
副大統領に成る人が親日派というのも・・。
<太田>
読売ウイークリー2008年3月16日号の記事
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw08031601.htm
によれば、3人の対日姿勢は次のとおりです。
(この記事には、3人のブレーンの一覧表も載っており、参考になります。)
マケインは「知日派だ<が、だ>からといって、日本に甘い顔をするとは限ら
ない。・・日本を標的とした貿易関連法案に反対する一方で、日本の軍政ミャン
マー支援を批判したこともある。91年の湾岸戦争時は、「関係国は応分の負担を
すべきだ」と日本に厳しい姿勢を示した。」
オバマは、「安倍首相(当時)が訪米した07年4月、・・上院本会議で行った発
言では、日本を「米国の最も緊密な同盟国の一つ」と位置づけ、 北朝鮮の核開発
やミサイル計画の脅威に協調して対処し、対テロ戦争やアフガニスタン支援、平
和維持活動、環境問題での貢献を評価している。<しかし>その一方で、日本へ
の要望として、「日本経済にはまだ輸入や外国直接投資に対して閉鎖的分野があ
る」と強調し、規制撤廃を求めたほか、(従軍慰安婦問題など)過去の歴史と真
摯に向き合うよう求めている。」
「ヒラリー候補があまり日本に関心を持っていないのは多くの関係者が指摘し
ている。」
こういうことですから、オバマとマケインは大差なさそうである一方、クリン
トンは日本に関心がなさそうですね。
ただ、日本は米国の属国である以上、あえて論じるに足らないと考えていると
思われるクリントンは、一番正直なのであって、その限りにおいては、私として
は彼女を高く評価したいですね。
<安>
太田様、はじめまして。
私は、安/アンと申します。
いつもブログ楽しみに拝見しています。
有料会員でないのでいつも楽しく拝見しながら少し申し訳ない気がしてメール
させていただきました。
いつも、ありがとうございます。
私にとって、太田さんのブログは内容のみならず、論理的な文の書き方なども
含めて本当に勉強になっています。
今後も革命を起こせるようにがんばってください。応援しています。
これから徐々に暖かくなるとはいえ急に冷え込んだりします。
どうぞ、ご自愛くださいませ。
3/8(土)
<太田>
3月3日以来、10日間と8時間近く、ビジネスメルアドでメールを受け取れな
いというひどい障害が起こって皆さんに大変ご迷惑をおかけしておりましたが、
今朝0800前復旧したようです。
そういうわけで、安さんのメールの先程拝見しました。
応援まことにありがとうございます。
ところで、
「石破氏は当初、守屋武昌前事務次官と軍需専門商社の癒着発覚を受けて「調
達すると必ず間に商社が入ってくる。こういう国はそんなにない し、このやり方
に相当の問題がある」と指摘。同チームも商社を介在させない調達方法を検討し
た。だが海外メーカーから「商習慣の違いがあり、商社活用が効率的」との声が
出たほか、防衛省が直接契約するには省内の人材育成が必要で「コストがかかり
すぎる」(防衛省幹部)と判断。チェック機能強化で調達効率化 を図ることと
なった。
(http://www.asahi.com/politics/update/0310/TKY200803100310.html。3月11日アクセス)
のだそうですが、「商習慣の違いがあり、商社活用が効率的」とは、天下りを受
け入れなければならず、政治家にもカネを出さなければならず、従って価格を膨
らませなければならないので、商社を介在させざるをえないという意味であり、
「防衛省が直接契約するには省内の人材育成が必要で「コストがかかりすぎる」
とは、天下りができなくなるのでメリットがないという意味です。
外国のメーカーも防衛省もまことに率直で気持ちいいくらいですね。
次に、3月3日に、米国防省が毎年恒例の「中華人民共和国の軍事力
(Military Power of the People's Republic of China)」レポートを公表した
件です。
このレポートでは、例年通り、中共の台湾に対する軍事力の行使シナリオとし
て、海上封鎖を行いながら航空/ミサイル攻撃をするという限定的作戦と本格的な
着上陸作戦の二つが考えられるとしつつ、今年の版では興味深いことに、人民解
放軍がこのどちらの作戦を遂行する能力もここ数年顕著に改善していないどころ
か、低下している可能性さえあると記述しています。
その上で、人民解放軍は、限定的作戦を遂行することは能力的に厳しく、着上
陸作戦を遂行することに至っては能力的に無理であると指摘しています。
注意すべきは、このレポートに言う「台湾」には、(当然のことながら、)大
陸にほとんどくっついていると言える(台湾領の)金門、馬祖両島も含まれてい
ることです。
すなわちレポートは、台湾本島の占領はもとより、金門や馬祖を占領すること
すら、現在人民解放軍が通常行っている訓練の域を超えていると明確に述べてい
るのです。
というわけで、レポートは、台湾は中共による軍事作戦を抑止するためには、
防衛施設や装備のうち、少数の重要分野への投資(modest target investments)
だけで十分であると結論づけています。
(以上、http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/03/12/2003405190
(3月12日アクセス)による。)
読者の皆さん。
台湾に対してすら、まだ中共の「脅威」はこんなものでしかないということで
す。
しかも、以上の話は、台湾近傍に所在する米軍や来援するであろう米軍のこと
はカウントしていないのですよ。
だから、核の脅威以外、日本に対する中共の軍事的脅威なんて、現時点ではゼ
ロなのです。
ついでに言えば、ロシアには、中共のように日本の近傍で軍事作戦を遂行する
考えはないし、そもそもその軍事力はガタガタです。
何のために自衛隊に5兆円もかけているのか、皆さんよっく考えようね。
予算規模はともかく、日本の防衛費は領域防衛のためのものだなどと抜かす寝
ぼけた政治家には歳費を返せと言いたくなります。
最後に、改めて私のTV出演予定をお知らせしておきます。
放映日時 3月14日(金)20時〜
3月21日(金)20時〜
テレビ局 日本テレビ放送網 (NTV)
番組名 「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」
番組URL http://www.ntv.co.jp/souri/
放映日時 3月15日(土)21時〜24時
テレビ局 スカイパーフェクトTV 241チャンネル内
番組名 「日本文化チャンネル桜」の討論番組
番組URL http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1433
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20281
■
太田述正 2008.03.10 「太田総理・・」ダブル収録記
2008/03/16 09:35
太田述正コラム#2414(2008.3.10)
<「太田総理・・」ダブル収録記>(2008.3.15公開)
1 始めに
寝不足気味で「太田総理・・」ダブル収録に出演したのですが、寝不足以上に
不毛な議論に消耗しました。
2 「天下りする官僚は全ての退職金をなしにします」
21日放送のこのマニフェストについての収録は、反対側が平沢勝栄議員、大村
秀章議員、中山泰秀議員(外務大臣政務官)、中野雅至(元厚労省)、私、河辺
啓二(元農水省・医師)、山本直治(元文部省・キャリアコンサルタント)、ア
ントキの猪木、ケビン/クローン。賛成側が山本モナ、太田光総理、田中秘書、
古川元久議員(元大蔵省。民主党)、前田武志議員(元建設省。民主党)、堤和
馬(ジャーナリスト)、木下優樹菜、DAIGO、八田亜矢子、メッセンジャー黒田、
若林亜紀。
前にも天下り問題を同じ番組でやっているので、今イチ面白くありませんでし
た。
私としては、天下りは所属官庁の人事当局が行う人事異動であって、天下る官
僚の給与をカットするに等しい退職金カットをやるのは筋違いだ、という点を述
べることができたので役割は果たしたと思います。
これに対し、太田総理が、「太田さんの言うことはいつもマニアックだ」と言
ったのにはガックリきました。
なお、フリップの多くに私と似た人物のマンガが描かれており、フリップが用
いられるたびに笑いを呼んでいました。
3 休憩時間
服装はともかく、せめてネクタイくらいは変えようと思って二本目のネクタイ
を持参したのですが、そのことを忘れてしまい、結局同じネクタイのまま二本目
の収録に向かいました。
次の収録前に、元陸曹の須賀雅則さんと懇談。須賀さんは私の有料読者で、先
般拙著も私から購入された由。著書の『自衛隊2500日失望記』(光文社。2008年
2月)を贈呈されました。ただちに頁をパラパラめくってみたところ、私の物の
考え方とほとんど同じでした。
4 「防衛予算を半分にします」
14日放送のこのマニフェストについての収録は、反対が山本一太議員、秋元司
議員(防衛省政務官)、品川祐、潮匡人(軍事評論家。元自衛官)、田中洋志
(元自衛官)、福島和可菜(元自衛官)、羽野晶紀、武田テキサス(元自衛官
(レンジャー))、松行オラキオ(武田テキサスの相方)、ケビン・クローン。
賛成は森永卓郎、私、浅尾慶一郎議員(ネクスト防衛相)、渡辺周議員(民主)、
木下優樹菜、安芸月ひろみ(元自衛官)、須賀雅則(元自衛官)。
もともとの「脚本」では、私は元防衛庁、元自衛官の方々は元自衛隊員になっ
ており、収録の冒頭、森「議長」が「6名の元自衛隊員と元防衛庁の太田さん」
と紹介したことに、ちょっと経ってからクレームをつけました。防衛庁(省)と
自衛隊はイコールであり、事務次官以下、全員が自衛隊員だからです。
これはささいな、どうでもよいことと思われるかもしれませんが、一時が万事、
議員やタレントの方々が余りにも防衛問題について基本的なことをご存じないの
で、議論は発散し続けました。
まず、太田総理は、あたごの衝突事故を引き合いに出して、あんな自衛隊はい
らない。どうせ自衛隊を持つのなら、米国とも戦えるような自衛隊にして、米国
によって占領されないようにすべきであり、そうしないのなら、防衛予算をバッ
サリやるべきだと繰り返すのです。
日本は既に米国に占領されている、と何度ものど元まで出かかったのですが、
結局言えずじまいでした。
本日の太田光は、いつもの生彩を欠いているように見えました。
いや、最初の収録の天下り問題はともかくとして、日本の防衛問題について、
初歩的な知識すら持っていない日本人が多く、また、勉強しようと思っても基本
的なことについて情報開示がなされていないことから、太田光ほどのタレントに
とってもなかなか手に負えない、ということなのでしょう。
他方、山本一太議員は、北朝鮮のノドンの脅威を強調し、防衛予算を大幅に減
らすなどもってのほかと繰り返し、他方浅尾議員は、自衛隊は、イージス艦等、
守りの装備・部隊ばかり持っているところ、攻めの装備・部隊も併せ持つように
すれば、防衛予算を大幅に減らすことができると繰り返すのです。
私はこれに対して、「(党こそ違えども、)両者とも日本の領域防衛のことし
か念頭にないとは何たるレベルの低さだ。ソ連の脅威華やかりし時・・実はソ連
の脅威なんてウソだったのだが・・現在の北朝鮮よりはるかに沢山のスカッド等
の弾道弾を極東ソ連軍は持っていたが、これが脅威だという議論も、また、だか
ら弾道弾発射基地を叩く攻めの装備・部隊を自衛隊は持つべきだという議論も当
時なかった。要するに在来型弾頭搭載の弾道弾などさしたる脅威ではないのだ。
そのソ連も今はない。
領域防衛の観点からは、(核の脅威には米国の核抑止力を維持強化すれば足りる
ことから、)現在対処すべきは北朝鮮によるテロリスト的攻撃だけだと言っても
過言ではない。この脅威だけに対処するのであれば、防衛予算は半分どころか10
分の1にだってできる」という趣旨の話をしておきました。
こういった議論は、一般の視聴者には相当むつかしい議論だと思います。
せめて、番組制作者はこういった議論だけに的をしぼるべきだったと思います
が、番組制作者は欲張りもいいところであり、出演した自衛官達それぞれに体験
談を長々としゃべらせたため、話が散漫になった上、こちらの関係では、果たし
て自衛官は有事に命を捧げる決意があるのか、というもう一つの面白いテーマが
浮上しつつも、やはり掘り下げた議論には至りませんでした。
なお、採決の際、2回分のどちらにも出たのは私だけであったところ、勘違い
してしまって、反対の札を投じてしまいました。
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20282
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太田述正 2008.03.05 皆さんとディスカッション(続x85)
2008/03/16 09:43
太田述正コラム#2423(2008.3.15)
<皆さんとディスカッション(続x85)>
<有料読者MN>
大変ご無沙汰いたしております。 MNでございます。
日々勉強させていただいております。
コラム#2421を拝読いたし、Military Power of the People's Republic of China
のくだりについてですが、来週土曜に行われる台湾総統選挙の際、同時に行われ
る予定となっている公民選挙で「国連への独立国としての登録を行うか否か」が
問われると。
>結果によっては世界初の公民決議による独立国登録であり、中台関係の転換期
になることは明白(典拠失念)。
という言説を目にしたことがあります。総統選挙もいよいよ来週です。
中台関係の転換期なのか、はたまた公民決議の有効性の転換期か。
フト神戸空港建設にかかる住民決議を想起してしまいますがそれはさておき。
投票の18日前に、(タイペイタイムズ経由で)かようなアナウンスメントがア
メリカからあったことにより人民解放軍くみし易し、という世論が台湾で広まれ
ば公民決議の結果も含め、中台関係がまたしてもホットになりますね。
個人的には、決議結果がどうあれ、国連は加盟を認めないだろう、と考えてい
ますが・・・
時期的にも非常に面白いコラムを読ませていただいたもので、一筆差し上げま
した。
ありがとうございました。
今後のコラム展開に、ますます期待いたしております。
季節の変わり目、どうかご自愛の程を。
MN 拝
PS 僕も東芝のノートPC買いました^^
<太田>
本来原典にあたるべきだし、少なくとも複数の典拠によるべきなのですが、時
間がないので、台北タイムスだけに拠りました。
(一日2篇のコラムの配信はきつい。何か所用ができると睡眠時間を削る必要
が出てきます。それこそ、執念で毎日続けていることをご理解下さい。)
とはいえ、同紙はかねてから民進党寄りの論調であり、しかもこれまでの報道
は信頼性の高いものなので、大丈夫だと思った次第です。
昨日の「チャンネル桜」での収録の合間にこの記事のことを話したら、田久保
氏は、原典にはそんなこと書いてなかったとおっしゃり、川村氏は、(台湾の今
度の総統選の民進党候補者の)謝長廷がそんなことを言っていたとおっしゃって
いました。
>投票の18日前に、(タイペイタイムズ経由で)かようなアナウンスメントがア
メリカからあったことにより人民解放軍くみし易し、という世論が台湾で広まれ
ば公民決議の結果も含め、中台関係がまたしてもホットになりますね。
これは鋭い分析ですね。一本まいりました。
ボイコット論がくすぶっていた国民党が、国連加盟申請の是非を問う住民投票
(ただし、「台湾」名ではなく「中華民国」名)への参加を決定した
(http://mainichi.jp/select/world/news/20080313ddm007030097000c.html。3月15日アクセス)
のは、このレポートが出た以上、住民投票の実施は中共を刺激して軍事干渉を誘
発しかねないという議論が説得力を失ったからかもしれませんね。これで、どう
して軍事力強化を推進してきた民進党が、軍事力強化の足をひっぱりかねないこ
のレポートを「活用」するのかも説明がつきますね。
<コバ>
太田総理、飛び飛びですが楽しく見させていただきました。最後の視聴者から
の意見で、自衛隊OBの方が自衛隊の皆が皆、守屋ではない、という意見が印象的
でした。むしろ、政治家や他の防衛省高級官僚の責任が何も問われずに、守屋氏
だけを悪だと仕立て上げて、防衛省問題が幕引きされようとしている日本社会を
見るにつけ、実は日本人全てが守屋なのではないのだろうかと思いました。防衛
省の腐敗構造は根っこから何も解決せずに、次の守屋が出てくるのも時間の問題
です。こういう状況こそ政治が払拭すべきだと思うのですが、政治家の皆さんも、
頑張っている人たちも多いと国民に擁護されるようになってもらいたいものです。
<大阪の川にゃ>
--「MDよりも精密誘導弾」も利権--
3月14日の「太田総理」を見ました。我ながら暇です。
1、民主党「次の」防衛大臣浅尾さんという人が、精密誘導弾があれば北朝鮮の核
サイトを攻撃して無力化できる、という発言をしました。真顔でした。以前に自
民党山本一太さんも同様の発言をしていました。
山をくり抜いた中や地下に、核ミサイルを配備するでしょうに、通常火薬で攻
撃しても山肌や地面の表面を数メートル削るだけでしょう。それなのに、やられ
る前に再び「真珠湾攻撃」をやれっていうんですから。これも利権がらみでしょ
う。
北の水力ダムを攻撃して核攻撃と同等の被害を与える事をもって抑止力とする、
というならまだ分かりますが。
2、元自衛官の須賀議員が「地下シェルターが先。」と発言していました。地下シ
ェルターが極めて有効だ、というのはどうやら真実のようです。
野村英三氏という方は広島の爆心から170mの離れた事務所の地下室に偶前いた
ので難を逃れました。氏は被爆後に救助活動を行っていて急性放射線障害を発症
しましたが、昭和57年(84歳)まで長生きされました。
http://blogs.yahoo.co.jp/kanazawa_sanetoki2004/1222857.html
<太田>
確かに日本の核シェルターの普及率が異常に低いことは事実です。
(データの信頼性は保証しません。)
スイス :100%
イスラエル :100%
ノルウェー :98%
アメリカ :82%
ロシア :78%
イギリス :67%
シンガポール:54%
日本 :0.02%
http://kobanzaru.seesaa.net/article/27151157.html。3月15日アクセス
しかし、加速ロケットの推進で上昇する(ブースト段階)が終了すれば、着弾
地域が日本領域内か否か判別は可能であり、2分以内に警報を発することが理論
上は可能
(http://www5f.biglobe.ne.jp/~kokumin-shinbun/H15/1509/1509037repulse.html。
3月15日アクセス)ですが、それが1000km飛んで名古屋-大阪地域に到達するの
に10〜12分しかかからないと推定されています
(http://chorea.hp.infoseek.co.jp/dprk/nbc/missile.htm。3月15日アクセス)。
ですから、仮に警報がただちに発せられたとしても、果たして10分くらいでみ
んながシェルターに入れるか疑問です。
それに、お金があって自宅にシェルターをつくってあったとしても、勤務先や
学校に行っておれば役に立たないので、公共のシェルターを公費でつくる必要が
あります。しかし、地下鉄や地下街の建設の際に核シェルターを兼ねさせるとい
う発想が全くなかったので、これから全部新たにつくらなければなりませんが、
莫大な資金が必要です。
「ソ連の脅威」の当時の何百という対日指向弾道弾(核・非核)にも、中共の
現在の何十(?)という対日指向弾道弾(核)にも平気の平左で核シェルターを
つくっていないのに、北朝鮮の、核搭載能力があるかどうか疑わしい、90発プラ
スアルファのノドン(The Military Balance 2007 PP358)にあわてふためくとい
うのは全く整合性がないと思いませんか。
在来弾頭搭載のノドンの脅威など、無視すればよいのだし、仮にノドンに搭載
可能な核弾頭を北朝鮮が持っているとしても、使ったら米国が平壌を報復核攻撃
をする可能性が大である以上、そんな自殺的行為を金正日が冒すはずがありませ
ん。
それでも不安だというのなら、日本は米国に吸収合併してもらうか、米国から
「独立」した上で核武装するか、という二つのオプションしかありませんね。
前にも申し上げたことがあると思いますが、米国は前者に反対することはあっ
ても、後者には反対しないだろうと私は考えています。
<Yoshu>
14日の太田総理視ました。もう少しで視そびれるところでした。
太田さんの発言が聞き取りにくく、仰りたかった主旨が、わかりませんでした。
でも、コラム#2421の終わりの方を読んで、やっとわかりました。
私自身も、利権ばかりが騒がれていて、今のように集団自衛権のない国防に対
してなら、防衛費半分にすることに賛成です。
来週の放映も、楽しみにしてます。
<太田>
私自身、忙しさに取り紛れて見ていません。録画するのも忘れてしまいました。
どうやら、私の発言はほとんどカットされてしまっていたようですね。
まあ、毎回私が主役というわけにもいかないでしょうから、致し方ありますまい。
<六円>
今日、丁度「太田総理・・」で見かけたものですから。ちょっと一言お邪魔さ
せてもらいました。
太田さんの米国の属国などと言うはっきりした発言は好きです。
実質そうですから。
でも、もっと堂々と主張して欲しいと願います。
画面で見るとちょっと弱く感じるのが残念なので。
今しがたチベット、ラサで中国による鎮圧の最中らしいニュースが流れていま
した。
陸続きの国の不幸です。
自治区と言われるとごまかしに気がつかない人も多いですが、他国です。
米国への批判なり、必要ですし、ネタもありますよね。
でも、日本にとっての一番の脅威は中国というのが、安全保障の常識でしょう。
中国には建国以来の侵略の実績と継続性が今に至るまであるわけですから。
日本に同時多面対応は大変です。米国は後でいいんです。
中国に対しての「ザクっと」した所もたのみます。
<Japanfinder>
太田さま はじめまして。
産経に「中国海軍、米軍に「太平洋分割管理」提案 露骨な野心」
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/129382/)というニュ
ースがでております。
産経の古森義久解説委員は、すでに中国は1000発の中距離核弾頭を配備してお
り、毎年100発ずつ増やしているといっています
(http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/504348)。
いまのままでゆくと2020年辺りに、中国は圧倒的軍事力を持ち、日本を中国領
日本としてしまうだろうと、リバティー2007年10月号で、伊藤貫さんはいってい
ます
少しそのあたりのご意見をお願いします。
<太田>
>すでに中国は1000発の中距離核弾頭を配備しており
引用された古森氏のコラムでも、「福建省地域で短・中距離の弾道ミサイル
CSS6やCSS7・・の数は合計1000基を超えた」とあり、これは台湾向けであって、
日本向けではありません。
「太平洋分割管理」に至っては、同記事が引用している米太平洋軍司令官自身
が言っているように、「冗談」以外の何物でもありません。
いや、せめて中共が空母機動部隊を3組(1組を常に即応態勢に置くことがで
きる態勢)保有するようになるまでは、「冗談」にすらならないと言ってよいで
しょう。
そりゃ現在でも中共は原子力潜水艦なら西太平洋、いや世界のどこの海洋に潜
めさせることもできるけれど、その位置を米国(日本等も協力している)は大ま
かな位置をリアルタイムで把握しており、米国にその気があれば、それほどの時
間をかけずに、P-3C(これも日本や韓国も持っている。近い将来台湾も持つ)で
位置を極限した上でアスロック攻撃をして全滅させることができます。
(ちなみに、中共には米国の原子力潜水艦を探知攻撃する能力はありません。)
米国はテロリストやゲリラといった非対称脅威にはイラクでもアフガニスタン
でも苦戦を強いられているけれど、中共の軍事力のような在来型の脅威に対して
は、滅法強いんですよ。
以上は軍事能力の話ですが、「ソ連の脅威」の頃は共産主義というイデオロギ
ーの脅威もまだ生きていました。
ところが、現在の中共には援用できるイデオロギー的脅威など全くありません。
(そもそも、非自由民主主義体制でも経済発展ができる、なんてイデオロギーで
も何でもありません。)
ですから、当面、中共が日本の脅威になるなんて考えにくいのです。
もちろん、21世紀後半といった遠い将来のことは誰にも分かりませんが・・。
とにかく、本日2100から放送の「チャンネル桜」を見て下さい。
これを言っちゃいけないんだろうけど、ユーチューブで見れるようになること
を期待してます。
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私の考えや当コラムに対するコメントをお寄せになった場合、お断りすること
なく、私のブログの掲示板や当コラムに転載することがあります。なおその際、
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20283
■
太田述正 2008.03.14 日本文化チャンネル桜収録記
2008/03/16 09:48
太田述正コラム#2422(2008.3.14)
<日本文化チャンネル桜収録記>(2008.3.16公開)
1 始めに
このところ、コラム執筆以外で忙しく、本日も寝不足のまま、渋谷にある日本
文化チャンネル桜に赴き、同社のスタジオで明日2100から放送される討論番組の
収録に臨みました。
1400から1800まで、間に2回の休憩を挟んで収録が行われたのですが、最後の
あたりで、寝不足が目に来て、しょぼついてしまい、何度もコップの水でハンカ
チをしめらせては目を拭い、かろうじて最後まで議論を続けることができました。
討論参加者は、日本文化チャンネル桜社長・水島総、日本財団・山田吉彦、岡
崎研究所理事・佐藤守、拓殖大学海外事情研究所教授・荒木和博、岡崎研究所副
理事長・川村純彦、杏林大学客員教授・田久保忠衛、法学博士・平間洋一、帝京
大学短期大学人間文化学科准教授・潮匡人(コラム#2414)各氏と私です。
このうち、佐藤守(空)、川村純彦(海)、平間洋一(海)、潮匡人(空)の
各氏は元自衛官です。(括弧内は自衛官当時の区分。元陸上自衛官がいない!)
また、荒木和博氏は予備自衛官(2等陸曹)だそうで、何と自衛官の制服を着
用して収録に臨んでおられました。
予想した通り、水島(私を呼んでくれた人です)、平間(かつて私が防大総務
部長をしていた時の同校図書館長。歴史学者。コラム#1651参照)両氏はともかく
として、残りの全員と私が対立するという進行になりました。
途中で潮氏が、昨日の日テレの番組で太田さんとご一緒したと発言したとき、
うっかり今日ですよとアホなことを言ってしまいました。まだ、私はテレビずれ
してないってことですが・・。
2 議論のあらまし
何せ、実質3時間にも及ぶ議論なので、とても簡単に要約はできないのですが、
私と他の各氏との主要対立軸は以下のとおりです。
・現在日本に対する直接的な軍事的脅威は(核の脅威を除き)ないv.ある
・「ソ連の脅威」はなかったv.あった
・日本の領域防衛の話などするなv.とんでもない
・自衛隊は法理論上も実態も軍隊ではないv.自衛隊は少なくとも実態は軍隊だ
・日本のジャーナリズムを批判しているヒマがあったら利用することを考えよ
v.日本のジャーナリズムは反自衛隊でけしからん
・防衛省キャリアや陸海空自衛隊をかばうなv.かばうべきだ
・自民党を擁護するなv.自民党は民主党よりはるかにマシだ
・法理論上も実態も日本は米国の属国だv.日本は少なくとも実態は独立国だ
・世界や日本周辺の軍事情勢についての議論をしても日本の現状では無意味だ
v.いや議論すべきだ
・日本は全く変わっていないv.日本は次第にまともになってきている
最後あたりで、私が、「皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわ
けだが、何も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ」、と
発言したところ、皆さんシュンとされていました。
とはいえ、全部終わった時点で、皆さんが異口同音に、本日は面白かったとお
っしゃったのでよかったと思います。
本日は、言いたいことの6〜7割は言えたと思います。
スカパー視聴可能の方は、絶対にお奨めですよ。
それにしても、上記対立軸に関しては、私は「左」の人々とはおおむね意見を
同じくし、結論だけが正反対になるのに対し、本日のように「右」の人々とは結
論だけが一致する、というのが何とも悩ましいですね。
私と同じスタンスの人、名乗り出て下さい!
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20302
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太田述正 2008.03.16 皆さんとディスカッション(続x86)
2008/03/16 17:53
http://blog.ohtan.net/archives/51165292.html
太田述正コラム#2425(2008.3.16)
<皆さんとディスカッション(続x86)>
<コバ>
コラム#2423に関し、中国による「ネオ儒教」のイデオロギーも脅威にはならないのでしょうか。東アジアにおいて中国が持つ求心力は、朝鮮半島の人たちだけでなく日本人にも相当影響力があるように思えます。
<太田>
私の造語である「ネオ儒教」(コラム#951、954、957)を持ち出すとは、またまた一本やられましたと言いたくなっちゃいますね。
しかしネオ儒教は、海外の華僑達に対してはともかく、対外的には大きな影響力を持つことはまずありえないでしょう。
それに、これは後知恵というやつですが、チベットでの騒乱を見るにつけ、ネオ儒教は中共内においてすら漢人以外に対してはイデオロギーとして機能しないのではないか、そんなイデオロギーの押しつけは、むしろチベット仏教徒やイスラム教徒の反発を生んで中共解体に導きかねないのではないか、という気がしてきました。
<今年も>
コラム#964「崩壊しつつあるフィリピン(その1)」についてです。
アメリカ最高!!
もっと指摘してください!
汚いフィリピーナとキモイおやじを。
<太田>
そんなフィリピンにしてしまったのは、基本的にフィリピンの旧宗主国のスペインと米国、就中米国のせいであることをお忘れなく。
<びり江>
コラム#2414「「太田総理・・」ダブル収録記」についてです。
太田さんがそんなに太田光を買っているとは知りませんでした。
お笑い芸人としてはともかくあの番組での太田光は私には少しも賢明には思えませんが。
以前彼の話はろくに聞いていないとおっしゃっていたのでてっきり自らの主張を広く発信する場として割り切ってらっしゃるのかと思っていました。
<太田>
一流の芸人は、アドリブで臨機応変の対応ができるものであり、これまでは余り知らなかったけれど、あの番組での共演を通じ、私は太田光を高く評価するに至りました。
なお、防衛/安全保障の話を日本人の誰かがしている時は、私はそれが「左」翼であれ「右」翼であれ、はたまたいわゆる軍事オタクであれ太田光であれ、話の細部はフォローしていません。
彼らの話を真面目にフォローしていると、その余りの無知蒙昧さ・・それを責めるわけにはは必ずしもいかないのですが・・に呆れ、腹が立ち、頭がおかしくなりそうになるからです。
おっとちょっと舌が滑った。
「左」翼は、この中では、(非武装とか安保解体といった)結論部分を除けば比較的まともなことを言っている人が多い、と申し上げておきましょう。
なお、岡崎久彦さんら「右」翼については、後でもう一度触れます。
<鎌倉人>
>勘違いしてしまって、反対の札を投じてしまいました。
国を護る仕組みをドゲンカセニャアカンとの思いがあるから勘違いしてしまうということでしょうか?
<太田>
一回目の収録(放送は21日)では私はマニフェストに「反対」だったので混乱してしまったこと、そもそも白票と青票のどちらが賛成でどちらが反対なのかいまだに頭にきちんと入っていないこと、そしてこれが一番なのですが、疲労していた、という三つの理由から勘違いしてしまったのです。
<秋の空>
コラム#2422「日本文化チャンネル桜収録記」に関してです。
<番組への反響が>楽しみです。
ただ、佐藤・川村の両氏もさることながら、直接、岡崎久彦氏と議論していただきたかったです。
ソ連の脅威、現代日本をめぐる軍事的脅威の観点もそう、ジャーナリズムは反自衛隊でけしからん、自衛隊は軍隊だ、日本は独立国だ、そういいながら、日本の論客たちが朝日新聞と産経の間を右往左往している間は、日本の独立もアングロサクソン化・同盟も永遠に実現しないということですね。
ObamacanのSusan Eisenhower支持の在米読者より。
<太田>
岡崎さんには、防衛庁に出向しておられた時に個人的に大変お世話になったのですが、既に拙著『防衛庁再生宣言』の226〜227頁で吉田ドクトリンのイデオローグの一人として批判をさせていただいています。
その後も、コラム#934や#1622で、読者の質問に答える形で岡崎さん批判を展開しています。
例えば、コラム#934をお読みになれば、いかに岡崎さんの情勢分析(「国内」情勢分析ですが)が歪んでいるか・・この場合は昭和天皇の真意を読み違えた・・がお分かりになるでしょう。
これはその後、昭和天皇の真意を記した史料が発掘されたことで議論の余地がなくなったケースですが、岡崎さんの言うことは、一事が万事この調子であろうと認識すべきなのです。
なぜそうなのか。
岡崎さん等の吉田ドクトリン信奉者達とは、要するに戦後体制・・自民党/官僚機構等・・の擁護者であって、その見返りに戦後体制によって庇護されている人々です。
だからこそ、彼らの情勢判断や政策提言が意識的無意識的に歪んでしまうのです。
ご本人達にとってはありがた迷惑かもしれませんが、私としては、彼らのためにも、日本の戦後体制を支えてきた政官業の三位一体的癒着構造を粉砕したいと思って頑張っているのですよ。
<新規有料購読申込者1>
有料会員の申し込みを行います。
現在の世の中、暗闇の中で唯一の光が太田さんです。
防衛大臣になって、防衛省を改革した後、総理大臣になって日本を立て直していただきたいです。
<新規有料購読申込者2>
これまで無料メルマガを購読していました。
当初思っていた以上の広範囲な分野のコラムであったので、有料メルマガであれば更に多くの詳細な知識を得ることが出来ると考え申し込みすることにしました。
<太田>
ここ3ヶ月間購読者数の伸び悩みが続いていましたが、ミニまぐでの配信開始のおかげもあって、先程太田述正コラム購読者数が初めて2800名に達しました。
内訳は、まぐまぐ2526名、ミニまぐ39名、有料読者235名(うち、名誉有料読者7名。なお、上記2名を含む)です。
20308
■
太田述正 2008.03.17 皆さんとディスカッション(続x87)
2008/03/17 13:31
太田述正コラム#2427(2008.3.17)
<皆さんとディスカッション(続x87)>
<安保>
--チャンネル桜を拝見して--
初めて書き込ませて頂きます。
・・・・・・・・・・・ (メルマガよりの抜粋)
最後あたりで、私が、「皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわ
けだが、何も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ」、と
発言したところ、皆さんシュンとされていました。
・・・・・・・・・・・・・・
↑最初から見ていましたが、元防衛庁官僚としての発言にがっかりすることが多
かったです。
上記も勘違いも甚だしいと思いますよ。シュンとしていたのではなく「開いた
口が塞がらない」ですね。
→そりゃあなたの感想でしょう。画面ちゃんと見てました?(太田)
何も変わっていない?の、評価が違うだけです。
自衛隊違憲だった旧社会党もその存在を認め、外国に部隊の派遣も成し、今や
その存在はメディアが叩こうが信頼度は以前に増しているとおもいます。
→自民党と旧社会党はどちらも吉田ドクトリン墨守政党であり、手を握りつつ役
割分担をしていただけです。元から自民党と旧社会党は事実上一つの党だったの
ですよ。
また、危険のない場所に、カネのかかる自衛隊を派遣するなど愚の骨頂です。
なお、メディアは国民感情の代弁者です。(太田)
太田さんは何度も「国民は周辺からの侵略の脅威を感じていない」・・・と、
勝手な能書きを持論として言われていましたが。
→今の話ではなく、1980年代初期の「ソ連の脅威」の頃の話でっせ。今は結構
「北朝鮮の脅威」を感じておられ方がおられるようですね。(太田)
思い込みも甚だしく国民の多くは迷惑千万だと思いますよ。
→「ソ連の脅威」がなかったというのは事実です。
その理由は次の通りです。
1 当時の米国政府が公開文書で水平エスカレーション戦略を打ち出していた。
(欧州正面や中東正面でソ連が軍事攻撃をしかけてきたら、極東正面でソ連を軍
事攻撃し部分的に占領するという戦略)(コラムで累次申し上げている)
2 当時、ソ連の対日志向全地上兵力を北海道北部に着上陸させるという図上
演習を陸上自衛隊が行っていたが、ほとんど無傷で着上陸されたケースですら、
米軍の来援無しで北海道内で陸上自衛隊が勝ってしまうという結果が出ていた。
(番組内で初めて申し上げた)
3 当時、最初の日米共同作戦計画がつくられたが、日本有事に際し、米軍は
夥しい兵力を日本列島に展開する内容だった。(初出)
4 このような「米日の脅威」にソ連が対抗できるだけの軍事力を極東に展開
しなかったのは、地政学的にそれが困難であり、無意味であったためであること
を、私自身、個人的検証の結果納得できた。(コラムで申し上げている)
からです。
そして、この私の認識を、私が編纂した1982年防衛白書に反映させた次第です。
このソ連が崩壊した現在、中共や北朝鮮の軍事的脅威など、「ソ連の脅威」の
頃の軍事的脅威に比べれば、相対的に言って無に等しい、というのが厳然たる事
実なのです。
(以上、太田)
少なくとも私は東支那海の問題をはじめ中国を脅威に思い、北朝鮮には同胞を
拉致された戦争状態であり韓国・ロシアに我が領土を侵略されているのが現状だ
と認識しています。
それが脅威でなくば、脅威とは何を言うのでしょうか?
→領土問題は「ソ連の脅威」の時代からあった話です。
そもそも領土問題が存在することが何で軍事的脅威なの?
チャンネル桜の番組で日本財団の山田吉彦も同じようなことをおっしゃってい
たけど、余りにばかばかしいので反論さえしませんでした。
(なお、コラムをいちいち挙げないけれど、北方領土問題では私は日本側に理
がないと考えており、竹島問題は、そもそも問題視するほどの話ではないと思っ
ていることは、ご承知の読者が多いと思います。尖閣の問題は別です。)
また拉致が軍事的脅威ってのもおかしい。
それじゃ金大中を拉致した朴政権下の韓国は、竹島問題も抱えていたのだから、
二重の意味で日本にとって深刻な軍事的脅威だったことになるけど、あなた本当
にそう思ってます?(太田)
太田さんの言わんとすることは・・・。
日本は独立国ではなく米国の属国であり、自衛隊は軍隊ではない。
日本は世界の平和あっての経済大国であり、世界平和に貢献する目的で自衛隊
を運用すべきである。
それをしないなら周辺諸国からの脅威もないのに今の巨大組織は不要であり防
衛予算を半分にすべきだ。
確かに防衛官僚の観念的意見だと感じました。
→放送はされなかったようですが、この前の日テレ「太田総理・・」で、私は10
分の1にだってできると言っています。10分の9をドブに捨てて良いとおっしゃ
っているわけですが、納税者でいらっしゃるとすれば、その気前の良さは私の理
解を絶します。(太田)
貴方が言うには自衛隊は軍隊ではない。法理論的にも軍隊の体裁をなしていな
い。
それが法的に正しくとも、私にとってはそれでも自衛隊は紛れもなく軍隊です。
→そして、自衛官を称える。そういう贔屓の引き倒しのあなた方が自衛隊を腐敗
させ、堕落させてきたのですよ。(太田)
法というのは、一片の文言であり法治国家にとっても絶対なのもではありませ
ん。
→有事においてはおっしゃる通りです。(太田)
それこそが今の日本の憲法で自衛隊が存在していることが証でしょう。
→軍隊の整備・維持は平時の営みであり、その法的根拠が存在しない・・憲法第
9条はそれを禁じている・・にもかかわらず、自衛隊なる軍隊もどきが整備・維
持されてきたことは法治主義の蹂躙以外の何物でもありません。(太田)
貴方の言うのも屁理屈であり、私も屁理屈なのでしょう・・・が。
→私は理屈を言っているのではなく、法的事実、実態的事実を指摘、開示してい
るだけなのです。(太田)
根本的に日本を変える。
それは占領下で発布された現行憲法を無効にし、大日本帝国憲法を改正するか、
新たな憲法を創憲するかです。
→それが、一番のスジ論であることは確かです。(太田)
太田さんは「方法が間違っていた・・・」と、相手をシュンとさせたと豪語し
ていますが、一体、あの戦後の自虐贖罪社会で、何が出来たのか?
→違う。あなた方も含め、国民のコンセンサスの下で吉田ドクトリンが維持され
て来たのです。(太田)
戦争に敗れれば、皇室伝統も崩壊し、国も分断され、日本はもっともっと悲惨
を極めていたとしても不思議ではないです。
しかし奇跡的にも経済的に急速に復興し、それが為に太田さんが毒づいた「何
も変わっていない・・・」日本社会が続いたのです。
貴方に言われなくても保守を任じる人たちは、百も千も万も承知です。
→そらね。基本的な情報を開示されなかったからやむをえなかったとはいえ、あ
なた方を含め、国民一般がこんな具合に吉田ドクトリンを自画自賛してきたので
す。(太田)
それが如何ともしがたい日本になってしまったから・・・今の日本があります。
→ここはその通り。現在の閉塞状況は、吉田ドクトリン墨守の論理必然的帰結な
のです。(太田)
しかし徐々に変わろうとして来ている。チャネル桜もその証明です。
→月刊雑誌では「諸君」や「正論」等がずっと前からあり、結構売れているのに
対し、TVではパートタイムのチャンネル桜だけしかないというのに、それが変化
のあかしですって!?(太田)
今の日本では太田さんの望むような根本的解決には、三島由紀夫のように武力
による革命しかないのではないでしょうか・・・。
→日本国民一般がそんなバカだとあなたは思ってるの?
安全保障/防衛に関する基本的な情報さえ頭に入れば、彼らは正しい結論を下
してくれると私は信じています。
貴方は確かに防衛庁官僚であり自衛隊員だったのでしょうが・・・。
貴方の言論に啓蒙される者は少ないでしょう。
→私は、もっぱら安全保障/防衛に関し私が承知している法的事実、実態的事実
を指摘、開示することに努めてきたわけですが、「啓蒙」されたくない人には無
理に「啓蒙」してもらわなくても結構です。(太田)
軍隊は経済力に比例し大きくすべきである。
「富国強兵」こそ国家の目標とすべきであり、軍人には国民の模範足るべき資
質を求める。
→そんな寝言を言っているから「右」の人はダメなのです。
ただし、最後のセンテンスだけは、必ずしも間違ってはいないけれど、長くな
るのでここで論じるのは止めときます。(太田)
因みに私の自論は、日本は米国の属国であり独立国ではない。
一日も早く、現行憲法を廃棄し、大日本帝国憲法を改訂し日本国軍を持つ普通
の国なり、駐留米軍を暫時削減させ、自分の国は自分で守り、核兵器を保有する
国家になることです。
→全く同感です。
しかし、結論だけしか私と一緒でないのが「右」の人々の特徴であり、どうし
てそんな結論になるのか、私には気味が悪いですね。(太田)
そんな私でも自衛隊は軍隊です。法的にどうであろうと私はそう思います。
→願望と実態を取り違えてはいけません。
自衛隊は、法理論上も、その実態も軍隊ではありません。(太田)
長々すみません。
→本当は「啓蒙」されたがっておられると拝察します。
早く楽になりましょう!(太田)
<碇シンジ>
--最悪のタイミングでコソボ独立宣言させたアメリカ--
アメリカは、コソボに独立宣言させるのを、遅らせることも早めることも、止
めることもできたはずだが、なぜ今回のタイミングでコソボに独立宣言させたの
か。
セルビア周辺のバルカン半島地域の紛争は、かつて第一次世界大戦を勃発させ
た。
その連想から「アメリカはロシアに第三次世界大戦を仕掛けるつもりで、コソボ
を独立させたのではないか」「アメリカは大不況と金融危機に陥っており、この
経済難を乗り切るため、世界大戦を起こしたいのだ」
中東では今後、イスラエルと、イランなどイスラム諸勢力との戦争が起きる可
能性が高い。
連動してイラクとアフガンの戦争も激化し、米ブッシュ政権は、この時期をわ
ざわざ選んだようなタイミングで、コソボを独立させ、ロシアを反米の方向に押
しやった。
ロシアは、以前からイランを支援してきたが、アメリカの顔色をうかがいながら
だった。
ところがコソボ独立を機に、ロシアは一気に反米親イランの方に傾いた。
<太田>
典拠抜きだといかに妄想が止めどなくなるかの典型ですね。終わり。
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20322
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太田述正 2007.09.11 つい最近できたばかりのフランス(2)
2008/03/17 19:18
http://blog.ohtan.net/archives/51166034.html
太田述正コラム#2057(2007.9.11)
<つい最近できたばかりのフランス(その2)>(2008.3.17公開)
フランスの風景の多くはエッフェル塔(1889年建立)より新しい。
マラリア蚊だらけの沼が干拓されヒースが生い茂る土地や裸の山に木が植えられたのだ。ピレネー山脈のスペイン側の風景こそ、かつてのフランスの風景なのだ。
フランスの絵のように美しい地名の多くは観光業者や地図制作者によって創作されたものだ。
欧州のグランドキャニオンと称されるヴェルドン渓谷(Verdon gorges)・・フランス南東部に位置する・・だって1906年までは少数の木こりにしか知られていなかった。
カゴ(cagot)という、中世のハンセン氏病患者ないしサラセン侵略者の子孫とも言われる「呪われた人種」は、何世紀にもわたって南部フランス全域で迫害されてきた。20世紀になってからでさえ、その迫害は一部の地方で続いた。
1930年代まで、郵便配達員や羊飼い達はひがな長大な竹馬に乗っていたものだ。彼らは8マイル時のスピードで一日75マイル踏破することができた。
ナポレオンの皇后マリー・ルイーズ(Marie-Louise)が馬車でフランスを旅行した時には、羊飼い達が竹馬に乗ってお供をした。竹馬のスピードは馬車よりも速かったのだ。
また、カトリック教会の努力にもかかわらず、キリスト教以前からの巨石の前で豊饒を祈る儀式が20世紀初頭までフランスで行われていた。
しかし、それはフランスが変わったということであって、フランスそのものは昔から存在していたのではないか、と思う人がいるかもしれないが、それはとんだ心得違いだ。
ドゴール(Charles de Gaulle)は、246種類ものチーズがあるフランスを統治することの困難さを嘆いたが、これは大昔からのフランスの役人共通の嘆きなのだ。
つまり、フランスはその歴史の大部分の間、各地方の寄せ木細工でしかなかったのだ。
19世紀の中頃までフランス全体を網羅するまともな地図は存在しなかったし、共通語に至っては全く存在しなかったと言っても過言ではないのだ。
安い自転車が普及するまでは、フランスの大部分の人々にとって、半径15マイル以内の地域における、小さい納屋に収容できるくらいの数の人、が世界のすべてだったのだ。
ピレネー地方へ旅行した人が1837年に、「金星と土星が異なるように、一つ一つの谷が、隣の世界とは異なる小世界を形作っている。一つ一つの村が、一つの氏族(clan)、独自の形態の郷土愛を持つ一種の国家、の趣がある。それぞれが異なった様相を呈し、異なった意見、偏見、慣習を持っている。」と記している。
ナポレオンのマリー・ルイーズの前の皇后ジェセフィーヌ(Josephine)は、亭主ご指定の地図に従って旅行をしたところ、載っていた道路が想像上のものであったため、彼女の馬車を斜面をロープを使って下ろさなければならない羽目に陥った。
フランス全土が、地図、道路、鉄道、電信によって結びつけられたのは、20世紀になってからだ。フランス人全体が同じ日に同じ出来事が起こったことを知るという経験をしたのは、1914年8月の第一次世界大戦勃発の時が初めてなのだ。
19世紀にフランスで55の主要方言と数百の準方言が確認された。
19世紀には兵士や役人は地方に行くとガイドや通訳が必要だった。
1880年の段階で、標準フランス語が使えたのは全人口の約五分の一に過ぎなかった。
この標準フランス語なるものは、昔パリのフランス語と呼ばれていた代物だ。
1789年のフランス革命の頃は、全人口の11%にあたる300万人しか、このフランス語をしゃべってはいなかった。
そして、1863年に至っても、フランス軍の兵士の四分の一は地方語しかできなかった。第一次世界大戦の時、ブルターニュ人(Bretons=Brittany人。ケルト系の言語を用いていた)はフランス語ができなかったため、ドイツ兵と間違われてフランス兵によって射殺されるという事件が起こっている。
フランスなる国民国家が成立したのは、第一に19世紀末の都市への人口流入、次いで自転車の普及、更には第一次世界大戦の結果なのであって、それまでは、フランスという国家はあったかもしれないけれど、その内実は、各地方の寄せ木細工でしかなかったのだ。
3 終わりに
ドイツやイタリアは19世紀末に初めて統一国民国家になりましたが、この両国に比べてはるかに先行していたという印象のあるフランスだって実質的に統一国民国家になったのは19世紀末から20世紀初頭にかけてだったのですね。
イギリスや日本は、統一国民国家になった時期の早さだけとっても欧州諸国とは対照的です。
イギリスでは、(恐らくノルマン・コンケスト以前の)大昔から資本主義社会であってイギリス全域で単一市場が形成されていましたし、日本では徳川幕府が直轄領や親藩を全国に配置したことや、参勤交代制を導入したことで、江戸時代に早くも日本全域で単一市場が形成されました。
この結果、イギリスはもとより日本においても、欧州諸国よりはるか以前に国民国家が成立していた、ということになるわけです。
(完)
20323
■
太田述正 2008.03.18 皆さんとディスカッション(続x88)
2008/03/18 13:04
太田述正コラム#2429(2008.3.18)
<皆さんとディスカッション(続x88)>
<NTT Food Company>
日本の安全保障は、アメリカによって護られているが、それは日米安保という軍事同盟に基づくものであって属国の根拠にはならない。米軍基地は欧州などの他国にも有る。
他方、支那は、日本国内の思想信条の自由(歴史認識)、教育行政の自由(教科書検定)、信教の自由(靖国問題)等、これら日本が主権を有する内政に干渉し圧力を加え続けており、日本はもはや支那の属国と言える。
<ケンスケ2>
独立する意志もない人々に、今更どこそこの属国と言われてもねえーー。
そんなことウン十年前から百も承知していますって事で。
それでも平和に、戦争に巻き込まれずに生きてきてますし。
たまたま運が良いだけでしょうけど。
ウンウン。
運鈍根。それが成功の秘訣ですから。
・・・
現在のチベットの姿が、明日の日本の姿なのかも知れませんね。
中国の属国になるというのは、こういうことなんですから。
<revenger@kt>
中華の属国になるくらいなら、アメリカの51番目の州になったほうが遥かにマシ。
むしろ、「大統領選挙に影響力が出るなら、進んでなりたいくらい」と思うくらいだね。
<ひん>
岡崎さんなどは、戦後体制の擁護者で、見返りに戦後体制に庇護されているとのことでした。しかし、若いうちでしたらいざ知らず、もう岡崎さんはお金を稼がなくとも良い年齢に達しているわけですよね?(普通、若いころにしっかり老後の資金はしていますよね?)そうであれば、もう庇護されなくともよいわけですから、戦後体制を擁護する活動はしなくてもいいのに・・・と思ってしまいます。
<太田>
そうですよね。岡崎さんが都心の一等地に「岡崎研究所」という看板をかかげ、何名もの役員や研究員を抱え、その理事長としてご活躍されなければならないことに、心底ご同情を禁じ得ません。
岡崎研究所とは規模が違うし、研究活動はその活動のほんの一部に過ぎませんが、日本財団も、競艇からのあがりという「浄財」を「活用」する使命を帯びておられるわけで、そのご苦労のほどがしのばれます。そう言えば、同財団には、わが「愛する先輩」である秋山昌廣元防衛事務次官も一時お世話いただいてましたね。
私は、シンクタンクの意義は大いに認めていますし、その活動に資金が必要であることとも関連してシンクタンクが党派性を帯びることもおかしいとは思いませんが、米国のような文字通りの二大政党制の下では問題のないことが、日本のような恒久政権の下では問題になりうる、と思っているのです。
実際、日本では反体制側には見るべきシンクタンクが存在していません。資金が確保できず、情報が無償で与えられることもないからです。
<fuyuneko>
チャンネル桜の視聴者です。
>皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわけだが、何も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ
この発言の後の空気が非常に面白かった。心の底では思っていることを第三者に言われてしまったという感じがしました。
同じ思想同士が集まっての議論は所詮自慰行為です。最近の桜はそんな感じがしていました。最終目的「日本よ、独立国となれ!」は同じですので、是非ともまた桜に出演して頂ければと思います。
<安保>
メルマガを通じてお返事を頂き感謝します。
その感想を書かせてもらいます。
当方は、25年生まれ、一庶民です。
・・・・・・・・・・・
→そりゃあなたの感想でしょう。画面ちゃんと見てました?(太田)
・・・・・・・・・・・
↑ちゃんと見てました。そりゃあなたの感想でしょう・・・ね(お互い)
・・・・・・・・・・・・
> また、危険のない場所に、カネのかかる自衛隊を派遣するなど愚の骨頂です。
> なお、メディアは国民感情の代弁者です。(太田)
・・・・・・・・・・・・
太田さんの論では、「自衛隊をことごく世に貶め、日本人の覚醒を図る」というように感じましたが・・・ならば、愚の骨頂こそ貴方の思う壺なのではないですか?
私は愚の骨頂どころか、大いに価値がると思っています。
危険のない場所に自衛隊が軍服を来て最新の装備で世界にその姿を晒す。
そして見かけは軍隊でありながら治安維持も出来ず、海外に派遣されても尚他国軍隊に自らの存在を保護される。
その無常とも言える存在で尚、意気軒昂その任務達成の為に勤める。そして、例え不幸にもテロリストに無残にも抵抗することなく自衛隊員が惨殺されても、それでも尚且つ、自衛隊は乱れることなくその責務を堂々と果たしえれば・・・。
日本の世も少しは覚醒し、いや覚醒せずとも、我が日本国自衛隊は世界の人々には冠たるものとして、評価されると信じます。
その価値は、貴方の言う金銭に置き換えるものではありません。
・・・・・・・・・・・・
→「ソ連の脅威」がなかったというのは事実です。
・・・・・・・・・・・・
まず脅威という定義が貴方と私と、いや貴方と世間一般では違うような気がします。
日本固有の領土を占領されながら脅威と思わないのが不思議としか言いようがありません。
話し合うことも拒否する隣家の住人が、自分の土地に強引に塀を建てようとし、又建てて「これはワシの土地やから・・」と言い張っているのが、脅威ではないのでしょうか?
国内においては法治国家として最後は正当な結果に落ち着くのが普通ですが、世界においては全てを含めた「力」関係しかありません。
そして「ソ連の脅威がなかった」・・・ソ連軍の日本本土上陸という脅威なら、これは現場の一自衛官とて百も承知だったと思います。幹部なら尚の事でしょう。
それでも組織は巨大化を目指す。それも当然です。
ソ連の脅威など関係なく、自衛隊は更に強くを目指します。それは米国と比較して・・・です。
それも国家として正しき道です。富国強兵こそ国家の第一目標なのですから。
それに、ジェンダーフリーなどに多額の予算を計上するより余程国益に適います。
軍隊(自衛隊)というのは武力を持って国家を守るだけではなく、国民の精神的支柱にもならなければなりません。
戦後、吉田ドクトリンの為に、日本は商人国家の道をひた走り、今の属国日本があるわけです。
商売人(経済界)に政治家もメディアも牛耳られ、商人道すら放棄したグローバル商人が日本を牛耳る構図になっています。
そんな日本で、子々孫々の為にも日本精神・伝統を守るのは・・・。
一、皇室伝統
二、自衛隊(軍隊)
三、拉致被害者家族たちの毅然とした姿勢
この三つだと思います。
・・・・・・・
> →月刊雑誌では「諸君」や「正論」等がずっと前からあり、結構売れているのに
> 対し、TVではパートタイムのチャンネル桜だけしかないというのに、それが変化
> のあかしですって!?(太田)
・・・・・・・・・・・
それくらい戦後の吉田ドクトリンによる商人国家の“豊かさ”は頑強な壁なのです。
人間誰しも楽が良い、豊かで平和であれば属国には目をつぶろう、
日本の誇りも名誉も・・・あってもなかっても、そこそこでも良いじゃあないか
この一般大衆の意識を変えるには、並大抵ではないことが戦後60年を経てやっと少し気が付いたその程度が現実だと思います。
国民の意識を変えるのは遅々たるものです。それが豊かさという巨大な壁です。
・・・・・・・・・・・・・
> →本当は「啓蒙」されたがっておられると拝察します。
> 早く楽になりましょう!(太田)
・・・・・・・・・・・・・
例え貴方の論が百万倍正しくとも、貴方には啓蒙されませんよ。
何故なら、全ては「人」なのです。
「文はひとなり」「言葉はひとなり」です
貴方は自衛官を蔑み貶めて日本人を覚醒させようとしています。
武力集団でありながら手足を縛られ、品行方正を求められ、他国の軍隊に保護される。
その大いなる矛盾を抱え葛藤し、苦悩している集団こそが自衛隊です。
その軍人の心情を察することの出来ない人間に日本の防衛など語る資格はないです。
生意気の数々お許し下さい。
<太田>
お疲れ様でした。
しがらみから身を解き放ち、fuyunekoさんのように目を啓くこと、かつ私の事実の指摘・開示に耳を傾けることに心がけられた上で、あなたがそのエネルギーをより生産的なことに用いられることを願って止みません。
<車一郎>
--日本の右派・左派について--
はじめまして。
私はCSを契約していないので、チャンネル桜の討論番組は見ていないのですが、日本の右派・左派ともに太田さんの仰る縄文人なので、ちぐはぐな意見の食い違いになるのではないでしょうか?
左派は「日本に脅威がないので軍隊が必要ではない」と自己中心的な考えになり、一方、右派は「日本に脅威がある」と誤認のもと、自国防衛のためだけというこれまた自己中心的な目的のために「軍隊が必要である」という結論になっているのではないでしょうか?
そして、右派・左派ともに共通するのが「軍隊」というのは「自国のためだけにある」という認識で、そもそも太田さんの「軍隊」の概念と異なるのではないでしょうか?
<太田>
自分が当事者だと、なかなか客観的な分析ができないものです。
すばらしいヒントをありがとうございました。
顧みれば、私も「軍隊」というのは「自国のためだけにある」という認識・・現在の国際システムの下では事実の指摘だと言ってよいでしょう・・なのですが、何が「自国のため」なのか、つまり何が国益なのか、についての認識が日本の「左」翼や「右」翼の人々とは異なっているということだと思います。
ご指摘の通り「左」も「右」も縄文人なのでしょう。縄文人は鎖国志向なのですから、彼らの国益概念が著しく狭くても不思議ではありません。
つまり彼らは「情けは人のためならず」、あるいは「大欲は無欲に似たり」といったことわざの真の意味が分かっていない人々なのではないでしょうか。
では、「左」と「右」の違いは何か。
戦後日本においては、「右」とは権力を掌握し続けてきた人々であり、「左」とはそれ以外の人々であるというだけのことであり、双方とも吉田ドクトリン信奉者である点では違いがありません。
この結果、「右」はしがらみが大きいので、腐敗・退廃の程度が高く、「左」はしがらみが小さいので腐敗・退廃の程度が低い、という違いが生じています。
だからこそ、どちらかと言えば私は「左」の方と話が合うのでしょう。
いや話が合うのは、単に彼らの腐敗・退廃の程度が低いからだけではないはずです。
私が「左」の方により親近感を覚えるのは、弥生人たろうと努めている私が、彼らの間に、「右」に比べてより多く隠れ弥生人を見出しているからに違いないのです。
<ぱお>
太田さんは人とのコミュニケーションが苦手なのですか?
わざと不愉快な思いをさせる言い方されてるのかなぁ。
なんかもったいないですね。
<太田>
ご心配いただき恐縮です。
そこのところは、名前「述正」に免じて諦めて下さい。
<バグってハニー>
--コラム#2424(2008.3.15)「買春で辞職したNY州知事」(未公開)--
ちょっと、バランスをとる必要があるかなと思って・・。
>ここ15年というもの、それまで単婚的(monogamous)と思われていた動物の大部分が浮気(科学用語では、番(つがい)外性交=extra- pair copulations=EPCs)をすることが分かってきた。つまり、動物の殆どは社会的単婚・・雄と雌による番と子育て・・だが、性的単婚は希だということが判明したのだ。
実際には動物のほとんどは多婚性(polygamous)で、そうではない少数派の単婚性の動物でもEPCsが見つかってきた、ということですね。たとえば、哺乳類の中で単婚性なのは3−5%とされています(Kleiman, D. Monogamy in mammals. Q. Rev. Biol. 52, 39-69 (1977). )。ただ、単婚性の動物がいるということは、その動物には脳になにやら夫婦・つがい間の絆(pair bonding)を司る機構が備わっているということであって、最近熱心に研究されています。
北米中西部プレーリーに棲むハタネズミの一種Microtus ochrogaster
http://en.wikipedia.org/wiki/Prairie_vole
は、相手が死んでも他の異性に乗り換えることがほとんどないという特異的な単婚性を示す動物モデルとしてよく研究されています(ただし、この種にもEPCsはあります)。つがうことによってpair bondingの形成が促進されますが、それにはオキシトシン(メス)、バソプレシン(オス)、ドーパミンといったホルモン、伝達物質が利用されている経路が関わっているということが分かってきました。
この結果がどれくらいヒトにも当てはまるのかはまだよく分かっていないのですが、授乳中の女性の脳ではオキシトシンが分泌され、それが母子間の愛着形成に重要であることはすでに知られています。ヒトは他の哺乳類と違って授乳していなくても乳房が肥大化しており、なおかつ乳房や乳首に対する刺激は人間の性行動の一部であることを考えると、そのような性行動が夫婦間の絆を形成するのに役立っていることは十分に考えられます。
http://www.nature.com/neuro/journal/v7/n10/abs/nn1327.html
<太田>
訂正していただき、感謝します。
学者のくせに、
It's clear that social monogamy -- physical association and child rearing between a male and a female -- and sexual monogamy are very different things. The former is common; the latter is rare.
http://www.latimes.com/news/opinion/la-oe-barash12mar12,0,4401296.story
なんて、誤解を与える文章を書くなと言いたくなります。
20332
■
太田述正 2008.03.18 チベット騒擾
2008/03/19 10:39
http://blog.ohtan.net/archives/51166690.html
太田述正コラム#2429(2008.3.18)
<チベット騒擾>
1 始めに
日本の宗主国たる米国が金融不安に襲われ、日本の最大の貿易相手国であり、19世紀に存在していた帝国で唯一残っている中華帝国・・国号は清、中華民国、中華人民共和国と変遷した・・が辺境の少数民族のチベット人が起こした騒擾に揺れている狭間に日本が佇んでいる、というのが現在の状況です。
このチベットにおける騒擾について、そろそろ触れなければなりますまい。
2 何が起こっているのか
産経新聞の北京特派員は、彼女のブログで、「ラサ<(Lhasa)での>・・最初のデモは10日・・。
14日、午前11時30分ごろ、ジョカン寺の近くにあるラムチ寺で僧侶がハンガーストライキをはじめた。これを・・武装警察・・が阻止しようと、殴るけるなどの暴行のあげく発砲した。7、8人が死んだ。逮捕者もでた。
これをきっかけに市民に怒りが広がり、暴力的な大規模デモが起きた。他の僧院も抗議のハンストに入った・・ラサ・・市全体で・・死者<は>・・正確には分からないけれど100人以上。110から120人の間だと思う。
(<チベット>亡命政府の発表は80人の遺体が確認された・・)・・<中共>政府は漢族の商人が犠牲になったようなことをいっていたけれど・・漢族の死者はない。回族が5人死んだ。・・漢族が犠牲になったというのは、政府のウソ・・」と報じています
(http://sankei.jp.msn.com/world/china/080317/chn0803171122007-n1.htm。3月18日アクセス(以下同じ))。
これは、通信/報道管制(後述)の下での世界的スクープかもしれませんね。
この騒擾が、チベットを超えて、甘粛(Gansu)省、青海(Qinghai)省、四川(Sichuan)省のチベット人達の間にも広がって現在に至っているわけです
(http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-tibet17mar17,1,7061040,print.story)。
3 通信/報道管制
ラサのインターネット接続は切断され、チベット語のブログは閉鎖されています。
北京では、多くの外国の新聞のウェッブサイトへのアクセスがブロックされています。
(以上、http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-tibet17mar17,1,7061040,print.storyによる。)
英ガーディアンは、在英中共大使宛てに、自社サイトへのアクセスがブロックされたことに抗議する書簡を送りました
(http://www.guardian.co.uk/media/2008/mar/17/chinathemedia.digitalmedia1)。
また、ここ数日、中共の一部でCNN、BBC、グーグル・ニュース、ヤフー、ユーチューブがブロックされたり一時的に見れなくなったり障害が発生したりしています。外国人記者のEメール・サービスにも障害が生じているという情報もあります
(http://www.nytimes.com/2008/03/18/world/asia/18access.html?ref=world&pagewanted=print)。
メールやチャットで「チベット」、「ラサ」、「デモ」、「3月14日」といった言葉を使うとこれらの言葉は中共政府のファイアーウォールによってすぐに消されてしまいます。
もっとも、CNNやBBCは次第にブロックを解かれつつあります。
例えば、BBCの16日(日曜)のこの騒擾についての20分間(うち5分間はダライ・ラマの発言)の報道番組は北京で視聴できました。
(以上、http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-chispin17mar17,0,4915633,print.story による。)
ラサでは、外国人観光客はホテルから外出することを禁じられており、騒擾が一番盛り上がった時期には、警察はこれら観光客のデジカメのメディアを没収しました。
外国人観光客ののホテルの電気は、回りが停電していないのに止められており、彼らがデジカメや携帯に充電したりパソコン通信を行ったりできないようにされています。
(以上、http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7299642.stm による。)
4 情宣活動
中共国内のメディアは、チベット人の僧侶や群衆が漢人の店舗を襲う画面等を繰り返し放送しており、被害を受けた漢人のインタビューをその中に織り込む等、中共政府は国内向けに積極的な情宣活動を行っており、漢人の世論は全面的に政府を支持しています。
この点は、1989年の天安門事件の時には、世論が学生側に同情的であったことを考えると、大きな違いです。
また、騒擾の原因は、国外からの策謀によると報じています。
(以上、ロサンゼルスタイムス前掲による。)
ちなみに、急速に騒擾がエスカレートしたこと等から、在中共外国人消息通達は、何らかの形で国外からの働きかけがあったと見るべきであろうとしているところです
(http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1722883,00.html)。
5 騒擾の原因
騒擾の原因は第一に中共政府の宗教政策です。
チベット人の尊敬の的であるダライ・ラマを中共政府が一貫して排斥してきたこと、最近チベット人の学生や公務員の修道院訪問や宗教的儀式や祭りへの参加が再び禁じられたこと、同じく最近、僧侶達に中共政府史観のチベット史の講義への出席とその折ダライ・ラマ非難の唱和を義務づけたことが怒りを呼んでいるのです。
第二の原因は、中共政府が漢人のチベットへの大量移住政策をとっていることへの怒りです。漢人との経済格差がこの怒りを増幅させているのです。
(以上、http://www.nytimes.com/2008/03/18/world/asia/18china.html?_r=1&hp=&oref=slogin&pagewanted=print による。)
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太田述正コラム#2430(2008.3.18)
<共和党善玉・民主党悪玉論(その2)>
→非公開
20333
■
太田述正 2008.03.19 皆さんとディスカッション(続x89)
2008/03/19 10:45
http://blog.ohtan.net/archives/51167124.html
太田述正コラム#2431(2008.3.19)
<皆さんとディスカッション(続x89)>
<バグってハニー>
佐藤さんも太田さんのこと書いてますよ。
http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20080316/1205679038
「防衛庁再生宣言」も読んでたみたいで、それを高く評価している一方で、番組の討論では話がかみ合わなくて困惑したみたいです。
コメント欄にも一般視聴者の太田評がありますよ。
また、
http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20080318
を見ると、 チャンネル桜の「討論・・」については、逆に防衛省内部状況がよく分かったとか、太田氏の発言にコメントする参加者の「解説」が、逆に小学生に対するように丁寧だったのでよく理解できた、と言う意見が多かったらしい。討論は進まなかったが逆に視聴者に理解されたのは大変いいことだったと思う。
結果よければすべてよし?
<太田>
どうもどうも。
「たかじん」の時と同様、視聴者に深く考えさせる契機になったようで、うれしいですね。
佐藤守さんは基本的にお一人で頑張っておられるようで敬意を表しますが、私には佐藤さんのブログを読む時間がとれません。関心ある方はぜひお目をお通しください。
<大阪の川にゃ>
>私が「左」の方により親近感を覚えるのは、弥生人たろうと努めている私が、彼らの間に、「右」に比べてより多く隠れ弥生人を見出しているからに違いないのです。
差し支えない範囲で、数人でかまいませんので具体的氏名をご教授下さい。
<太田>
「隠れ」弥生人の名前を私の一存で勝手に明かすわけにはいきません。
それに、日本の論壇をフォローしていない私が、つきあっている隠れ弥生人の名前を仮に明かしたとしても、皆さんがご存じの人であるわけがないじゃないですか。
<安保>
<太田さんの考えは、>『世界平和あっての日本の繁栄であるから、自衛隊を世界平和の為にこそ活用すべきだ』・・・ですね。
・・・・・・・・・・・・・・
↑現実を見据えることの出来ない書生論ですね。・・話が大きいようで全く現実論ではないですから・・・空想論から抜け出せない左翼論者の根本と大差なしです。
<太田>
イヨッ!成田屋!
英国だって米国だって(核の脅威/テロリスト的脅威、を除いて)直接的な軍事的脅威がないのに、戦後、せっせと防衛力を整備し維持してきました。
この英国や米国の防衛力に対する考え方を書生論、空想論だと嗤い、切り捨てるとはアンタはエライ!
だけど、米国に外交・安全保障をやっていただいている属国の民としては、ちょっとばかし頭が高すぎる発言じゃありませんかねえ。ブルブル・・。
<MS>
チャンネル桜拝見しました。白熱していて面白かったです。
『世界平和』という言葉を使うと右巻きの人は、脊髄反射で反発(誤解)するので、
コラム#2164<皆さんとディスカッション(続々)>の『世界政府が存在しない以上、・・ 必要な防衛力を上回る防衛力は、・・国際公共財なのであり、・・』というような表現の方がよいと思います。
それにしても、仮にも保守といわれる人たちが、やたら下手な英語を意味もなく(日本語で適切な言葉があるのに)使っていて、情けなく感じました。啓蒙活動がんばってください。
<太田>
確かに、脊髄反射しかできない方々に対してまで事実と論理に基づく説明を試みる私は究極のお人好しかも。
なお、防衛力と国際公共財についてですが、実は自国に対する直接的な軍事的脅威を抑止するための防衛力だって国際平和の維持に貢献しているという意味で国際公共財だと言えないことはないのです。従って、引用されたくだりも必ずしも適切な表現ではないのです。
<bahasa>
質問です。
万が一日本が巻き込まれる戦争の危険性という観点から、自国の軍事予算縮小にヒステリックに反対する人は、軍拡競争をして戦争に巻き込まれる危険性を考えていないのが不思議です。太田先生に伺うのもおかしいのかもしれないのですが、何故なんでしょうか。
ちょっとアカっぽいですが軍事は再生産のきかない奢侈品、もしくは掛け捨ての保険で、できれば必要最小限にとどめてもらいたいと思うので、「見せ金」にしては、防衛費は高すぎると思います。
<太田>
今度はまた典型的な「左」の方の登場ですな。
超ざっくり申し上げれば、戦後米国が音頭を取って対ソ軍拡競争をやってくれたおかげで大戦争の勃発や共産主義の拡散が抑えられ、ソ連が平和裏に崩壊したわけですが、あなたも心の底ではそう思ってませんか?
また、純経済学的に言っても、必ずしも「軍事は再生産のきかない奢侈品、もしくは掛け捨ての保険」とは言いきれないことも覚えておいてください。(拙著『防衛庁再生宣言』参照)
つくづく思うのですが、私は経済専門家でないので、景気の話は公にはしないのですが、皆さんだってそうでしょう。
ところが、安全保障/防衛問題になると、誰でも彼でも論戦に参加しようとされる。
これが不思議なんだよねえ。
先週放送された「太田総理・・」には、テーマが防衛問題なのに経済学者(経済評論家)の森永卓郎さんが出席しておられた。私ならいくらバラエティでも出席を遠慮しますがね・・。
<安保>
権力に腐敗頽廃は当ったり前ですよ、日本などまだまだマシなほうでしょう。
<太田>
収賄(個人的に袖の下をもらって便宜を図る)蔓延度から言えばおっしゃるとおりです。
しかし、私の言う政官業の三位一体的癒着構造は、戦後の事実上の自民党一党独裁下に形成されたものであるところ、これは天下りを中核として「合法的」に維持されて来ており、構造的な腐敗退廃を日本にもたらしているのです。
このような形の構造的な腐敗退廃は、他の先進自由民主主義諸国には例を見ません。
それにしても、この構造的な腐敗退廃が目に入らないとはねえ。
脊髄反射の安保さん。
あなた、ひょっとして日本にお住いではないのでは?
<NTT Food Company>
>皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわけだが、何も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ。
そう、明らかに間違っていた。
間違ってたのは思想では無く、運動方法が間違っていた。
今まで、保守と名のってきた人の多くが、その活動を議論という内向きの活動に終始して来たが、その結果はというと、反日サヨク勢力の蔓延を許す事になった。
つまり、今までやってきた、
議論=語る
という方法では何も変えれないという事である。
反日サヨクは、その活動の多くをデモとか街宣といった多くの国民の目に写る様な活動を中心に行ってきた。
対し、保守と言われる人々は、先にも書いた様に、身内だけで固まりその多くが議論といったヒキコモリ活動に終始してきた。
これじゃあ、反日サヨクに勝てる筈無い。
だからこそ、保守活動も
<『語る』運動から『行動する』運動へ>
にしなければならないし、そうしなければ この日本という国の独立は有り得ない。
身内だけで固まりその多くが議論といったヒキコモリ活動に終始してきた保守層の事を、私は「保守綺麗事派」とか「綺麗事派保守」と呼ぶ。
この派の特徴は、日本人の”美徳”を間違って捉え過激な抗議行動に反対し、文句を言われても怒ってはいけない、怒鳴ってはいけない、何事も耐え忍ぶのが日本人の素晴らしいと盲信している。
しかし、これら(文句を言われても怒ってはいけない、怒鳴ってはいけない、何事も耐え忍ぶのが日本人)は、戦後、サヨクが誇大解釈しそれを利用する事により反サヨク勢力(保守勢力)を封じ込めて来た。
戦前の日本は、道理が通らない理不尽な事に対しては凛として反論して来た。
文句を言われても怒ってはいけない、怒鳴ってはいけない、何事も耐え忍ぶのが日本人というのはサヨクが作り出した幻想なのだ。
保守綺麗事派は保守では無い! いや、保守だとしたらこれでは日本は良くならない。また60年同じ事を繰り返す。
いや、もっと悪くなる。巨大な左翼組織の前でこのような有り様では100年たっても何も変わらないばかりか、日本は左翼・在日の国になっている。
私から見るとチャンネル桜の水島氏らも保守綺麗事派である。
それが証拠に、水島氏は「主権回復を目指す会」代表の西村修平氏を"右翼ゴロ"とまで貶め痛烈に批判している。
>同じ思想同士が集まっての議論は所詮自慰行為です。最近の桜はそんな感じがしていました。
そう、同じ思想同士が集まっての議論は自慰行為に過ぎない。それに固執し自己満足しているだけなのが「保守綺麗事派」なのである。
自慰行為では何も変わらないし変えられない。
>→月刊雑誌では「諸君」や「正論」等がずっと前からあり、結構売れているのに対し、TVではパートタイムのチャンネル桜だけしかないというのに、それが変化のあかしですって!?(太田)
「諸君」や「正論」等といった書籍は、書店に行けば誰でも手軽に買えるが、チャンネル桜を視るには先ず受信機器を購入してそれを設置しスカパーと契約を締結しなければならないし、それ以前に、チャンネル桜の存在そのものの認知度が低いので「諸君」や「正論」等と比べるのは如何かと。
>それくらい戦後の吉田ドクトリンによる商人国家の“豊かさ”は頑強な壁なのです。
吉田ドクトリンも戦後レジームを継続させている要因の1つでしょうが、根本はやはり東京裁判史観を柱とする戦後の自虐史観ですよ。
<太田>
Mixiでの投稿もそうですが、投稿文が長すぎますよ。
もう少し簡潔にお願いします。
ところで、私はマルクス主義史観はもとより、司馬遼太郎史観もいわゆる自由主義史観にもあきたらなく思っており、戦前史の全面的見直しが必要であるという立場です。
拙著『防衛庁再生宣言』や私のコラムのバックナンバーにぜひ目を通してみてください。
あなたがMixiでの投稿で引用された深田匠氏の考えは私と相通ずるところがあると思いました。
しかし、お示しの同氏の本の抜粋を読ませていただいた限りでは、いささか論述が荒っぽいですね。
氏の共和党善玉・民主党悪玉論をコラム#2428と2430で批判したのですが、現在のところ有料読者だけへの配信にさせていただいているのであしからず。
<jeastyuyu>
先生のブログを最近知っていろいろと読ませてもらっています。
コラム#2024「敗戦後のドイツ人の受難」はとても驚きました。酷かったことは知っていましたが、正直ここまでとは思いませんでした。
でも、僕はナチスが行った行為が連合国側が言っているようなものよりもましだったと思っています。(もちろん、比較的にですが。)
>>http://maa999999.hp.infoseek.co.jp/
ここのサイトは、歴史を授業形式で行っているサイトです。
この中に、「ソフィア先生の逆転裁判」というコンテンツがあります。先生に一読をお勧めしたいと思います。戦時中のドイツの行った行為は連合国側が言うようなものではなかったということが書かれています。自分はこのサイトに書かれていることも一理あると思っています。
<太田>
今度はお馴染みのホロコースト否定論ですか。
勘弁してくださいよ。
ホロコースト否定論批判はさんざんやってきているので、もっと私のコラムのバックアンバーを読み込んで下さいね。
20342
■
太田述正 2008.03.03 あたごの衝突事故(2)
2008/03/20 17:33
太田述正コラム#2400(2008.3.3)
<あたごの衝突事故(その2)>(2008.3.19公開)
4 原因は何なのか
(1)総論
防衛省では、1998年の調達実施本部背任事件の発覚及びこれに関わる証拠隠滅
事件、2006年に発覚した防衛施設庁官製談合事件、2007年に発覚したイージス艦
情報流出事件や山田洋行絡みの防衛省不祥事(注3)、そして今回の衝突事故、
等々、重大な不祥事が続発しています。
(注3)2007年には12月に、停泊中の護衛艦「しらね」(5,200トン)の心臓部
であるCICでで火災が起き、行動不能になった。無許可で持ち込まれた中国製のポ
ータブル「保冷温庫」の異常過熱が原因だった可能性が高いとされている。
基本的に戦後一貫して政権を掌握してきた自民党を中核とする政官業癒着構造
の下で、今や日本の官庁はすべて退廃、腐敗するに至っているわけですが、その
中でも防衛省の退廃、腐敗ぶりは特に甚だしいと言ってよいでしょう。
その最大の原因は、戦う組織であるはずの自衛隊が、現実には戦うことを禁じ
られているところにある、というのが私の考えです。
装備調達を巡る不祥事は、戦うことを禁じられているがゆえに、自衛隊におい
て、性能のよいものをできるだけ安く調達するというインセンティブが働かない
ために起きており、運用や広報を巡る不祥事は、自衛隊が戦うことを禁じられて
いることから、自衛隊員の意識が弛緩し、実戦感覚が欠如していることに加えて
自衛隊に手枷足枷がつけられているために起きている、ということです。
今回の衝突事故は自衛隊の運用や広報を巡る不祥事ですが、この事故に関し、
もう少し詳しくご説明しましょう。
(2)各論
ア 意識の弛緩
今回の事故が起こったのはさがみの乗組員の意識が弛緩していたからであると
言ってよさそうですが、意識の弛緩は、さがみだけではなく多かれ少なかれ全海
上自衛隊に見られるのではないでしょうか。
自衛隊が発足した当時は、良い意味で旧帝国陸海軍の伝統が残っていましたし、
米軍が手取り足取り教えてくれたこともあって意識は弛緩していなかったはずで
す。
また、東西冷戦が続いている間は、自衛隊は米軍の対ソ軍事戦略に組み込まれ
ていたため、万一冷戦が熱戦に転化した時には自衛隊も戦いに巻き込まれるであ
ろうとの認識から、意識の弛緩を回避することができたはずです。
ところが冷戦が終焉を迎え、およそ自衛隊が戦うことは考えられなくなってし
まいました。しかも発足から長い時間が経過した現在、旧帝国陸海軍の伝統も米
軍の薫陶も忘れられつつあります。自衛隊の意識が弛緩しても決して不思議では
ないのです
かてて加えて、海上自衛隊は、陸上自衛隊や航空自衛隊と違って、陸上でのPKO
やイラク派遣という危険な環境下での任務も経験していません。
そうである以上、東西冷戦が終わる直前の1988年に起こったなだしおの事故の
頃の海上自衛隊に比べて、現在の海上自衛隊が一層劣化している可能性は否定で
きません。
イ 実戦感覚の欠如
今回の事故の後の、海上自衛隊を含む防衛省の対応のまずさの原因としては、
実戦感覚の欠如を挙げることができるでしょう。
防衛省の背広組はもちろんですが、制服組においても、戦うことがないので、
実戦感覚が身についておらず、この情報は絶対に敵に知られてはならないので秘
匿すべきであるとか、これなら情報開示しても一向に差し支えないといった具合
に情報を仕分けする感覚が身に付いていません。
私は、米軍を訪問する都度、こんなものまで見せて良いのか、こんな説明まで
聞かせて良いのかといつもびっくりしたものです。これに対し、自衛隊では何で
もかんでも秘に指定して隠そうとしていました。
にもかかわらず、というよりだからこそ、絶対に開示すべきでない情報が漏れて
しまうことがしばしば起きるのです。
実戦感覚がないことによる問題はこれだけにとどまりません。
現代では、広報は戦いの一環であると言っても良いでしょう。
ですから、まともな国の軍隊では、幹部はインタビューの受け方、記者会見の
仕方等の教育訓練を受けます。
私も1988年の英国の国防大学留学時にそのための英陸軍の施設があると聞いて、
この施設を訪問し、教育訓練のまねごとを実地に体験させてもらったことがあり
ます。
しかし、自衛隊ではこの種の教育訓練は全くやっていません。
要するに自衛隊は、実戦感覚が欠如しているので、軍隊としては穴だらけなの
です。
何を秘匿し、何を情報開示すべきかを仕分けする感覚がない上に、情報開示の
やり方も分からないときているのですから、防衛省の今回の事故後の対応が顰蹙
を買うのは当たり前なのです。
ウ 手枷足枷
もう一つ指摘しておかなければならないのは、戦えないように自衛隊に手枷足
枷がつけられているということです。
手枷に相当するのが、防衛省外部からの、裁判所、検察、警察や海上保安庁と
いった司法・警察官庁による自衛隊に対する司法・警察権の行使であり、足枷に
相当するのが、防衛省内部における背広組中心の内局による統幕と陸海空自衛隊
の支配です。
2001年の、米原子力潜水艦グリーンヴィルとえひめ丸とのハワイ沖での衝突事
件では、グリーンヴィルの艦長は、当然のことですが、警察や検察の捜査を受け
ることもなく、裁判にかけられることもありませんでした。
ついでながら、憲兵の捜査は受けたはずですが、減給俸処分を受けただけで、軍
法会議にすらかけられていません。
他方、なだしおの事故では、艦長は海上保安庁と検察の捜査を受け、裁判にか
けられ、有罪判決を受けています。
今回の事故でも、海上保安庁がただちに捜査に乗り出し、防衛省で事故原因の究
明を行うことすらままならない有様です。
これでは、自衛隊員の意識が弛緩しておらず、自衛隊員が実戦感覚を身につけ
ていたとしても、自衛隊は戦いようがないでしょう。
これに加えて、内局の存在があります。
自衛隊の装備や運用について分かっていない背広組が自衛隊の政策、予算、人
事はもとより、運用まで所管して統幕、陸海空自衛隊の上に君臨しているのです
から、防衛省/自衛隊がまともに機能するはずがありません。
いや、まともに機能させないためにこそ背広組中心の内局が設けられているの
です。
こんな職場で育った防衛省キャリアが識見を身につけ、人格を陶冶できるわけ
がありません。
そのことは、守屋前事務次官や現在の増田事務次官を見れば、一目瞭然です。
今回の事故後の防衛省の対応のまずさは、組織設計者の期待通り、防衛省(庁)
が有事において全く機能しないことを証明した、と言うべきなのです。
(完)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FORUM21 2008年3月15日号20〜23頁 トピックス--topics
戦うことなどおぼつかないイージズ護衛艦あたごの衝突事故
「なだしお」とは比べものにならないお粗末さ
2月19日午前4時7分ごろ、千葉県・野島崎の南南西約40キロの太平洋で、海
上自衛隊の最新鋭イージス護衛艦あたごが、漁船の清徳丸と衝突し、漁船の2人
が行方不明になった事件とその後の防衛省の対応をどう見るべきなのでしょうか。
イージス護衛艦あたごの衝突事故と、1988年の潜水艦なだしおの衝突事故を比
べてみましょう。
なだしおの事故の場合、釣り船がなだしおに気付きながらなだしおに近付きす
ぎて衝突に至ったものであること、潜水艦は漁船よりもむしろ視界が悪いこと等
を考えれば、私はなだしお側により大きな過失があったとされたのはおかしいと
さえ思っています。
ところが、今回の衝突事故では、あたごは、何人ものレーダー監視員、見張り
員、当直士官らが運航に携わっていながら、日本近海で自動操舵を続け、漁船団
が接近しているという認識を明確に持たず、また、その漁船団内の清徳丸の存在
をどうやら完全に見過ごし、衝突一分前になってようやく気づいて手動操舵に切
り替え全力後進をかけたものの衝突してしまったというお粗末さです。
その上、なだしおの事故の当時とは違って、現在はアルカーイダ系テロリスト
による米軍や自衛隊への攻撃が考えられる状況であり、米海軍及び海上自衛隊双
方の重要な基地である横須賀から太平洋へ出入りする時には警戒を怠ってはなら
ないはずです。
そうなると、いくら夜明け前であったとはいえ、艦長が仮眠をとっていたこと
自体問題なしとしません。
事故後の防衛省(庁)の対応も、なだしおの事故の時に比べて今回の事故の対
応のまずさは際だっています。
清徳丸に気付いたのは2分前だったと発表してからしばらく経って、いや12分
前だったと訂正したのはよしとして、この訂正の公表が遅れたこと、捜査にあた
る海上保安庁の了解をきちんと取り付けずにあたごの航海長を事情聴取のために
防衛省にヘリで連れてきたこと、しかもこの話を公表しなかったこと、この事情
聴取に係るメモ作成の有無や事情聴取内容についての説明が二転三転したこと、
これに限らず、大臣、次官、海幕長らによる記者会見の内容に食い違いが多発し、
また、記者会見時の態度がしばしば顰蹙を買ったこと、等目もあてられません。
原因は「戦いを禁じられた自衛隊」にある
防衛省では、このところ毎年のように重大な不祥事が起こっており、日本の官
庁ではどこでも不祥事が起こっているとは言うものの、その中でも防衛省は突出
しています。
その最大の原因は、戦う組織であるはずの自衛隊が、現実には戦うことを禁じ
られているところにある、というのが私の考えです。
装備調達を巡る不祥事は、戦うことを禁じられているがゆえに、自衛隊におい
て、性能のよいものをできるだけ安く調達するというインセンティブが働かない
ために起きているのに対し、今回のような運用や広報を巡る不祥事は、自衛隊が
戦うことを禁じられていることから、自衛隊員の意識が弛緩し、実戦感覚が欠如
していることに加えて自衛隊に手枷足枷がつけられているために起きている、と
思うのです。
第一に、今回の事故をもたらしたと思われる意識の弛緩についてですが、これ
は恐らくあたごの乗組員に限ったことではないでしょう。
自衛隊が発足した当時は、良い意味で旧帝国陸海軍の伝統が残っていましたし、
米軍が手取り足取り教えてくれたこともあって自衛隊員の意識は緊張していたは
ずです。その後、東西冷戦の下で、自衛隊は米軍の対ソ軍事戦略に組み込まれて
いたため、万一冷戦が熱戦に転化した時には自衛隊も戦いに巻き込まれるであろ
うとの認識から、自衛隊員の意識は弛緩を免れました。
ところが冷戦が終焉を迎え、およそ自衛隊が戦うことは考えられなくなってし
まいました。しかも発足から長い時間が経過した現在、旧帝国陸海軍の伝統も米
軍の薫陶も忘れられつつあります。かてて加えて、海上自衛隊は、陸上自衛隊や
航空自衛隊と違って、陸上でのPKOやイラク派遣といった危険な環境下での任務も
経験していません。
海上自衛隊員の意識が、東西冷戦が終わる直前の1988年に起こったなだしおの
事故の頃に比べて一層弛緩していても決して不思議ではないのです。
第二に、今回の事故の後の海上自衛隊を含む防衛省の対応のまずさの原因とし
ては、自衛隊員の実戦感覚の欠如を挙げることができるでしょう。
防衛省の背広組はもちろんですが、制服組においても、戦うことがないので、
実戦感覚が身についておらず、この情報は絶対に敵に知られてはならないので秘
匿すべきであるとか、これなら情報開示しても一向に差し支えないといった具合
に情報を仕分けする感覚が身に付いていません。
また、現代では、広報は戦いの重要な一環であると言っても良いでしょう。
ですから、先進国の軍隊では、将校はインタビューの受け方、記者会見の仕方
等の教育訓練を受けるものなのですが、自衛隊ではこの種の教育訓練を全く行っ
ていません。
何を秘匿し、何を情報開示すべきかを仕分けする感覚がない上に、情報開示の
やり方も分からないときているのですから、防衛省の今回の事故後の対応が顰蹙
を買うのは当たり前なのです。
戦えないよう内外からの手枷足枷
第三に、対応のまずさの原因としてもう一つ指摘しておかなければならないの
は、戦えないように自衛隊に手枷足枷がつけられていることです。
手枷に相当するのが、防衛省外部からの、裁判所、検察、警察や海上保安庁と
いった司法・警察官庁による自衛隊に対する司法・警察権の行使であり、足枷に
相当するのが、防衛省内部における背広組中心の内局による統幕と陸海空自衛隊
の支配です。
2001年の、米原子力潜水艦グリーンヴィルとえひめ丸とのハワイ沖での衝突事
件では、グリーンヴィルの艦長は、警察や検察の捜査を受けることもなく、刑事
裁判にかけられることもありませんでしたし、軍法会議にすらかけられませんで
した。他方、なだしおの事故では、艦長は海上保安庁と検察の捜査を受け、裁判
にかけられ、有罪判決を下されています。今回の事故でも、海上保安庁がただち
に捜査に乗り出し、防衛省で事故原因の究明を行うことすらままなりません。
これに加えて、背広組中心の内局の存在があります。
自衛隊の装備や運用について分かっていない背広組が自衛隊の政策、予算、人
事はもとより、運用まで所管して統幕、陸海空自衛隊の上に君臨しているのです
から、防衛省/自衛隊がまともに機能するはずがありません。いや、まともに機能
させないためにこそこのような内局が設けられていると言うべきかもしれません。
これでは、自衛隊員の意識が弛緩しておらず、自衛隊員が実戦感覚を身につけ
ていたとしても、自衛隊は戦いようがないでしょう。
今回の事故は、防衛省/自衛隊が、戦うことなど全くおぼつかない代物であるこ
とを改めてはっきり指し示したと言ってよいのではないでしょうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(私の考えや当コラムに対するコメントをお寄せになった場合、お断りするこ
となく、私のブログの掲示板や当コラムに転載することがあります。なおその際
、時候の挨拶的な部分を削除したり、筆者のアイデンティティーを隠すために必
要な範囲で、文章に手を入れたり部分的に文章を削除したりさせていただきます。
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20343
■
太田述正 2008.03.20 皆さんとディスカッション(続x90)
2008/03/20 17:44
太田述正コラム#2434(2008.3.20)
<皆さんとディスカッション(続x90)>
<大阪の川にゃ>
>日本の論壇をフォローしていない私が、つきあっている隠れ弥生人の名前を仮
に明かしたとしても、皆さんがご存じの人であるわけがないじゃないですか。
そんな誰も知らない左派にしか弥生人がいないとは。かつて太田さんが立候補
された民主党の左派には弥生人はいないんでしょうね。やっぱり。
左派の中の「隠れ」弥生人が、テレビ局のプロデューサーという影響力のある
人ならおもしろいです。
論壇の左派雑誌なんて、弥生人がいようが誰も読みませんから。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C_%28%E9%9B%91%E8%AA%8C%29
<太田>
民主党の名誉のために、私が面識がある議員に限って申し上げますが、衆議院
議員では松原仁、参議院議員では櫻井充のご両名は弥生人であると言えそうです。
<遠江人>
--チャンネル桜の感想--
イージス艦事故の件やお定まりの組織論や情報論、左批判等々、保守評論家の
みなさんの予定調和の会になっているであろう場(期待された発言を期待されて
いる人達が期待通りに発言をしている?)において、太田さんが本質的な話をし
たことは大変意味のあることだったと思います。
太田さんの意見に対して、他の出演者のみなさんは典型的な反応をする一方で、
粘り強く話も聞いてくれていたので、それもよかったと思います。
佐藤守氏のブログで以下のように書かれています。
「出席者としては司会者が示した当初の進行方針に沿った討論を進めるべきで
あったろうが、彼は毎回『持論』に固執して話を戻したから、討論は堂々巡りを
繰り返すだけでなかなか進まないうちに時間切れで終わってしまった。」
太田さんの「皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわけだが、何
も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ」という言の通り、
「進行どおりの討論」をしていても何も変わらないのは過去が証明しているわけ
で、太田さんのような右でも左でもない”異物”と遭遇できたことは、出演者の
方々にとっても視聴者にとっても意味のあることだったのではないでしょうか。
それと、太田さんの終盤のまくしたては良かったと思います。
<鎌倉人>
見る側としては、「波乱」があった方が、面白いです。でも、太田さんの役割
は、「トリック・スター」だったのでしょうか? 私は、太田さんに「トリック
・スター」になって欲しいとは思わないのですが・・。
同質の人が集まって、同趣旨の発言をしているところへ、一人だけ少し異質な
人が入って議論すると・・良い方向に進めば一気に進化発展すると思いますが、
そうはなりませんでした。
<NTT Food Company>
太田wrote
>私には佐藤さんのブログを読む時間がとれません。
以下に太田氏に対する箇所を抜き出してみた。
佐藤守閣下のブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20080316/1205679038
より。
「私は彼(太田述正氏)のこの著書から、今回は大いに現場の実態を腹の底か
ら語り合える内容が濃い討論会になるものと期待していたのだが、全く裏切られ
て終わった。少なくとも、出席者としては司会者が示した当初の進行方針に沿っ
た討論を進めるべきであったろうが、彼は毎回『持論』に固執して話を戻したか
ら、討論は堂々巡りを繰り返すだけでなかなか進まないうちに時間切れで終わっ
てしまった。
それが視聴者にも不快感を与えたのであろう。田久保氏などはあからさまに彼
の持論に反論したが、その回答も全く要領を得なかったのだが、この著書を出し
た2001年から七年経った今、彼にどんな“変化”がおきたのか知る由もない。せ
いぜい考えうるのは、文章能力には長けていて説得力があっても、会話能力に著
しく差があって、相手に理解されないところがあるということであろうか?
いずれにせよ、彼の「会話力」で「持論」を展開すれば、反政府勢力や“左翼”
メディアには重宝がられて「酷使」されるだろうが、それは所詮彼自身の「自爆
行為」に他ならないのではないか?
決して健全な防衛力育成のための助言にはなるまいと思う。
視聴者には面白い?展開だったかもしれないが、同席者にとっては理解に苦し
む収録であった。(中略)
高見沢局長の(台湾海峡有事について自民党安全保障調査会で「中国から「周辺
事態(認定)はどうするのか」と聞かれれば「日本は当然する」(と答える)。
「日米安保ではなく、これは日本自身の安全保障の問題だ」と述べた)発言は、
私は近来まれに見る勇気ある「正論」で、防衛省もようやく一流官庁になったか、
と感心したのだが、これについても太田氏は座談会で彼を「バカだ」と発言、あ
れほど加藤元長官の「志の低さ」を非難した彼とは思えない言動で理解できなか
ったが、このような防衛省の役人の「足の引っ張り合い」こそが政治家をのさば
らせる原因になっているのである。」
続いて上記のこの佐藤閣下のブログに対するコメント
スカンタコ 2008/03/17 05:21
初めてコメントさせて頂きます。この討論、頭の悪い私は3度繰り返し聞きま
した。2度目までは太田さんの意見に???だったのですが、3度目であーこの
人は焦るあまりにグレちゃったのかなと思いました。全体にイライラと投げやり
で挑発的ではありましたが、要所要所でこれが本音(であってほしいのですが)
かなぁと思える正論を吐いていたように思います。
違うかなぁ、私騙されちゃったかなぁ。(笑)
でもひとを小ばかにしたような持論の押し付けといいますか、好感を持つまで
にはいたらず、あれが国民の目を覚ますための挑発であると言うのは、あまりに
国民をバカにしすぎというか、危険すぎるわ!と思いました。
バールのような者 2008/03/17 18:55
たまたまあの「討論番組」を見てました。
太田氏と他の出演者は全く噛み合ってなかったですねw
彼の掲示板で過去に炎上してたのが印象的だったのでテレビで動く本人を見た
のは初めてでしたが、言ってることが滅茶苦茶なのは掲示板の書き込みと同様で
したね。
ash 2008/03/17 23:52
初めまして、こんなことを憶測で書くのはためらわれますが、太田述正さん、
アルツはいっているのではないでしょうか、英吉利に滞在されていたようですし。
他人の発言に耳を貸せない、持論に固執するなど単なる老人性のボケとは違う気
がします。
法律初学者 2008/03/18 01:36
太田さんについてですが、この方の他番組でのご発言や、桜の討論(実は3回
ほど見てみましたが・・・)などをお聞きするうちに、この方のロジックは現行
憲法等の法制度と現実の国家間拘束に立ち位置を固定して議論を出発させる論法
を採っているように思うようになりました。
即ち、
「現行法体系、国家間協定などによって、立ち位置が固定されている。
従って、
自衛隊→(憲法9条の「形式的」解釈・指令系統に媚中系が含まれていること
から)戦うことが禁じられている
外国からの侵略可能性 →(米国との関係がある前提で)危機とまではいえな
い
主権 →(米国からの拘束により)存在しない
ということになる。
しかし、この議論ができるようになるには前提となっている法的構造を変えな
ければならない。そのためには、まず国民を変えないと行けない、即ち、憲法改
正に持って行って国民主権を取り戻すことが先決問題であって、その他一切の議
論はその後である。」・・・というようなロジックを経て、ああいう表現になっ
ているのではないのかなと思っているんですが・・・いや、そうでも理解しない
ととにかく筋が見えなくて・・・はてさて、それで良いのか・・・。
高見沢防衛政策局長の件についても、内容を責めているのではなく、その主張
の仕方について別ルートを使うべきということを指摘されているようにも聞こえ
ます。
とにかくストレートな表現をされず、皮肉120%だけで表現されるものですから、
わけがわからず・・・。
ただ、この理解が合っているかどうかは自信がないです。
普通の議論でああいう表現をされると議論が成立しませんし、閣下が仰るとお
り、敵に利用されるというのはその通りだと思います。
<太田>
助かりました。サンキュー。
一番最後の投稿子に対しては、僭越ながら佐藤守さんに成り代わり、出藍の誉
れと称えてあげたいところです。
ところで、この人、恩師である佐藤さんのことを慮って「敵に利用されるとい
うのはその通り」と最後に記したんだろうけど、この麗しい師弟愛にホロリとさ
せられない人はいないでしょう。
肝心の佐藤さんは、航空自衛隊ご出身ということもあり、恐らく、ペトラユー
ス・米イラク派遣軍司令官着任を契機とする、米陸軍のイラク治安回復作戦の大
変化に気づいておられないのでしょう。
その大変化とは、(兵力を増強して手足を増やしつつ、)米軍兵士の殺戮を重
ねてきた「敵」の立場に身を置き、「敵」に物心両面で手をさしのべ、「敵」を
味方にする、という作戦に切り替えたことです。
(そのために大隊長レベルにまで敵に係る情報収集に関し自由裁量を与えました。)
しかも米軍は、「味方」たる、非協力的で腐敗したイラク政府の妨害をはねの
けたりかわしたりしながらこの作戦を遂行しているのです。
おかげで、イラクの治安情勢は顕著な改善を見せています。
(以上、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/03/13/AR2008031303793_pf.html
(3月14日アクセス)、及び http://www.newsweek.com/id/123475
(3月19日アクセス)による。)
日本では血が流れているわけではありませんが、防衛問題を巡っては、イラク
と結構状況が似ていると思いませんか。
現在私が日本でやっている活動は、米軍がイラクでやっている作戦と基本的に
同じことなのです。
すなわち、「味方」たる、非協力的で腐敗した自民党や(防衛省を始めとする)
官僚機構等の妨害をはねのけたりかわしたりしながら、反安保、反自衛隊を唱え
続けてきた「敵」の立場に身を置き、「敵」に手をさしのべ、「敵」を味方にす
る活動を行っているわけです。
そんな日本では、イラク以上に、誰が「味方」で誰が「敵」か、先入観にとら
われたらダメなのです。
ついでながら、私が高見沢君をバカだと言ったのは、加藤や山崎ら「志の低」
い元防衛庁長官らがいまだに実力者としてのさばっているような自民党に向かっ
て「正論」を述べる愚を咎めたものです。
そもそも私は防衛省のキャリア官僚全員の追放とキャリア官僚採用の中止を提
言しているのであって、これを「足の引っ張り合い」などといった次元でとらえ
るのは全くの筋違いというものです。
<NTT Food Company>
>『世界平和』という言葉を使うと右巻きの人は、脊髄反射で反発(誤解)する
(コラム#2432。太田)
最終的には世界が平和になる事が望ましいのはその通りだが、
その為には、先ずは自国を自国の力で護るとい事からはじめないと意味が無い。
自国の国防を疎かにして「世界平和」などと叫いても、その叫いている人達が
住んでいる国家が他国に侵略されて滅んでしまったら笑えない^^;
先ずは自国の国防有りきなのは当然であり、それを無視して世界平和等と言っ
ても意味が無い。
<太田>
だから、兵力的には現在の自衛隊の10分の1でも「自国の国防」には十分だと
繰り返し申しあげているでしょう。何度言ったら分かってもらえるのかなあ。
兵力的には十分でも、戦える態勢にない、というのはまた別の問題です。
<NTT Food Company>
>Mixiでの投稿もそうですが、投稿文が長すぎますよ。もう少し簡潔にお願いし
ます。
これでも短く纏めて書いています。
貴殿の場合、佐藤閣下のブログにも色んな人が書いておられるが、貴殿の言い
たい事が、貴殿の言葉足らずから来る説明不足により他者に理解され難かったり
誤解されやすいという欠点が有るのを認め改善された方が宜しいかと。
<太田>
短歌や俳句のような、短詩が大好きな、一を聞いて十を知る日本の人々のうち、
私の話を「理解<し>難か<く感じたり>誤解され<る>」方がいらっしゃると
すれば、それは邪念があるからでしょうね。 喝!
<有料読者OS>
初めて太田述正HPの主張2001を読ませていただきました。
「個人の自立なくして国の自立なし」を引用して、戦後日本のあり方の不自然
さを分析されていますが、戦前の日本国でも、個人は自立していなかったのでは
ないでしょうか。
最近「携帯をもったサル」という本を読みました。そこで著者は、「現代の若
者が行動する際に、公空間と私的(家族)空間との区別が明確に出来ていない」
と書いています。私は、この傾向は若者に限らず、また、過去においても、日本
国民の一貫した傾向であると思います。
議論、口論、喧嘩の区別が出来ず、押し黙り(沈黙は金)、まるで(何時まで
待ってもこない)主の導きを待つ子羊の群れのようも群れ、主の幻に導かれ破滅
の谷に向う民族ではないかと思っています。
上記福沢諭吉の言葉や「万機公論に決すべし」は、「公のことは全て、公の空
間で決定する」ことを、国民全員が確認すべきであるということではないでしょ
うか。公では、明確な言葉で主張し、議論して事を決するしか方法はないと思い
ます。
時間はかかりますが、小学生の頃から、教壇で自分の考えを発表する教育を開
始すべきだと思います。
今日はこの一点のみ、お便り差し上げます。何かのおり、お答えいただければ
と存じます。
<太田>
すべてあなたのおっしゃる通りです。
日本は戦前既に縄文モードに切り替わっていたのです。
政府が大衆からの自立を果たせず、いたずらに大衆の意向に引きずられて行っ
た結果が支那事変の泥沼化なのです。
一日も早く、国の自立と個の自立、すなわち弥生化を実現しなければなりませ
ん。
<gideon>
コラム#2400を読みました。
こんな国、こんな組織(自衛隊)に核武装なんか任せられないんじゃないです
か?
腐敗体質云々と言うが、今のような俗世との交流が可能な狭い日本に緊張感を
持った核を扱う組織などどこへ置けるのであろうか?
いつでも作れるよ段階で置いておいた方が現実的でしょうから、平和利用を目
的としたプルトニウムを備蓄しておくべしでしょう。
<太田>
これもおっしゃる通りです。
国の自立と個の自立なくして、核武装などおこがましい限りです。
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20347
■
太田述正 2008.02.05 岩国への空母艦載機移転をめぐって(1)
2008/03/20 18:01
太田述正コラム#2347(2008.2.5)
<岩国への空母艦載機移転をめぐって(その1)>(2008.3.20公開)
1 始めに
米大統領予備選挙が山場のスーパー・チュースディを迎えていますが、日本の
岩国でも市長選の真っ最中です。
この市長選、在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地への空母艦載機部隊移駐受
け入れに反対する井原勝介氏(57歳。旧労働省キャリア出身)が容認派が多数を
占める市議会との対立の末にの辞職したことに伴うものですが、井原氏と、受け
入れに柔軟姿勢を示す前自民党衆院議員の福田良彦氏(37歳)と横一線で激しく
競り合っていると報じられています。
上記艦載機移駐計画については、最新の世論調査では「賛成」が15%、「地元の
意見を反映して修正すれば賛成」が31%、「反対」が47%となっており、10日の投
開票の結果が注目されます。
(以上、http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010101.html
(2月4日アクセス)、及び
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080205-OYT1T00033.htm?from=main3
(2月5日アクセス)による。)
この選挙の告示(3日)前に、次期大阪府知事の橋下徹氏が、福田氏を応援す
るする立場から、2006年に井原氏が岩国市長として実施した住民投票を「防衛政
策に自治体が異議を差し挟むべきではない」、「憲法が間接代表制をとっている
以上、住民投票の対象も絞られるべきだ」、と発言したり、井原氏を「憲法を全
く勉強していない」と批判したりして政治学者や憲法学者の顰蹙を買う、という
出来事が起こり、話題になりました。
(http://www.asahi.com/politics/update/0201/OSK200802010112.html(2月2日アクセス)、
http://www.asahi.com/politics/update/0202/SEB200802020019.html(2月3日アクセス))
橋下氏のこのような言動は、以下の三点で遺憾であると言わざるをえません。
第一に、橋下氏は自民党や公明党とは一線を画す形で大阪府知事選挙に立候補
し、当選したはずなのに、最近、何事によらず、権力にすり寄る姿勢を鮮明にし
ていることです。
第二に、橋下氏が、弁護士であり、かつ重要な首長戦に立候補し当選しながら、
憲法についても地方自治についても半可通でしかないことが露呈されたことです。
第三に、橋下氏が、日本の基地問題一般についても、岩国固有の基地問題につ
いても、まるで分かっていないとしか思えないことです。
2 岩国における基地問題の経緯
米海兵隊岩国基地は、海上自衛隊が共同使用していますが、ここに横須賀を母
港とする米空母の艦載機部隊を移駐させる計画があります。
この艦載機部隊の移駐に、騒音の増大を懸念して岩国市民の多くが反対してい
ます。
岩国基地の滑走路の沖合移設のきっかけは、1968年に九州大学に戦闘機が落ち
たことに遡ります。
同じ機種の戦闘機が岩国基地に配備されていることから、同様の事故が起きるの
を回避したい岩国の人々の強い要望を受けて、20数年後の1992年になってようや
く滑走路の沖合移設が決定し、1997年に着工、2008年度に完成する運びとなって
います。
(http://miyagi.no-blog.jp/nago/2007/12/post_9f4f.html。2月4日アクセス。
以下同じ)
この間、岩国基地沖210ヘクタールの広大な藻場や干潟の埋め立てが行われ、
これに2,400億円もの巨額な思いやり予算が投入されています。
なお、1992年6月の沖合移設決定時に、防衛施設庁(当時)と山口県、岩国市
の三者の間で、「NLPについては将来とも受け入れざるを得ないと思慮」と記した
文書を作成しています。
(以上、http://www.kokuminrengo.net/2005/200509-iwaguni.htm、
http://isaonaka3.web.infoseek.co.jp/airlines3/nichibei200504-2.html
による。)
2005年10月に、日米政府合意に基づく厚木基地(神奈川県)から岩国への空母
艦載機部隊の移駐計画が公表されます。
もともとは基地容認派であった井原市長は、岩国基地に配備される米軍機が将
来、現在の2倍の約130機と沖縄の嘉手納基地を上回る規模になることから、これ
に反対の意向を表明します。
二井山口県知事もこれに同調しました。
井原市長が2006年3月に住民投票を岩国市(旧岩国市)で実施ししたところ、
87%が艦載機部隊移駐に反対、という結果が出ました。
これに対し国は、2008年度末で終わる岩国市の新庁舎工事への補助を凍結する
という対抗措置をとります(注1)。(2008年度国家予算案では、補助金の計上
そのものが行われませんでした。)
(以上、http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/bakuon1.html、
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010301.html による。)
(注1)岩国市は、市庁舎本体工事費81億円のうち、これまでに得た14億円を含
めて最終的49億円の補助金を見込んでいた。
この補助金は、沖縄での少女暴行事件に端を発した1996年の日米特別行動委員会
(SACO)に基づき、沖縄の普天間基地から空中給油機の受け入れを表明した見返
りだった。
艦載機移転が日米間で最終合意された2007年5月、米軍再編の閣議決定に伴って
従来の日米安保の枠組みが変わったとして、空中給油機が来ることに変わりはな
いというのに、「SACO」の補助金は白紙に戻ったと国は主張するに至った。
これは、カネの威力にモノを言わせるという防衛省の防衛庁時代からのお馴染
みの手法であり、いかにも守屋がやりそうなことです。
(続く)
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20354
■
太田述正 2008.02.06 岩国への空母艦載機移転をめぐって(2)
2008/03/21 14:05
太田述正コラム#2349(2008.2.6)
<岩国への空母艦載機移転をめぐって(その2)>(2008.3.21公開)
井原市長等が艦載機部隊の岩国移駐に反対している(注2)のは、単に機数の問
題だけではありません。
(注2)昨年10月、広島市で岩国基地の海兵隊員による女性集団暴行事件も起き
た(コラム#2136)が、米兵の数が増えれば、米兵絡みの犯罪も増えることになる。
岩国でのNLPは2000年以来実施されていません(注3)が、岩国市がもともとNLP
の実施について政府に一筆入れていることもあり、艦載機のNLPがもっぱら岩国基
地で行われることになるのではないかと懸念しているのです。
(注3)2000年に全国各地でNLPが行われた経緯は、「NLPで役人を辞めた私」
シリーズ(コラム#2247、2249、2251、2255)に詳しい。
この懸念に基づき、岩国市は昨年11月末、「<岩国基地以外での>NLPの恒久施
設の明確化」の要請を防衛省に行ったところ、中国四国防衛局の月橋晴信局長は
「岩国に空母艦載機着陸訓練の専用施設は整備しない」と回答をしています。
しかし、NLP恒久施設を岩国基地から比較的近い所に確保することは容易なこと
ではありません。
米軍再編が決まる前の2003年に、旧広島県沖美町(現江田島市)が岩国に近い
大黒神島への誘致を表明したことがありますが、住民の猛反発や県、周辺自治体
の反対で一週間足らずで誘致表明を撤回した(コラム#99)経緯があります。
また、種子島の西之表港の12キロ沖の馬毛島がNLPの候補地になったとの情報が
昨年2月に表面化し、12月17日には開発業者が西之表市議会で誘致を正式に表明
しましたが、 同市や周辺自治体、議会は相次いで反対を表明しています。
(以上、http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010901.html
による。)
他方、当初艦載機部隊の移駐に反対した山口県の二井知事は少しずつ姿勢を軟
化させ、在日米軍再編が閣議決定された昨年5月以降は、事あるごとに移転を前
提に国と協議する必要があると唱え始めています。
その背景を、中国新聞の記事
(http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/bakuon3.html)
は、以下のように分析しています。
「県と市が共同で進めてきた102ヘクタールに及ぶ「愛宕山地域開発事業」。岩
国基地の滑走路の沖合移設工事と連動して1998年に着工した。基地を見下ろす愛
宕山を切り開いて埋め立て用の土を搬出。住宅団地に造成し、人口増と地域活性
化の夢を実現させる・・。だが、地価下落がこの構想を覆す。251億円の赤字が予
想される事態にこの6月、事業中止決定に追い込まれた。覚書では、赤字のうち
県が三分の二、市が三分の一をかぶる。借入金のうち80億円の返済期限は来年度
末。対策を講じなければ、財政難の県と市は危機的状況に陥る。艦載機部隊の岩
国移転が浮上したのは、県にとってもまさに渡りに船だった。将来の艦載機移転
と米軍住宅への転用を念頭に愛宕山の用地の大半を国に売り渡す―。巨額の赤字
負担の回避に向けて、県は明言しないが、内部ではこんなシナリオがささやかれ
ている。防衛省も、約3800人に及ぶ艦載機部隊の軍人・家族らの住み場所を確保
しなければならない。「買い手は防衛省以外にない。のどから手が出るほど欲し
い土地だろう」と県幹部はみる。こうして移転容認を迫る国と、赤字負担を回避
したい県の思惑が一致。愛宕山問題は国の切り札的な存在に浮上した。同じく赤
字負担のリスクを負う井原市長も「米軍住宅は容認できない」としながら、国へ
の跡地売却には合意する。」
と。
いずれにせよ、カネの威力は大きく、2006年3月の旧岩国市における住民投票
の時に投票者数の87%が艦載機部隊移駐に反対し、1市7町村の合併に伴う翌月の
市長選で井原氏が今度はこの新しい岩国市の市長に当選した頃の熱気は今や薄ら
ぎつつあります。
市議会の多数が移駐賛成に転じた中、昨年12月26日、市議会本会議で市庁舎建
設費に合併特例債などを充てる予算案を提案した井原市長は、突然「このクビと
引き換えに市民のために(補正予算案を)通してほしい」と発言しました。
これに対し、市議会の多数派は、特例債を(国が支出を拒否しているところの)
国の補助金に振り替える修正予算案を議員提案し、市議会はこの修正案を可決し
ました。井原市長に対する事実上の不信任決議と言えるでしょう。
(以上、http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2007122801.html
による。)
こうして井原市長は辞職し、今回の市長選となったわけです。
3 終わりに
基地容認派が一貫して多数を占めてきた岩国基地周辺の住民達が、基地機能の
強化に一斉に反発したのは、決して地域エゴなどではありません。
どうして岩国基地に艦載機部隊を移駐させなければならないか、政府は納得の
できる説明をしていないからです。
いや、納得のできる説明などできるわけがありません。
岩国周辺は工業地帯であり、近くには世界遺産の宮島を抱え、もうちょっと足
を延ばせば広島という大都会もあります。
こんな所に艦載機部隊を持ってこなくても、日本には艦載機部隊に内心来て欲
しい過疎地がいくらでもあるのです。
その一例として、私は以前青森県の三沢市を挙げた(「NLPで役人を辞めた私」
シリーズ)ところです。
米軍がアメニティーの充実した大都会に駐留したい気持ちは分からないでもあ
りません。とりわけ、米軍の家族にとってはそうでしょう。
奥さん達の英語教師のアルバイト先だって大都会ならいくらでもあるからです。
しかし、米国はその国益上米軍を前方展開する必要があるから日本に駐留して
いるのであって、しかも日本政府がその駐留費の相当部分を負担している以上は、
我が儘を通してもらっては困ります(注4)。
(注4)それにそもそも、艦載機の岩国移駐計画は中途半端だ。艦載機の整備部
隊は厚木に残すことになっているからだ。それに、艦載機は空母が出港する時期
が近づくと陸上のNLPに続いて相模湾に浮かぶ空母上で離発着訓練を行う。空母が
横須賀を母港とする限り、艦載機は岩国から厚木を経由して訓練場所に通うので
はないのか、結局、米軍は厚木と岩国との間をひっきりなしに行き来し、二つの
基地を自由に使うつもりではないか、という懸念の声が上がっている。
(http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008011001.html)
そもそも、空母の母港だって、首都圏の真っ只中の横須賀からテコでも動かさ
ないというのはいかがなものでしょうか。第一、次の空母は原子力空母なのです。
しかし何と言っても一番悪いのは日本政府です。
日本が安全保障を米国にぶん投げているというのに、日本政府は決して、その
米国の軍隊が日本に駐留しやすくするための抜本的な措置を講じようとはしてき
ませんでした。
そんな日本政府に米軍が反発すると、NLPのケースで言えば、日本列島から遠く
離れた硫黄島にNLPの訓練場を設けたり、そのために米軍に余分にかかる燃料代を
負担したりして、カネの力で反発をなだめてきました。
その一方で日本政府は、米軍受け入れをしぶる自治体や地域住民に対し、やは
りカネの力で封殺して言うことを聞かせてきました。
その結果、米軍の対日感情も、日本国民の対米軍感情も、長期的には次第に悪
化しつつ現在に至っているのです。
こんなことをいつまで続けているつもりなのでしょうか。
もはや日本にはこれまでのように大盤振る舞いを続けるカネなどないというの
に・・。 岩国市民の皆さん、ここは歯を食いしばって井原市長を勝たせましょ
う。
そして、政府・自民党を狼狽させましょう。
日本の覚醒、日本の米国からの自立は、こうした異議申し立てを重ねることな
しには不可能だからです。
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20366
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太田述正 2008.03.21 皆さんとディスカッション(続x91)
2008/03/21 19:07
太田述正コラム#2436(2008.3.21)
<皆さんとディスカッション(続x91)>
<NTT Food Company>
佐藤閣下のブログでもそうですが、”貴殿の発言のみに対して”「理解<し>
難か<く感じたり>誤解され<る>」方が多いというのは、それは即ち”貴殿の
発言方法に問題が有る”からです。
何故なら、貴殿以外の人の発言に対しては その様な指摘はされていないから。
故に、貴殿が発言方法を改めるべきでしょう。
<健次郎>
太田先生は博学で頭脳明晰な方と思います。
されど非常に残念な事には、議論の場では自説に固執し他人の説を尊重せず、
自説に陶酔し、意見調整が出来ませんね。従つて全体の議論を建設的で良き流れ
に導く事にはならず、混乱をきたす事になりかねません。
これでは、志ある侍の言辞とはなりません。謙虚で無心になつて日本国の国益
追求の為、全心全霊を投じて頂きたく、思考致しております。
<太田>
お二人とも注文が多すぎます。
子供じゃあるまいし。
私がTVで言っていることがよく分からないので理解したいと思われたのなら、
私のコラムのバックナンバーをお読みになればいいでしょう。それでも分からな
ければ、手の施しようがありません。
分かったけど、言っていることが気に入らないというのであれば、だまって退
出されるか、(私が力説しているように、典拠付きで論理的な)議論を私に吹き
かければよろしい。
>謙虚で無心になつて日本国の国益追求の為、全心全霊を投じて頂きたく、
カラスの勝手でしょ。
<NTT Food Company>
支那は近年ずっと2桁代の軍拡を行っており、アメリカを含めた西側諸国はそ
れを脅威的に捉え警戒しています。
http://jp.youtube.com/watch?v=wMIUJpnr3uo(↑私がアップした動画です。)
自衛隊員現在約25万人に対し支那はその約10倍の兵力(公式発表)です。
支那は核保有国でその狙いを日本に向けているというのを認識していますか?
今の日本にこの支那と渡り合える軍力・兵力が有るのですか?
有るというのなら、支那と比較した具体的な数値などを提示してそれを元に説
明して頂きたい。
<太田>
中共の人口は日本の10倍であり、国土面積は日本の25倍です。
しかも、中共の隣接国のうち4か国(ロシア・インド・パキスタン・北朝鮮)が
核武装しており、このうち与国と言えるのは北朝鮮くらいです。
しかも、国内ではチベット等騒擾の可能性をあちこちで抱えていまし、台湾向
けの軍備も必要です。
対日志向可能兵力なんて、中共総兵力のほんの一部に過ぎません。
ですから、質を考慮するまでもなく、中共と日本の兵力量を比較することに意
味は全くありません
さて、つい最近も述べたように、中共には目と鼻の先の台湾にすら、着上陸す
る能力はもとより、海上封鎖する能力もまだありません(コラム#2421)。
琉球列島にだって、沖縄本島(及び韓国)に米空軍がいて、また、沖縄本島に
米海軍がいつでも対潜機のP-3Cを展開できる以上、着上陸する能力はもとより海
上封鎖能力もありません。
日本本土を論じるまでもありません。
残りは日本(琉球列島を含む)への経空攻撃・・ミサイルまたは航空機による
攻撃・・の可能性です。
台湾の反撃力(経空攻撃能力)は弱体なので、これだけは確かに台湾にとって
脅威です。
しかし、日本周辺には米海軍の(ミサイルを搭載した)攻撃型原子力潜水艦が
遊弋しており、多くの場合は(ミサイル及び航空機を搭載した)空母機動部隊も
います。沖縄(及び韓国)には米空軍もいます。
これらの反撃力は強力なので、中共の経空攻撃は完全に抑止されていると言っ
てよいでしょう。
ですから、日本にとっての中共の軍事的脅威は北朝鮮と同様、テロリスト的攻
撃と核攻撃だけです。
テロリスト的攻撃に対しては海保や警察力を増強するのがスジであり、せいぜ
い機動力の高い陸上自衛隊2〜3万人を維持すれば十分すぎてオツリが来ます。
核攻撃に対しては、米国の核抑止力の実効性を高めればそれで十分だと思わな
けりゃしょうがないでしょう。
(私自身は、日本が核武装をすることをいやいや提唱してますがね・・。)
<大学生>
太田さんのブログで櫻井議員の名前が出るとは思いませんでした。
櫻井議員の国会質疑を拝聴していると、民主党にも期待せずには居られません。
日本の医療行政を真面目に考えているのは櫻井議員、小池議員(共産)、舛添
大臣以外知りません。
ただし舛添大臣は厚生労働省になった途端、なにかのせいで答弁が窮屈になり、
自民党の政治家としての下り階段を転げ落ちてる過程なのかな、という気はしま
す。
<太田>
面識はないけれど、その言動からして野田佳彦も弥生人ではないでしょうか。
私が面識がある山村健衆議院議員(三重県南部選出)も立派な弥生人だったけ
れど、民主党のひどさに愛想を尽かせて議員を辞めちゃいました。
防衛問題でも共産党はよく勉強してますね。
共産党の議員達がいかなるインセンティブに基づいて猛勉強しているのか、私
にはいまだによく分かりませんが・・。
なお、舛添君はパーフォーマンスは超一流だけど、彼を買いかぶっちゃいけま
せん。
東大法同期で面識もあるのであからさまには書いてないけど、コラム#2152、
2176 から私の言いたいことをご推察ください。
舛添君と違って、もう一人の同期である前財務省財務官の渡辺博史君は、その
国際通ぶりといい、人柄と言い、能力といい、ケチのつけようがありません。
旧大蔵省大嫌い人間の私だって、自民党が彼を日銀総裁にすると言えば、自民
党の延命につながるかもしれないけど、諸手を挙げて賛成しますよ。
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20370
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太田述正 2008.03.22 皆さんとディスカッション(続x92)
2008/03/22 18:02
http://blog.ohtan.net/archives/51169149.html
太田述正コラム#2438(2008.3.22)
<皆さんとディスカッション(続x92)>
<Fan>
太田述正さんが久々に出演するということで、さっき「太田総理〜」を観ました・・・・・が太田さんの発言がほとんどない!たぶん、カットされたんでしょう。
なめてますね、ったく・・。
<友人TK>
太田君の今日の出番はほんとに1回だけでしたね。
残念です。省庁別天下りを見るといかに防衛省が多いかあらためてびっくりです。
今世紀中には天下り禁止法案は実現するのではないかと思うのですが。
<ちょいまる>
テレビたった今拝見しました。
述正氏の主張、時に国家機密級のお話(日本の給油艦の石油がタダの理由など)をテレビにて楽しく拝見させてもらっております、一視聴者です。
今日は官僚と天下りの問題、まさに述正氏の独壇場か?と思って楽しみにしていましたけど、テレビ番組と言うのは、非常に浅はかなもので、貴重な述正氏のご意見をカットして、どこぞの首相のイケメンのお孫さんばかり出てきて非常に落胆しました。
ワタクシ、ほんと述正氏の主張を聞きたかったです。(もちろんブログのことは知ってます。しかし、たとえ同じ事を述べたのだとしても、声と表情から情報を識別することと、文字から情報を識別することは、似て非なるものですよね?)
そこで、お忙しいのを重々承知で、述正氏に二つほどお聞かせ頂きたく思います。
一、平沢氏の役人の評価基準 ・予算を多く取る ・天下りポストを多く作る ・予算を年度末までに使い切る
もし本当にこの三つが基準なのであれば、基準が曖昧などと言うよりも大変な事態だと思うのですが、上記の主張は事実だと思われますか?
二、官僚は、「こんなに多く国民のために働いてきてやったのだから、天下りしてもいいだろう」と言う意識が根底にあるように思うのですが、いかがでしょう?
ワタクシ、官僚のことなど分かりませんし、述正氏にしてみたら、本当に低レベルな質問になってしまっているのかもしれません。ですが、素直に思ったことを聞かせてもらいました。
それでは。日々、貴重な情報を発信して頂き感謝しています。今後もご活躍を期待しております。
<太田>
収録状況について、コラム#2414で、
「私としては、天下りは所属官庁の人事当局が行う人事異動であって、天下る官僚の給与をカットするに等しい退職金カットをやるのは筋違いだ、という点を述べることができたので役割は果たしたと思います。これに対し、太田総理が、「太田さんの言うことはいつもマニアックだ」と言ったのにはガックリきました。なお、フリップの多くに私と似た人物のマンガが描かれており、フリップが用いられるたびに笑いを呼んでいました。」
と記したところです。
フリップのところが活かされていたのは予想通りでした。
前段が放送ではパスされていたのは残念ですが、番組制作者としては、マニフェストのできが悪いと指摘しているに等しい私の発言を流すわけにはいかなかったということでしょう。
これ以外に私が行った発言は、放送された、「ハローワークで仕事が見つかる官僚OBなど100人のうち1人か2人だ」というのと、放送されなかった「恩給制度等の復活を見合いにして天下り禁止を断行すべきだ」くらいです。
どうして私がそもそも余り発言しなかったかと言うと、天下り禁止については、国民のコンセンサスが形成されつつあると思うからです。
それは、まさに天下り先ポストを増やすことに警察庁時代に血道をあげた平沢議員が天下りを批判する言葉を番組中に弄せざるを得なくなったところに端的に表れています。彼は何と自民党が通した人材バンクまで機能しないとこき下ろしてましたよね。
落選の恐怖が彼をそこまで追い詰めているのです。
こうなると私が懼れるのは、民主党政権ができた暁に、何の見返りもなく天下り禁止が断行されかねないことです。
そんなことをしたら、せっかく出来たばかりの民主党政権が官僚機構挙げてのクーデターによって覆される懼れがあるし、そうならなかったらならなかったで、キャリア官僚のなり手がいなくなってしまうかもしれませんよ。
元へ戻って、少なくとも、天下りをする(させられる)個々の官僚をバッシングすることは控えるべきだと思うのです。これは、腐敗・退廃している守屋のような個々の官僚をバッシングすることは控えるべきだというのと基本的に同じ趣旨です。
問題は個々の官僚の資質や規範意識ではなく、政官業の三位一体的癒着構造である、という認識が必要なのです。
おっと忘れるところでした。
「ちょいまる」さんの質問二には以上記したことでお答えになってますよね。
質問一についてですが、「予算を多く取る ・天下りポストを多く作る ・予算を年度末までに使い切る」のうち、最後の点は予算制度の問題なので横に置き、これを「カネ、ヒトを多くとる(減らさない)」と言い換えれば、平沢氏の言う通りです。(天下りも人事の一貫なのだから、天下りポストも現役のポストも区別すべきではありません。)
これに長けている官僚は、理屈と政治力(省内、官僚機構内、対政治家)に秀でているということであり、評価基準として間違っているとは思いません。
しかも、官僚は平均2年で他のポストに転じ、かつ次第に出世して行くので、この評価基準そのものが既得権益化・タコツボ化をもたらす、というわけではありません。
問題は、自民党恒久政権の下で、人事の一貫と化してしまった天下りが黙認され、その見返りとして自民党の族議員が、各官庁、各部局、及びそのそれぞれの関係業界・業者と癒着することによって、各官庁、各部局において既得権益化・タコツボ化がもたらされた結果、官僚が各官庁、各部局において理屈と政治力を発揮すればするほど、この既得権益化・タコツボ化が進展してしまうところにあるのです。
<友人TK>
それはそうと、チベット問題はなぜ日本政府ならびに外務省は中国を責めないのでしょうか?
見殺しにしていいのでしょうかね?
<コバ>
--Freedomーloving people! --
米国のペロシ議長がダライ・ラマ法王と面会し、中国批判を行った模様です(http://edition.cnn.com/2008/POLITICS/03/21/tibet.dalai.lama/index.html)。
日本にもペロシさんみたいなカッコいい女性リーダーがいたらなあ、と思います。でも日本の市民団体がチベットに関して中国に抗議している活動もあまりないようだし、ペロシさんが言うFreedomーloving peopleは日本の人たちの中にはほとんどいないのかな、と非常に残念な気持ちになりました。日本の衆議院議長はといえば・・。暗たんとした気持ちになってきました。
<太田>
ペロシ米下院議長は、対日慰安婦非難決議を通させた人物でもあります(コラム#1890)。
彼女を始めとする米国の政治家の多くは日本も中共も同類だと見ているに違いありません。
彼女らがカッコいいだなんてとんでもないと言いたいところです
しかし、自発的に米国の属国たることに甘んじている日本と、チベットを属国化しただけでは飽きたらず、強引にその植民地化を押し進めている中共とが彼女らによって同類視されても、文句は言えないのかもしれません。
いずれにせよ、河野衆議院議長や福田首相が中共の弟分だということは元々周知の事実(福田氏についてはコラム#1075)です。
弟分がアニイを批判するわけがないでしょ。
立法府の長と行政府の長に彼らを据えたのは日本国民の皆さんが選んだ自民党議員じゃなかったっけ。
<コバ>
香港では、中国製の危険な食品が発見されたら、直ちに輸入禁止措置を取るそうです(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/1f4755a16bb363c76eb30284fec82210)。
日本の不自然な対応は中国に配慮したため? ギョーザ事件をきっかけに中国製食品などの安全性がもっと高くなってくれればいいのですが・・。
また、中国も米国と同じように、安全保障に無関心なのに食品の安全性にはヒステリックになる日本を不可思議に思っているのではないでしょうか。このヒステリーは外国製食品に対する日本人の縄文人的な怒りなのか・・。
散漫な雑文で失礼しました。
<太田>
自分で言うのも何ですが、わが縄文モード/弥生モード論は中々含蓄ありますね。
縄文人は自然との共生論者ですから有機農法志向であり、農薬をムチャクチャ使う中共農業に拒絶反応を示した、という受け止め方もできますね。
<友人TK>
また、暫定道路特定財源ですが、在庫分は値下げしないそうで どんどん在庫を積み増しさせて時間稼ぎするような姑息な手段をつかうようですね。
財源のあるだけの範囲で生活すべきだと思いますし、全国の老人の救急運搬のために高速を作るのはよしてほしいと思います。
<太田>
基本的に、
>財源のあるだけの範囲で生活すべきだ
からこそ、増えすぎた国債を償還するためにも、当面、道路特定財源はカットすることなく、一般財源に組み入れるべきなのです。
落としどころは分かりきっているのに、福田さんは道路族に気兼ねしてぐずぐずしているのですなあ。
<友人TK>
日銀の新総裁について民主党がこだわるのがよくわかりません。
そんなに重要な課題ではないと思いますが。
どうでしょうかね?偏っているかな?
いろいろ腹の立つ毎日です・・。
<太田>
日銀総裁が重要なポストであるかどうかはともかく、財務省の嫡流たる事務次官経験者を総裁に据えることにこだわる福田首相の方がおかしいに決まっています(http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080320/stt0803201219001-n1.htm。3月20日アクセス)
福田さんが旧大蔵省勢力のエージェントであることもまた周知の事実(コラム#2064、2258)であり、そのことが彼の目を曇らせているのです。
小泉氏にはまだ幻想を抱いている人がいるようですが、少なくとも安倍、福田両氏の目もあてられないほどのダメさかげん・・その発現形態は異なるが・・はどなたの目にも明らかでしょう。
彼らのような首相を持って恥ずかしくありませんか。
すべては自民党恒久政権を許した日本国民たるあなた方が悪いのです。
<大>
コラム#2347、2349についてですが、
>第二に、橋下氏が、弁護士であり、かつ重要な首長戦に立候補し当選しながら、憲法についても地方自治についても半可通でしかないことが露呈されたことです。
第三に、橋下氏が、日本の基地問題一般についても、岩国固有の基地問題についても、まるで分かっていないとしか思えないことです。
という二点の批判を橋本氏が受けた理由がよくわからなかったのです。
一言われて十を理解できるタイプではないので、せめて三か四くらいは使って教えてください。
<太田>
一番目については、
「橋下氏の発言に対し、小林良彰・慶大教授(政治学)は「この種の住民投票には法的拘束力がない。住民の意思の確認・表明なのだから、それを憲法が制限することはあり得ない」と指摘。「防衛は国の専権事項だが、基地問題は地元住民にとって生活問題だから、意見を言う資格がある。それは憲法 が認めた言論の自由だ」と述べ、「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないか」と皮肉った。
小林節・慶大教授(憲法)は「橋下さんは憲法を紋切り型に解釈しているのではないか」と首をひねる。「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。
奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は「法的拘束力のない住民投票の是非について、わざわざ憲法を引き合いに出すこと自体が論外」と突き放した。「弁護士が『憲法』と言えば、いかにも説得力があるように聞こえるが、政治家として政治的な発言をしたまでのこと。人びとの注目を集め、目的は達成したんじゃないのかな」と冷ややかに語った。」(http://www.asahi.com/politics/update/0202/SEB200802020019.html。2月3日アクセス)
くらいでよろしいですか。
「右」から「左」まで、憲法学者や政治学者がこれだけ声を揃えるのは希なことですよ。
二番目については、全面的に岩国問題をとりあげたコラム#2347、2349、や同問題を部分的にとりあげたコラム#2358、2362、2395を参照して下さい。
20376
■
太田述正 2008.02.07 オバマ大頭領誕生へ?(続x4)
2008/03/23 09:29
太田述正コラム#2351(2008.2.7)
<オバマ大頭領誕生へ?(続x4)>(2008.3.22公開)
1 始めに
2月5日火曜日、いわゆるスーパーチュースディに全米22州で大統領予備選が
一斉に行われ、オバマが14州を制しクリントンが8州を制したところ、両者は、
(カリフォルニア州等で不在者投票分がまだ確定していないものの、)ほぼ同じ
得票率、つまりは選挙人数を獲得し、両者とも勝利宣言を発するという結果にな
りました。
この22州における予備選の分析を行い、今後の展望を占ってみましょう。
2 分析
(1)全般
出口調査の結果は、オバマが若年者、高学歴層、黒人に支持され、クリントン
が女性、労働者、ラティノ/アジア系に支持されていることをはっきり示してい
ます(http://www.guardian.co.uk/uselections08/story/0,,2253170,00.html。
2月7日アクセス。以下同じ)。
(2)黒人差別を克服した米国社会?
ただし、このうち黒人にオバマが支持されていることが、米国社会の黒人差別
性を意味しているかどうかについては、意見が分かれています。
事前の世論調査でオバマがクリントンに追いついたとされていたマサチューセ
ッツ、カリフォルニア、ニュージャージーでクリントンが楽勝したのは、ブラッ
ドレー効果(コラム#2294)によるのではないかとする指摘があります。
(そして、そのように受け止める人が多ければ、オバマを民主党大統領候補に
指名したとしても、本戦で共和党候補にブラッドレー効果で敗れるのではないか
という懸念から、今後オバマが伸び悩む懼れがある、ということになるわけです。)
(以上、
http://commentisfree.guardian.co.uk/jonathan_freedland/2008/02/it_aint_over_yet.html
による。)
これに対し、米国社会が黒人差別を克服したことは明らかだとする指摘もあり
ます。
今回オバマが、党員選挙ではなく党員集会(caucus)が行われた7州(いずれ
もオバマ勝利)、を除く15州中の11州で、20年前に黒人で民主党大統領予備選に
立候補したジェシー・ジャクソン(Jesse Jackson)がとった白人からの最高得
票率たる20%強を超える白人得票率を獲得したし、8州では得票率40%を超えたし、
コネチカットではクリントンと白人得票率がほぼ同じだったし、カリフォルニア
ではクリントンを上回り、ユタとイリノイでは大きく上回ったことからそう言え
る、というのです。
(以上、http://www.slate.com/id/2183835/、による。)
私としては、後者の指摘が正しいと信じたいところです。
(3)支持層から見たオバマとクリントン拮抗の異例さ
クリントンは、その支持層から見て民主党最強の候補のはずなのに、今回両者
の得票率が拮抗したというのは異例であるという指摘がなされています。
実際、過去においては、ハート(Gary Hart)はクリントン的支持層に支持さ
れたモンデール(Walter Mondale)に、ツォンガス(Paul Tsongas)とブラウン
(Jerry Brown)はビル・クリントンに、ブラッドレー(Bill Bradley)はゴア
(Al Gore)に民主党大統領予備選で敗北しています。
今回オバマがクリントンと拮抗することができたのは、オバマがハートやブラ
ッドレーと高学歴者、リベラル、無党派層という支持層を共有しているだけでな
く、熱狂的な若年層と、ハートやブラッドレーが望むべくもなかったところの黒
人、という二つの新たな重要な支持層を持っているからだ、というのです。
(以上、
http://blog.washingtonpost.com/the-trail/2008/02/06/dems_evenly_matched_
support_me.html?hpid=topnews、による。)
(4)党員集会に強いオバマ
今回党員集会が行われた7州すべてでオバマが勝利しただけでなく、今まで党
員集会が行われた州のうちアイオワ州でも彼は勝っており、党員集会でクリント
ンが勝利したのはネバダだけです。このネバダは、クリントンの支持層であるラ
ティノが多数を占めているという特殊事情がありました。
これは、直接会った人を惹き付けて止まないオバマの魅力に加えて、オバマに
心酔した支持者達による熱意溢れかつ徹底的な電話作戦や戸別訪問・・これは党
員投票が行われるような人口の多い州では十全には実施できない・・に起因する、
というのです。
(5)投票率の高さ
今回投票率は27%に達し、これは過去最高であった1972年の民主党予備選投票
率の25.9%を上回る史上最高でした。
(以上、
http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2008/02/06/the-results-its-all-in-the-details/
による。)
3 今後の展望
(1)オバマ不利説
ブラッドレー効果を心配する指摘については既にご紹介したところですが、そ
のほか、オバマが、クリントンの支持層である労働者層における支持を増やさな
いとクリントンに勝てないのではないかとする指摘があります。
その鍵をにぎっているのは、一つは、労働者層の心に響く経済政策をオバマが
打ち出せるか、そしてまた、労働者層に一番強く、既に予備選を降りたエドワー
ズ(John Edwards)前上院議員の支持を取り付けることができるかだ、というの
です。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/uselections08/comment/story/0,,2253692,00.html
による。)
(2)オバマ有利説
これに対し、オバマ有利説はひきもきりません。
まず、彼は選挙資金面でクリントンより優位に立っています。
1月の寄付受け入れ額はオバマが3,200万米ドルであったのに対し、クリントン
は1,300万米ドルにとどまっており、ついに自分のカネを貸し付けるところまで追
いつめられています。
これは、オバマの支持者の方が寄付する人が多く、しかもその大部分は小額寄
付者なので、何回も追加的寄付ができるのに対し、クリントンの支持者で寄付す
る人は少なく、しかもその多くは多額寄付者で、既に一人当たり寄付額目一杯寄
付している人が多いためです。
ということは、今後クリントンの寄付集めはますます苦しくなっていくという
ことです。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/uselections08/barackobama/story/0,,2253603,00.html
による。)
次に、これからの予備選でのオバマの優位が予想されていることです。
ワシントン州は党員集会なので、オバマ勝利はまず間違いありませんし、ルイ
ジアナもネブラスカもワシントン市もメリーランドもバージニアも黒人党員が多
いことからオバマが有利です。
また、ハワイはオバマが育った所ですし、ウィスコンシンでは州知事がオバマ
支持を表明しています。
一方クリントンが優位にあるのは、州知事が支持を表明しているオハイオ州や
ペンシルバニア州くらいなものなのです。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/uselections08/hillaryclinton/story/0,,2253207,00.html
による。)
4 終わりに
オバマ優位は固まったと私は見ているのですが、いかがでしょうか。
オバマが暗殺されでもしない限り、オバマは民主党の大統領候補となり、米国
の大統領になることでしょう。
予想がはずれたらどうするかって?
クリントンが大統領になったって、女性差別撤廃論者でもある私としては、祝
杯を挙げるつもりですから、別にどうってことありません。
どっちに転んでも、ブッシュよりは全然マシですよ。
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20377
■
太田述正 2008.03.23 読者の声
2008/03/23 09:46
http://blog.ohtan.net/archives/51169686.html
太田述正コラム#2440(2008.3.23)
<読者の声>
<読者AH>
3月15日の桜チャンネルを拝見しました。
以下、感想を述べます。
(1)日本はアメリカの属国なのか、自衛隊は軍隊ではないのか
【私見】出席者の多くはこの見識に反発していました。わたくしは太田さんの見識に同意します。
とくに荒木氏の“法律的には太田さんの言う通りかもそうかもしれないが、日本は独立国であり、自衛隊は軍隊である。自衛隊は国のために働く覚悟である。太田さん意見は官僚的論議である。”という趣旨の発言には同意できません。
現下の安全保障問題の根本は憲法9条の問題です。まさに“法律”が問題なのではないでしょうか?
しかし、かつてもいまも、法律家たちが、憲法9条関連の法解釈あるいは集団的自衛権の議論において、常識で受け入れることが困難な論理を展開するのを目撃するとき、荒木氏の肩を持ちたくもなります。
にもかかわらず、ここはキッパリ割り切るべきです。“そうあってはならない”ことは“ない”のだという「事実と願望のすりかえ」をかかえていては“戦争”に勝てないと思うからです。
(2)国土防衛か世界の平和と安定の維持か
太田さんは“現在の日本に脅威はない、それよりも世界の安定と平和のために貢献することが日本の国益を実現する”という趣旨の発言をしました。
これに対して、出席者すべてが、“現に日本は、尖閣列島、竹島、北方領土などの領土の問題、中国や北朝鮮の核ミサイルの問題など眼前の脅威に曝されている。その中でのこのような意見は、サヨクの平和論選ぶところがない”とでも思ったか、太田見解に強く反発しました。
日本の国土を守るということにのみ専心することは問題を矮小化する、とする太田さんの見解を、わたくしはつぎのように理解して、同意します。
【私見】戦争とは、正規の軍隊で侵略するばかりではない。
孫子は「上兵は謀を伐つ、其次は交を伐つ、其次は兵を伐つ、其下は城を攻む」と言います(謀攻篇)。敵国の侵攻は、計画のうちに叩き潰すのが最高の戦争で、次善は、敵の条約関係を分断することである。最低の戦争は敵が堅固に守っている城を攻めることだ(城攻めは金がかかって、犠牲も大きい)、というのです。
現代では、“宣伝戦”“洗脳戦”が戦争リストの重要アイテムに加わっています。
出席者の頭には、北朝鮮や中国が“国土を侵す”脅威で大きく占められているように思えました。孫子のいうところの低次元の戦争(城攻め=誰の目にも明らかな戦争・侵略)です。
そのような脅威は確かに存在し、それへの備えは不可欠です。しかし、地政学的に好条件にある日本にとって、しかも現代においては、この種の脅威よりも、“謀を伐たれない”(防諜)こと、“交を守る”(日米同盟)こと、さらには宣伝戦、洗脳戦に負けないことのほうがはるかに重要です。
戦争の局面は多彩であるのに、“領土を守る”ことに熱中するのは、“問題の矮小化”といえます。
イラク、アフガニスタンなどにおいて軍事的存在感を示し、国際社会の平和に影響力を示すことは、日本の国威を発揚して、国の安全の保障に寄与するものと考えます。
(3)国民は変わったか
荒木氏も潮氏も“拉致以来国民は変わった”という意見でした。
【私見】変わったことは事実です。しかし、この変化は“表面的”なものであり、“実体の変化を生むエネルギーを孕む”変化には至っていないと思います。
したがって、“国民はまだ変わっていない”というべきであると思います。
(4)議論の在り方
わたくしは、かねてからチャンネル桜や、ブログでの佐藤守氏の話に興味をもっていました。そうしたことで、太田・佐藤の取り合わせには期待していました。佐藤氏も“私は彼のこの著書(防衛庁再生宣言)から、今回は大いに現場の実態を腹の底から語り合える内容が濃い討論会になるものと期待していた”と言っています。
しかし、その後に“討論は堂々巡りを繰り返すだけでなかなか進まないうちに時間切れで終わってしまった。それが視聴者にも不快感を与えたのであろう。”という文章が続いています。
わたくしは、議論の基礎の違いが極めて明白で、そうした意味ではとても分かりやすく、“不快”ではありませんでした。討論者が(もちろん視聴者も)、議論の基礎あるいは前提の違い、あるいは理論の射程の違いを実感することが、この番組の意義であると思います。議論を深めるためには、このような過程は不可避であり、これを避けようとすれば、仲良しクラブになってしまいます。
(以上、いずれも引用は、http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20080316)
(5)結び
コラム#2422に“私は「左」の人々とはおおむね意見を同じくし、結論だけが正反対になるのに対し、本日のように「右」の人々とは結論だけが一致する”とあります。
現下の日本において、焦眉の急は「国の自立」です。このことについて一致している人たちが、そこに至る道すがらもめていては困ります。なんとかならないものでしょうか。
福沢諭吉はこう言っています。
「かくの如く事物の本に還らずして末のみを談ずるの間は、神儒仏の異論も落着するの日なくして、その趣はあたかも武用に弓矢劍鎗の得失を争うが如く際限あるべからず。もしこれを和睦せしめんと欲せば、その各主張する所のものより一層高尚なる新説を示して、自から新旧の得失を判断せしむるの一法あるのみ。弓矢劍鎗の争論も、かつて一時は喧しきことなりしが、小銃の行われてより以来は世上にこれを談ずる者なし。」(文明論之概略 岩波文庫 p17)
太田さんの見識は、ここで言う“一層高尚なる新説”に当てはまります。しかし新説は、多くのエモーショナルな反応をよび起こします。この拒絶反応をいかに解消して、前進のエネルギーに転換できるか、工夫のしどころと考えます。
最後に、『防衛庁再生宣言』のおかげで福沢諭吉に出会いました。有難うございました。
<Papa Meilland>
2週間ほど前のコラム#2422で、
「私は「左」の人々とはおおむね意見を同じくし、結論だけが正反対になるのに対し、「右」の人々とは結論だけが一致する、何とも悩ましいですね。私と同じスタンスの人、名乗り出て下さい!」という太田さんのボヤキに近い発言があったことを気に留めていました。
「居ますよ!」そういう人。
「太田さんの主張や見解、そして結論は、私にとっては余りに当たり前過ぎて、当然過ぎて、大きな声で論じるほどの価値も無い! 論じる必要があるのは、その価値観や判断基準を当然の前提として、今日本が持っている力を今後どの様な方向に優先順位を付けて振り向けて行くかの議論である。」と考えている者がここに少なくとも一人は居ます。
そして、多分私の周りに居る人達はほとんど皆そう考えています。
でも、そのことを声を大にして騒ぐ人は少なくとも私の周りには一人も居ません。
大丈夫、サイレント マイノリティーの存在を信じてください。
普通の教育を受け、普通の(日本語の)新聞とテレビ程度の情報を得、人類が辿ったと思われる歴史を高校の歴史教科書のレベルで学び、ここ100年ほどの世界の動きを中学生レベルの常識を持って俯瞰すれば、当然の帰結として太田さんの主張の通りになると思うのですが、そうではないのですかね。
太田さんの主張や見解は高度の情報源に接してのご判断と拝察しますが、少なくとも私は平均的な日本人として、普通の新聞とテレビと低俗週刊誌からの情報以外は何も得ておらず、その限りに於いてさえも太田さんの結論以外の結論には成り得ないのです。
私の思考方法は人間社会の日常の生活で起こるごく当たり前の出来事の展開とその顛末を世界情勢に引き直して観察しているだけですが、太田さんの主張と全く同じ結論に至るのです。
他の主張をする人は余程高度で特殊な情報を入手しての判断なのだろうか?
それとも、私には他の日本人が常識としている何か決定的な知識や情報が欠落しているのだろうか?
要するに、平素何のコメントも反論もしませんが、それは普通に仕事を持ち普通に生活している者の通常の行動であり、一々そうだそうだと言って騒ぎ立てたりはしません。
一生懸命著述をなさり世論に訴え掛けても何の反応も無いというのはご不満とは思いますが恐らく私と同様の考え方をしている人は結構多数居られると想像しています。
なぜなら私と同程度の教育と環境で育った人は五万と居る筈だからです。
「ゴキブリ一匹見つけたら数百匹居ると思え」の例えの通りサイレント マイノリティーはかなり居るとお考えになって良いのではありませんか。
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<太田>
どうもありがとうございました。
それぞれほんの少しずつ、体裁を整えさせていただきました。
20382
■
太田述正 2008.03.23 皆さんとディスカッション(続x93)
2008/03/23 17:39
http://blog.ohtan.net/archives/51169865.html
太田述正コラム#2440(2008.3.23)
<皆さんとディスカッション(続x93)>
<藤九郎>
「日本国の国益追求」(コラム#2436)とは何なのか。
巷の大勢は、目先の利益の獲得に汲々としている姿以上のものは感じられませんが、公正なルールに基づく国際秩序を求めることこそ「日本国の国益」だろうと思います。太田先生の見解をお聞かせ下さい。
<太田>
おっしゃるとおりでおおむねよろしいかと思います。
政官業の三位一体的癒着構造をつくりあげたのは、「目先の利益の獲得に汲々として」きた日本の有権者達です。その結果が自民党、防衛省、外務省、財務省、国交省、厚労省、農水省等の官僚機構、更には政府と関わりの深い業界、業者の腐敗・退廃となって長期的な損失をこの有権者達にブーメランのようにもたらしているのです。
対外政策だって、「目先の利益の獲得に汲々と」しない形で推進されない限り、長期的な利益を日本にもたらすはずがありません。
ただし、日本の場合、その前に政府の自立・・三位一体的癒着構造から解放と米国からの「独立」・・を果たさなければなりません。
<有料読者OS>
質問させていただきます。
所謂”民主主義”が国家の政治形態として成立するのでしょうか。成立している国はあるのでしょうか。(どこまでを成立と呼ぶのは難しいでしょうが。)つまり、日本の今の腐敗政治に対する批判として、「そのような政治家を選んだ国民であるあなた方が行けないのだ。」(コラム#2438)が成立するのでしょうか?
政治が科学者や経済学者のような(ただし、一流の)プロが担当すべき専門職であれば、それを素人の国民が評価し、選任するなど、本来無理ではないのか? 本音のお考えを是非いただきたいと思います。
<太田>
政治が専門職であれば、政治家養成校が先進民主主義国のどこにでもあるはずですが、日本の松下政経塾くらいしか思い浮かばないところを見ると専門職ではなさそうですね。
(米国を見ると、ロースクール(法科大学院)が相対的に多くの政治家を輩出している専門職養成校ですね。たまたま、現在の民主党大統領予備選を戦っているオバマもクリントンもロースクール出身者です。ちなみに、昨日投票が行われた台湾総統選を戦った馬も謝もそうです。)
そりゃそうであって、人間は社会の中で生きている社会的動物である以上、多かれ少なかれ、誰しも政治を実践しているのです。ですから、特定の政治家が政治が上手か下手かを判断することくらいは、大抵の有権者にとって可能であると考えてよいでしょう。
<HUNA>
--コラム#2438と3/21の「太田総理〜・・」--
選挙に投票することに対する責任の認識の差が問題なのではと思いました。
自分達が選挙で代表者を選んで政治をするシステムなのに、それをお上とごっちゃにしていることが問題なのでは?
ここの認識を変えないと日本はいつまでたっても変わらないような・・。
<名も無き戦士>
コラム#2414「「太田総理・・」ダブル収録記」を読みましたが、同感です。
所詮、芸能人のバラエティ番組に過ぎません。
それほど重要な番組でもなければ、公平公正な議論が出来る訳でも無いでしょう。
その辺を割り切って考えないと、マスゴミの思う壺ですよ。
<コバ>
朝日新聞で、見返りの少なくなった官僚になるよりも金融などの外資系企業への道を選ぶ東大生が非常に多くなったという記事がありました。他のエリート大学生なども、日本の腐敗した官僚機構よりは、外資系などの給与が非常に良く、風通しの良い企業を選ぶようになっているのでしょうか。日本に失望した若い弥生人エリートが外資系企業に流出しているのかもしれません。
恩給制度を導入するとか、給与をもっと充実させることでやる気のあるエリートが官僚になる道を選ぶようになるものでしょうか。外資の給料って日本のそれと段違いっぽいし・・。
<太田>
上述したような政府の自立を実現できれば、官僚機構に勤務することの魅力が大幅に増し、敬遠し始めた優秀な若者達は再びキャリア官僚の道に目を向け始めることでしょう。
恥ずかしくない現役生活を保障できる給与と、恥ずかしくない退職後の生活を保障できる恩給さえ確保できれば、キャリア官僚へのそれ以上の金銭的見返りは不要です。
<チンさん>
-- チベット動乱! 五輪中止! バブル崩壊!--
チベット動乱で五輪はなしになるでしょう。中国バブルは春四月までに崩壊するでしよう。中国発世界大恐慌が起こるかもしれません。
たぶんそうなるでしょう。そうなれば 中国全土で暴動や略奪が起こるでしょう。中国は無神論国家のためモラルがありません。このため収集のつかない事態に陥る危険があります。今年は世界にとって極めて艱難な年となるでしょう。
<大阪川にゃ>
>チベットを属国化しただけでは飽きたらず、強引にその植民地化を押し進めている中共
植民地だなんてそんな大人しいものでしょうか。チャイナはチベットを民族浄化(絶滅化)しようとしていると見た方がよろしかろうと思います。
チベット出身のペマ・ギャルポ教授によると、チベット人600万人の5分の1に及ぶ120万人が殺されたようです。
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/archives/392?PHPSESSID=db77ecb6d30298a22798db080a527d6c
<太田>
お二人とも、(1939年の平沼内閣総辞職の時の平沼騏一郎首相の発言をもじって言えば)世界情勢は複雑怪奇であると肝に銘じる必要があります。単純な善悪二元論で割り切れることなどまずありません。
欧米諸国におけるチベット支援運動の高まりは、欧米諸国における捕鯨禁止運動・・鯨の「殺戮」、「絶滅」を図っているとして日本による調査捕鯨を非難・・の高まりと同根の背景があるかもしれない、とまで申し上げるとちょっとお二人には刺激が強すぎるかな。
鯨もチベット人も欧米諸国の人々から見て保護すべき珍獣ではないのか、そして彼らのこの思い入れのとばっちりでとんだ迷惑を被っているのが、一方は自由民主主義国の日本であり、一方はファシスト国家の中共だ、と見ることもできるのでは、ということです。
(ここまではっきりとは書いてはいないが、「チベット騒擾」シリーズ(コラム#2430(公開)、2433、2435、2437、2439(以上未公開))、とりわけコラム#2439参照。)
少なくとも、
>チベット人・・120万人が殺された
と本日朝のフジTVの番組でもペマ・ギャルポ氏がそう言っておられるところ、これは1937年のいわゆる南京事件における死者数十万人説並のデマです。
(以上、http://www.nytimes.com/2008/03/22/opinion/22french.html?ref=opinion&pagewanted=print(3月22日アクセス)、及び、http://en.wikipedia.org/wiki/Tibet(3月23日アクセス)による。)
ダライラマだって「文化的ジェノサイド」とは言っても「ジェノサイド」とは言っていませんよ。
ついでに、英米はチベット問題で余り発言権はない、とも申し上げておきましょう。
英国は、1903年12月に開始した英軍のチベット侵攻期間中の1904年3月31日、無抵抗に等しいチベット軍兵士500人〜1,300人に三方から機関銃を撃ちかけて殺戮しています。
米国に関しては、戦後の米CIAの暗躍があります。
中共のチベット「征服」後、チベット自治区内とは違って、その外のチベット人地域は農地再分配の対象となっていたところ、これに反発したこれら地域の大地主たる貴族や僧院等が1956年にCIAの支援を得て叛乱を起こし、それが1959年にチベット自治区にも波及します。
1959年にこの叛乱は鎮圧され、ダライラマらはインドに亡命しますが、CIAの引き続きの支援の下で散発的な叛乱はそれ以降も1972年に突然CIAが手を引くまで続くのです。
1959年に中共当局はチベット自治区での自治のレベルを引き下げ、この自治区内でも農地再分配を実施し、現在に至っています。
(以上、ウィキペディア上掲による。)
<コバ>
--台湾、国民党政権へ--
馬英九候補が謝長廷候補を破り、当選確実となったようです
(日テレ携帯サイトですが、http://i21.4cast.co.jp/news/html/105660.jhtml?uid=NULLGWDOCOMO&sid=MYNI)。
中国との緊張関係は緩和するように見えますが、日本と台湾との関係はどうなるのでしょう。
<太田>
総統に当選した馬・・ハーバード・ロースクール卒でどうやら米国の永住権を持っているらしい(典拠省略)・・は、いわば、対中関係の現状維持を願っているところの、米国(とその属国たる日本)の傀儡であり、日本と台湾との関係に何の変化も起きようはずがありません。
これは余り人が言っていないことですが、馬の当選で一番当惑しているのは中共当局だと私はふんでいます。
その証拠に、本日付の人民網(人民日報の電子版)の日本語版は、午前中、馬が当選したということすらホームページで報じていませんでした。
それもそのはずです。
「馬氏は選挙戦中、対中関係について、(1)中国とは統一しない(2)台湾は独立しない(3)(中台間の)武力行使はしない――と、<米国と>住民の大多数が望む現状維持に向けた方針を打ち出した。」ところ、(1)を言われちゃ中共当局としては立つ瀬がありませんし、「「一つの中国」の立場ながら、「台湾の前途は、2300万人の台湾住民が決める」と、<米国の意向に沿って>人口の85%を占める台湾出身者に歩み寄る姿勢も示し」ている上、これまた米国の意向に沿って「天安門事件やチベット武力弾圧を厳しく批判する人権重視を打ち出している」からです
(以上、「」内は、http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080322-OYT1T00825.htm(3月23日アクセス)による。。なお、コラム#2437(未公開)も参照のこと。)
民進党の総統であれば、敵対だけしていればよかったものの、国民党の総統になった以上は、経済問題等でアメをしゃぶらせなければならず、その挙げ句、見返りに何も得られない懼れがある、いやそれどころか、ひょっとすると民進党の総統の場合以上に厳しい批判が中共に投げかけられるかも知れないというのですから、中共当局は頭を抱えているのではないでしょうか。
<大>
<コラム#2438でのお答えを読みました。>
なるほど〜、わかりました。
そう言われてみれば確かにそれが正論のような気がしました。
<記されてあった>コラムもきちんと読んでみます。ありがとうございました。
手取り足取り申し訳ありませんねー。
ついでに、
>天下り先ポストを増やすことに警察庁時代に血道をあげた平沢議員
この事実がうかがえる文献やバックナンバーがあれば教えてください。
<太田>
コラム#2227の追記部分で、「平沢議員には、警察官僚のときに、パチンコ業界にプリペイドカード使用を義務付けて、それを取り仕切る協会を、警察官僚の天下り先にしたという実績がある(http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060928。12月22日アクセス)」と記したところです。
<ちょいまる>
「多くの官僚には、国民のために働いて「いる」ではなくて、働いて「やっている」と言う意識があるのか? 」に直接お答えをいただいていません。
また、天下りをしないと決めたのはどうしてですか。何が述正氏の正義を貫かせたのですか?
<太田>
しゃかりきに働いているとすれば、自分にとって面白いからに決まってるではありませんか。
そう思えない官僚は、若くして辞めています。
私が相当以前から天下りはしないと心に決めていたのは、法的根拠のないヤミ年金をもらうわけにはいかないし、「退職」してから実質仕事らしい仕事をさせてもらえず、しかも言いたいことも言えないのではハッピーでない、と思ったからです。
20384
■
太田述正 2008.02.09 天下りについて(1)
2008/03/24 13:39
太田述正コラム#2355(2008.2.9)
<天下りについて(その1)>(2008.3.24公開)
1 始めに
TV番組等では、何度も天下りを政官業癒着構造の核心であると語ってきたとこ
ろですが、コラムではほとんど取り上げたことがありません。
そこで、天下りについてです。
防衛省、防衛省以外の省庁、の順序で取り上げましょう。
2 防衛省
(1)防衛省をめぐる政官業癒着構造が一目で分かる表
(社)日米平和・文化交流協会の主な会員企業等の受注金額、天下り、献金
受注企業名 受注金額 防衛省からの天下り 自民党への献金
三菱重工業 1兆6951億円 38人 1億2097万円
川崎重工業 7935億円 18人 1259万円 ○
三菱電機 6045億円 24人 9840万円
日本電気 4440億円 27人 7800万円 ○
東芝 2671億円 14人 1億6154万円
石川島播磨重工業 2640億円 17人 6087万円
富士通 1564億円 14人 8040万円 ○
富士重工業 1414億円 10人 1億1125万円
日立製作所 1151億円 14人 1億6838万円 ○
伊藤忠商事 980億円 3人 9700万円
アイ・エイチ・アイ
・エアロスペース 972億円 8人 ---
三菱商事 539億円 3人 1億1000万円 ○
住友商事 273億円 3人 1億1000万円
山田洋行 226億円 4人 ---
神戸製鋼所 131億円 2人 5030万円
丸紅 47億円 2人 1300万円
総計 4兆7979億円 201人 12億7270万円
防衛省提出資料及び政治資金収支報告書にもとづき作成。
注1.受注金額は、2001年度から06年度の総額。
注2.天下りは、2000年7月から06年12月の防衛大臣承認分。
注3.献金は、2001年から06年の「国民政治協会」に対する献金総額。
注4.アイ・エイチ・アイ・エアロスペースは石川島播磨重工業の100%出資子会社
(2007年12月4日 参議院外交防衛委員会 日本共産党 井上哲士 提出資料4)
太田脚注1
(社)日米平和・文化交流協会については、コラム#2340参照。
「秋山直紀氏が常勤理事を務める社団法人「日米平和・文化交流協会」の理事
が相次いで退任していることが分かった。軍需専門商社「山田洋行」元専務の宮
崎元伸容疑者(69)=前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(63)への贈賄容疑で再
逮捕=も06年まで理事を務めており、東京地検特捜部は協会の事務所を家宅捜索
。こうした点を懸念しての動きとみられる。・・協会理事には有力な防衛族議員
らや米国の元政府高官も名を連ねる。しかし、宮崎元専務が逮捕された07年11月
上旬以降、同月27日付で佐藤謙・元防衛事務次官と米津佳彦・山田洋行社長、同
年12月5日付で前原誠司・前民主党代表が退任。・・公明党の赤松正雄・衆院議
員、葛西敬之・JR東海会長も同月上旬の時点で協会ホームページの理事名簿に名
前がなくなった。それ以前にも、福田首相が07年3月に理事を退任。8月27日付
で額賀福志郎・財務相、9月25日付で石破茂・防衛相が退任した。一方、久間章
生・元防衛相は06年9月、防衛庁長官(当時)に就任すると同時に退任したが、
07年8月3日付で再度、理事に就いている。・・03年2月には協会が福岡県・苅
田港の毒ガス弾処理の調査委託業務を防衛庁から受注。「定款外の事業だ」との
指摘が出ている。また、05年9月、当時非常勤だった秋山氏に年1020万円の報酬
が支払われていることや、常勤職員がいないことなどについて外務省から改善命
令を受けた。」
(http://www.asahi.com/national/update/0106/TKY200801060155.html。1月7
日アクセス)と報じられている。
また、「福岡県苅田(かんだ)町の海底で発見された毒ガス弾の処理方法を決
めるための調査業務を巡り、旧防衛庁が入札前の03年初め、社団法人「日米平和
・文化交流協会」の受注に便宜を図っていた・・。協会の秋山直紀専務理事(58)
に対し、同庁側が受注に不可欠な調査の専門家を紹介するなどしたため、協会が
落札に成功したとされる。・・調査報告書提出から約8カ月後の03年11月には実
際の処理業務の入札があり、大手メーカーが20億6000万円で落札。防衛専門商社
「山田洋行」は無害化処理装置の部品の納入やダイバー手配を下請け受注した。
同社元専務、宮崎元伸容疑者(69)=贈賄容疑で再逮捕=は東京地検特捜部の調
べに対し「秋山氏に受注を依頼し、見返りに1億円を送った」と供述している・・」
(http://mainichi.jp/select/today/news/20071230k0000m040084000c.html。
2007年12月30日アクセス)とも報じられている。
太田脚注2
受注企業名中の(株)は省略した。○は(財)浩志会(コラム#2256、2337、
2340)会員企業であり、私が追記したもの。
太田脚注3
アイ・エイチ・アイ・エアロスペースは石川島播磨重工業に加える形で比較す
ることが望ましい。
(2)所見
これは、防衛省をめぐる政官業癒着構造が一目で分かる表ですね。
表中の天下り人数が、ストックではなく、フローであること、自民党への献金
は必ずしも防衛省絡みのものだけではないこと、等さまざまな留保が必要ですが、
受注額が多いと天下り人数も多いという傾向がはっきり読み取れます。
ただし、受注額と天下り人数とが必ずしもきれいな比例関係にはないところを
見ると、かつての防衛施設庁関係企業への防衛施設庁等のOBの天下りのように単
純な数式で天下り人数が決まっているというわけではなさそうです。
それにしても、相互にお友達らしい「日米平和・文化交流協会」の専務理事の
秋山氏と山田洋行の(元)専務の宮崎氏という両フィクサーの回りを政官業の魑
魅魍魎がうごめいているという観がありますね。
(続く)
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となく、私のブログの掲示板や当コラムに転載することがあります。なおその際、
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20385
■
太田述正 2008.03.24 皆さんとディスカッション(続x94)
2008/03/24 13:41
太田述正コラム#2443(2008.3.24)
<皆さんとディスカッション(続x94)>
<遠江人>
--日本の討論番組における問題点--
ディベートや討論をするにあたっては、ルールやマナーといったこと以前に、
成立するための前提となる条件があると思います。
それは、各自が自分の主張や意見について、論証する責任を果たす、というこ
とです。
当たり前の話ですが、それぞれの主張や意見について、その理由が論理的に明
らかにされなければ、相手の考えを正しく理解することも反論することもできま
せん。結論だけの意見、もしくは、論証をする機会が十分に与えられていない、
ということでは、そもそも正常な判断や評価をすることはできません。論証責任
を果たすことを互いに繰り返すことが、即ち、ディベートや討論そのものといっ
ていいと思います。つまり前提として、全員に論証責任を果たす機会が約束され
ていなければなりません。
しかしながら、日本の討論番組で、その当たり前のことができている番組は皆
無といえます。具体的にいうと、人が喋っている(論証責任の)最中にも関わら
ず、発言の区切りの、その発言が終わるか終わらないかの絶妙なところで、言葉
を被せてきて強引に発言権を奪うということが横行しているからです。つまり、
論証責任を果たす機会がそもそも約束されていないのです。これは、太田総理、
そこまで言って委員会、朝まで生テレビ、NHKの特番討論番組等々、すべてそうで
す。テレビを見ていて、この馬鹿げたことが繰り返されるたび、いつもイライラ
します。
これらの番組は当然の帰結として、結論だけの意見が飛び交い、意見がろくに
論証されることもなく、人の意見を正しく理解しようともせず、自分の持論を主
張することばかりに終始する(時には感情的になって人格攻撃まで行われる)、
ということになりがちです。
BSで海外の討論番組を見ていると、当たり前の話ですが、どんな意見であって
も各自に論証責任を果たす機会が与えられ、それを繰り返すことにより議論が深
まっていきます。日本の討論番組は、基本的に討論ではなく意見の言い合いだか
ら、議論が深まるはずもありません。所詮、議論のための番組ではなく視聴率の
ための番組だということなのでしょうが、この惨憺たる有様には本当に辟易させ
られます。
結局のところ、何が言いたいかというと、チャンネル桜は、論証責任を果たす
機会がきちんと与えられていたので、その点については率直に評価できる、とい
うことです。
(参考:高校生のための論理思考トレーニング(ちくま新書))
<石山みずか>
コラム#1364「イスラムにスピノザなしを読みました。
スピノザは神学・政治論で出島のヨーロッパ人は幸福に暮らしていると書いて
います。
オランダ人は出島や江戸でオランダでは考えられないほど保護されて多神教の
日本で暮らせたようです。このことはどのように考えられるでしょうか。
<太田>
面白そうですね。ぜひもう少しかみ砕いた問題提起をしてください。
<慰安婦問題についてですが>
コラム#1717「慰安婦問題の「理論的」考察(番外編)(続)」を読みました。
これは御覧になりましたか?
市民団体が慰安婦の軍の関与を示す資料を公表
http://www.videonews.com/press-club/0704/001048.php
<太田>
「外国特派員協会で・・林博史氏は、東京裁判でオランダや中国、フランスの
検察団から慰安婦に強制性があったとする証拠書類が提出され、判決でも証拠と
して認定されていた事実を指摘した上で、東京裁判の時点で慰安婦の強制性は既
に明らかになっており、サンフランシスコ平和条約第11条で戦犯裁判の判決を受
諾している以上、日本政府は従軍慰安婦の犯罪性と強制性を認めなければならな
いと述べた。」と具体的に指摘していただきたかったですね。
「強制性」については、「官憲による強制性」を裏付ける史料や第三者の証言
は存在しないと私は承知しています。そうではない、とおっしゃるのなら、具体
的な史料や第三者の証言をご提示いただきたいと思います。
なお、平和条約の拘束性の問題と、史実が何であったかという問題とは切り離
すべきでしょう。
<友人TK>
現在の状況は許しがたいですね。
「年金大崩壊」(岩瀬辰哉)講談社ブックを読みました。
これは不愉快な話なので元気なときに是非おすすめですね。
天下り官僚制度維持の手口はいくつかの共通パターンがありますが、年金官僚
は更に巧妙ですね。
グリーンピア関連手口:有力政治家・大臣・官僚の地元を選んでグリーンピアを
たくさん作って反対されにくくした。安い土地を事前に買い占めて土地転がしで
稼いだ。もともと不毛な土地で単価が安いのでバレない。グリーンピアふくめ関
連施設などは決して黒字にしない。自分たちの責任追求されないように年金流用
での清算をあっという間に完了。
年金統合関連手口 :赤字だった国鉄、農林関連はきっちり厚生年金へ統合し
たきり決して自分たちの公務員年金の統合を促進しない。
厚生年金関連手口 :破綻するといって積み立てを取り崩ししないで厚生年金
値上げと60歳からの支払い遅延など繰り返し行って利権温存。天下り先への発注
に際し見積もり金額を高くし年金流用で天下り費用を確保。
などなど。
太田君は今週太田総理の番組「テーマ:天下り」では期待していましたが ほ
とんど発言が放映されなかったですね。
「西南戦争」(小川原 正道)中公新書も読み終えたばかりですが、それにし
ても、福沢、西郷みたいな人が現れないかな・・。
<太田>
民主党が政権を奪取した後のことまで考えて、天下り問題・・政官業癒着構造
の問題・・について、怒り心頭の国民の皆さんに少し冷静になってもらおうとい
う趣旨の発言をこのところ行っているのですが、時期尚早だったかなあ。
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20398
■
太田述正 2008.03.25 天下りについて(2)
2008/03/25 14:45
太田述正コラム#2357(2008.2.10)
<天下りについて(その2)>(2008.3.25公開)
2 防衛省以外の中央省庁の天下り
(1)全般
ここで改めて注意を喚起したいのは、天下りを核心とする政官業癒着構造は、全中央省庁を通じて見られるということです。
(2)防衛省と共通の話
競争入札が行われている分野においては、防衛施設庁に司直の手が入った一昨年以降、農水本省や農水省所管の独立行政法人である緑資源機構における官製談合が露見しています。(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070419ig90.htm(2007年4月20日アクセス。以下、特に断らない限り2007年)、及び、http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007052502018837.html(5月25日アクセス))
その他の省庁でも官製談合は行われてきたはずです。
なお、一昨年、福島県、和歌山県、宮崎県で相次いで知事が絡んだ官製談合・・文字通りの政官業癒着・・が露見したことも覚えておられる方が多いと思います(http://www.asahi.com/national/update/1116/SEB200611160015.html。2006年11月17日アクセス)。
更に、防衛装備品の調達には随意契約が多く、これも天下りの温床になっているわけですが、これも防衛省だけの話ではありません。
省庁や国会、裁判所など16機関が2006年4〜12月に締結した工事(250万円以上)や物品購入(160万円以上)など計14万 1990件の契約のうち、56.5%の8万294件が随意契約で、予定価格に対する契約額の割合は97.3%で、競争入札を実施した場合の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)86.3%に比べ、11ポイントも上回っており、かつ、契約先で所管する財団法人など962法人に約1万人の省庁OBらが天下りしていることが判明しています(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071017it14.htm。10月18日アクセス)。
都道府県も同じでしょう。
(3)防衛省以外の中央省庁の旨み
以上は、防衛省と他の中央省庁共通の話ですが、他の中央省庁には、天下りの観点から、防衛省には見られない旨みがたくさんあります。
第一に、防衛省には1つしかないけれど、職員数で全部合わせて防衛省をちょっと上回る程度の他の省庁は、合わせて101もの所管の独立行政法人(独法)を持っていることです。
2006年4月現在、この101の独法に653人の役員がいましたが、このうち、28.3%に当たる185人を各省庁のOBが占めており、各省庁のOBがゼロの法人は17法人と全体の16.8%にとどまっています。
ちなみに、独法は国の援助を受けており、2007年度予算では、この101独法のうち93法人に国から3兆5231億円が補助金などとして交付されています。(以上、http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071022it02.htm(10月22日アクセス)による。)
また、2007年10月1日現在で全国の国立大学法人・・広義の独法と言ってよい・・計87校のうち7割の60校に計65人もの文部科学省出身者が役員(理事60人、監事3人、学長2人)として在籍しています(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100801000189.html。10月9日アクセス)
中央省庁から、独法に天下った後、更に民間企業や省庁所管の公益法人へ天下った各省庁OBが、2006年4月までの10年間で少なくとも366人にのぼり、独法が各省庁から企業などに天下る抜け道になっていることも分かっています(http://www.asahi.com/politics/update/0627/TKY200706260481.html。6月27日アクセス)。
第二に、既に出てきたところの公益法人も、防衛省は、特定の業界を所管しているわけではないことからごくわずかしか持っていませんが、防衛省以外の中央官庁は無数と言ってもよい公益法人を抱えていることです。
キャリア官僚OBが関係する公益法人などを渡り歩く、いわゆる「渡り」でもって、社会保険庁長官OBが、実に給与や退職金で計3億6600万円以上も受け取ったケースがあることが話題になったことをご記憶の方もあると思います(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007060202020884.html。(6月2日アクセス)、及び、http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007060702022290.html(6月7日アクセス))が、こんなケースは防衛省のキャリア官僚や将官のOBでは考えられません。
第三に、やはり特定の業界を所管しているわけではない防衛省には、主として業界助長行政の手段であるところの補助金なんて雀の涙しかありませんが、防衛省以外の中央省庁は、補助金だらけであると言っても過言ではないことです。
各省庁が補助金を交付している企業・団体にこの各省庁のOBが天下っているのは言うまでもありません。
当然そこには自民党政治家が絡んで来ます。
JA全中は2006年度に農水省から約9億円の補助金を受給、JA全農も同年度に1238億円の補助金を受けており、政治資金規正法は、国の補助金を受けた企業・団体について、交付決定から1年間、政治活動に関する献金を禁じています。
しかし、2007年7月の参院選で初当選した元JA全中専務理事の山田俊男参院議員(自民、比例)を支援するため、JAグループの政治団体「全国農業者農政運動組織連盟」(全国農政連)が2006年9〜12月に計18回の政治資金パーティーを開き、国から補助金を受けているJA全中とJA全農が、政治資金規正法で禁止されていないところのパーティー券を計3300万円分購入したほか、JA共済連、農林中央金庫などから、合わせて計1億980万円を同議員が代表を務める自民党支部に寄付していました。(以上、http://j.peopledaily.com.cn/2007/09/28/jp20070928_77501.html(9月29日アクセス)による。
これはほんの一例に過ぎませんが、国の補助金を与えられた業界が、その補助金の一部を自民党の政治家に還流している構造がはっきりと見て取れます。
ちなみに、政治資金規正法は2000年から政治家個人への企業・団体献金を禁止していますが、政党支部を通じた献金は認めているため、このところ自民党の支部が急増している状況です(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070928k0000m010196000c.html。9月28日アクセス)。
第四に、防衛省以外の中央官庁は、助長行政の手段として税金の政策的な減免も実施しており、税金の減免先の企業・団体に天下りを行っていることです。
第五に、防衛省以外の中央官庁は、規制行政も行っているということです。
規制行政は、規制の対象となる企業や団体がどれだけ金銭的に裨益しているか、一見明白でないだけに、通常ほとんど問題にされませんが、規制に手心を加えてもらうことを期待して、これら企業や団体も省庁のOBの天下りを受け入れているのです。
もちろん、第四にも、この第五にも、政治献金の形で企業・団体からみかじめ料をせしめている自民党の政治家の姿が見え隠れしていると言ってよいでしょう。
3 終わりに
福田首相は昨年10月、国会で、キャリア官僚の独立行政法人への天下り者数がここ数年で減少している実績を強調し、「丁寧に(退職官僚の)人生設計をしてあげる必要があるのではないか」と答弁しており、天下りを是認する姿勢がはっきりしています(http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071017/plc0710171933009-n1.htm。10月18日アクセス)。
この期に及んでも、自民党は天下り、ひいては政官業癒着体制を温存しようとしているわけです。
ですから、私が何度も申し上げているように、自民党政権を打倒しない限り、更に正確に言えば、自民党系政治家達を基本的に政権の座から遠ざけない限り、天下りは根絶できず、従ってまた、政官業癒着体制を瓦解させることもできないのです。
ただし、天下りを根絶するためには官僚機構を手なづけなければならないのであって、恩給制度の復活はそのためにも必要不可欠であることを、ここでも強調しておきたいと思います。
(完)
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20400
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太田述正 2008.03.25 あたご衝突事故の報告書
2008/03/25 16:57
太田述正コラム#2445(2008.3.25).03.25
<あたご衝突事故の報告書>
1 始めに
3月21日、防衛省はあたご衝突事故、イージス艦情報流出事件、しらね火災、の調査結果を公表するとともに、これら事案の関係者に対する懲戒処分等を実施しました。
私は防衛庁時代に何度か自衛隊の航空機事故の調査報告をとりまとめた経験があるのですが、入手したあたご衝突事故の調査報告書を読んだ感想を記し、更に問題提起を行いたいと思います。
2 感想
この報告書は、
一、2月19日の事故(発生は0406)当日0200の時点で当直士官が自動操舵継続命令を発している
→艦長の判断ミス?(太田)
二、衝突直前の当直体制(前直)においても衝突時の当直体制(現直)においても、「通り雨」があったため、見張り員が本来の艦橋外ではなく艦橋内で見張りをしていた
→これら見張り員の意識の弛緩?(太田)
三、前直において、正規の手続きを経ずにCIC(戦闘情報センター)勤務の当直員が1名少ない6名体制になっていた
→勤務規律の弛緩?(太田)
四、前直において、当直員の一人が紅灯を目視で視認していたのに当直士官に報告していない
→この当直員の意識の弛緩?(太田)
五、0330頃「以降、<前直の>当直員が、右30〜50度の方向に、数個の灯火(白灯及び紅灯)を視認してい」た
→事故発生30分以上も前に漁船群らしきものを発見していたのに意識は弛緩したままだった?(太田)
→以上が、あたごが適切な避航措置をとらなかったことにつながった?(太田)
六、0405「頃までに、当直員が、右5度及び右20〜50度の方向に、数個の(白灯及び紅灯)を視認している」
→回避措置(ないし回避措置の意見具申)を行うことを考慮すらしなかったのは当直士官及び当直員達の意識の弛緩?(太田)
七、0406、「当直士官<が>・・「この漁船近いなあ」と・・発言<し>・・<1人の>当直員<が>・・「近い、近い」と言いながら、右舷ウィングに出・・た」
→ただちに回避措置(ないし回避措置の意見具申)を行わなかったのは当直士官とこの当直員の意識の弛緩?(太田)
八、その数秒後(?)「当直士官<は>両舷停止、自動操舵止め」を下令、さらに・・5から10秒ほど・・後、「両舷後進一杯」・・を下令<した>」
→5〜10秒間があいたのは当直士官の判断ミス?(太田)
→以上が、あたごが十分な衝突回避措置をとらなかったことにつながった?
こと等を記述した上で、
「衝突前の見張員の配置やCICにおける当直員の配置状況も含め、艦全体として周囲の状況等について見張りが適切に行われていなかった。
また、・・4時6分頃に「清徳丸」を右舷に見ていることからして、「清徳丸」が「あたご」の右側から近接した可能性が高く、そうであれば「あたご」に避航の義務があったが、「あたご」は適切な避航措置をとっていない。
また、衝突直前に「あたご」がとった措置は、回避措置として十分なものでなかった可能性が高い。」
と結論づけています。
なお、
(1)七の当直員の言動を受けて右を見たもう1人の当直員は、「清徳丸」と思われる「漁船・・を右70〜80度付近、距離約100メートル〜70メートルに・・視認した・・<ところ、>本艦より優速だった。」と証言。
→清徳丸はあたごより早い速度で接近してきたらしい。(太田)
(2)「「清徳丸」が5インチ砲右舷側の死角に入る直前にわずかに増速、面舵を取ったように感じた」(当直員の証言)
→清徳丸は衝突突然更に増速し、面舵を取る形で衝突したらしい。(太田)
何も記述はないものの、ここから、清徳丸の側も「適切な避航措置」と「衝突・・回避措置」をとっていない可能性高いことをこの報告書は示唆している、と考えてよいでしょう。
しかし、この報告書が一番訴えたかったことは、別のことのように思えます。
それは、「現在、当直員の一部について、海上保安庁との調整により、海上幕僚副長を長とする・・事故調査・・委員会による聴取が実施できていない状況にある」というくだりと同趣旨のくだりが全部で6回も繰り返し出てくることから容易に推察できます。
海幕(事故調査委員会)、ひいては内局キャリアは、海上保安庁による捜査が事故調査を妨げている、と訴えているのです。
その結果十分な調査が行えていないことを示唆する表現が、「3時30分以降・・<漁船群らしきものを>視認<した>際の状況は、さらに調査中である」、「4時5分頃まで・・の状況については、さらに調査中である」、「当直員が、レーダ指示機で「清徳丸」を認識していたとの情報は得られていない」と繰り返され、挙げ句の果ては、「防衛省・・は、「2月19日午前3時55分頃、・・『あたご』の見張り員は、清徳丸の灯火を視認したと思われる。」、4時5分頃「『あたご』の見張り員が右方向に、・・・、緑色の灯火を視認した。」と2月19日及び20日に公表したところであるが、現時点において、委員会の調査において、これらに関する情報は得られていない。」という捨て台詞まで記されている始末です。
他方、これだけ言いたいことを言わせてやったのだから少しは言うことを聞け、ということでしょう、
内局キャリアが、海幕が断定的に書いて来たにもかかわらず、公表にあたって筆を舐めたと推察されるのが、「委員会の調査の中で、「あたご」が汽笛を吹鳴した旨の供述もなされているが、衝突時、近隣にいた漁船の方々が汽笛は聞いていないという報道との関係については確認はとれていない。」というくだりです。
汽笛を鳴らせば、常識で考えて当直員だけでなく、就寝中も含め、大部分の乗組員に聞こえるはずですから、証言者は沢山いたはずであり、汽笛は鳴ったと考えるべきでしょう。
漁船群の人々には聞こえなかったのか、彼らが聞こえなかったとあえて言っているのかは分かりませんが・・。
3 問題提起
事故調査と捜査とは全く目的が別であり、捜査が行われるとなると事故調査は妨げられるし、その捜査が事故調査と同時並行的に、或いは事故調査に優先して進められれば、事故調査は不可能になる、というのが常識です(注)。
(注)日本が戦後刑事訴訟法に大幅に取り入れさせられたところの英米法においては、犯罪被疑者と捜査機関は対等であり、犯罪被疑者は取り調べ段階から弁護士をつけることができ、自分に不利になることは証言する必要はないし、捜査機関側が取り調べにおいてルール違反をやれば、その結果得られた証言や証拠を裁判所は採用することはできない。
裁判は、従って犯罪容疑事実の真実性の究明をする場ではなく、犯罪被疑者と捜査機関がルールに則って勝敗を決する競技の場なのだ。
日本の刑事訴訟の実態は英米化しきれていない。一体何の根拠に基づき、海保はあたご乗組員をあたごなる「代用監獄」に拘置しているのか、あたご乗組員に弁護士が接見しているという話も聞こえてこない。
自殺を図る乗組員があたごで出た(http://news.livedoor.com/article/detail/3567508/。3月25日アクセス)ことを重く受け止めて欲しい。
ですから、本当に事故原因を究明しようと思ったら、少なくとも捜査を平行して行ってはならないのです。
民間の船舶同士の衝突事故であれば、事故原因究明にそれほどこだわる必要はない、という判断はありえます。
しかし、軍艦が少なくとも一方の当事者である衝突事故で、そのような判断をしている国を私は寡聞にして知りません。
いわんや、一般の捜査機関が捜査をするような国はありえません。
軍艦が衝突事故を起こしたということは、衝突した相手が敵であり、その敵が爆弾を搭載しておれば、この軍艦は戦闘能力を失うか沈没していた可能性がある以上、衝突事故原因の究明は一刻を争う安全保障上の重大事なのです。
しかし、自衛艦の事故原因の究明にはそれほどこだわるな、というのが現行の日本の法令です。
日本は憲法上軍隊を保持できないこととされており、自衛隊は軍隊ではありません。
あたごのこの衝突事故を見ただけでも、憲法に忠実に、日本の法令上も自衛隊が軍隊とみなされていないことがお分かりいただけることでしょう。
そんな軍隊もどきが退廃し腐敗するのは当たり前です。
だから、不祥事や事故が繰り返されるのです。
何のために、そんな軍隊もどきを毎年5兆円もかけて整備、維持しているのか、納税者に真剣に考えて欲しいと思います。
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20411
■
太田述正 2008.03.26 オーストラリアの原罪(1)
2008/03/26 14:42
太田述正コラム#2365(2008.2.14)
<オーストラリアの原罪(その1)>(2008.3.26公開)
1 オーストラリア首相の謝罪
オーストラリアのラッド(Kevin Rudd)首相は12日、オーストラリア原住民
(Aborigines)に対して公式に謝罪しました。
これは、1910年から1970年にかけて遂行された、原住民の血の入った子供達・
・その大部分は欧米系の父親と原住民の母親との間の混血・・を孤児院、教会、
養父母の下に送って育てることによって原住民の痕跡を消し去ろうとした、いわ
ゆる吸収政策(absorption policy)について謝罪したものです。
この問題については、10年ほど前から、政府による謝罪と賠償金の支払いを求
める声が起こっていたのですが、前首相のジョン・ハワード(John Howard)は遺
憾の意を表明しつつも、過去の世代の不始末について非難されるべきではないと
して、謝罪も賠償金の支払いも拒否したところ、ラッド氏は、賠償金の支払いは
否定しつつも、謝罪することを公約して昨年11月、総選挙で勝利して首相になっ
たという経緯があります。
(以上、http://www.guardian.co.uk/world/2008/feb/13/australia(2月14日
アクセス。以下同じ)による。)
2 上記政策の起源
(1)宗主国英国の責任
ア タスマニア島原住民の絶滅
オーストラリアは1901年に自治権を付与されます
(http://en.wikipedia.org/wiki/History_of_Australia_%281901-1945%29)
が、それまでは英国の直轄植民地であり、オーストラリアの地で起こったことは、
英国に直接的な責任があります。
タスマニア島の原住民は1803年に英国から植民者が到着した時には5,000人はい
たのに、1830年までには数百人に減り、この時点で全員が30マイル離れたフリン
ダース(Flinders)島に移され、1876年にその最後の1人が亡くなり、全滅して
います(http://www.hinduonnet.com/2001/09/16/stories/13160611.htm)。
英国議会の1836年の報告書には、「タスマニア島にはただの1人も原住民は残
っていない。原住民を絶滅させる、公言された、あるいは秘密の計画が遂行され
たためだとすれば、これは英国政府にとって拭い去ることの出来ない汚点となろ
う」と記されています
(http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/feb/14/australia)。
これはジェノサイドであったとする指摘がある一方、タスマニア島の原住民の
主たる死因は英国人が持ち込んだ伝染病だとする指摘
(http://www.newcriterion.com/archive/21/apr03/blainey.htm)
もあり、決着はついていません。
イ 英国の優生学運動と吸収政策
冒頭に掲げたラッド首相による謝罪の原因となった吸収政策の発想は母国英国
の優生学運動(English eugenics movement)から来ているという指摘がなされて
います。
もともと帝国主義時代の英国にはイギリス人が人種的に優越していることを当
然視する風潮がありました。
当時の著名な経済学者のマーシャル(Alfred Marshall。1842〜1924年)もそう
でした。
彼は1900年頃、次のように記しています。
「イギリス人種が広く移住したことが世界にとって良かったことは疑う余地が
ない。人口増加の抑制がより知力の高い人種だけにとどまり、とりわけより知力
の高い人種の最も知的な階級だけにとどまれば大変なことになる。
例えば、イギリス人の下層階級が道徳的にも肉体的にもより優れた階級より速く
増加するようなことがあれば、イギリス人全体が劣化するだけでなく、米国やオ
ーストラリアの人々のうちのイギリス人の子孫まで劣化することになろう。
そして、イギリス人が支那人より増え方が遅ければ、活気(vigor)溢れるイギリ
ス人が地球上の人類中で占めるはずであった割合がこの生気のない(spiritless)
人種によって置き換えられしまうことになろう」と。
(以上、http://www.wsws.org/articles/2004/jul2004/hiw8-j21.shtml、による)。
このような背景の下、1884年にロンドンで創設されたフェビアン協会に集った
フェビアン流社会主義の旗手たちは優生学理論を優越した社会の形成に応用でき
ると考えたのです。
この社会主義の理論家のウェッブ夫妻(Sydney Webb。1859〜1947年と
Beatrice Webb。1858〜1943年)、経済学者のケインズ (John Maynard Keynes。
1863〜1946年)、哲学者のラッセル(Bertrand Russell。1872〜1970年)らがそ
の典型です。
劇作家のバーナード・ショー(George Bernard Shaw。1856〜1950年)は「不適
応な人々の絶滅」を唱えましたし、婦人運動家のストープス(Marie Stopes。
1880〜1958年)は「どうしょうもなく腐敗し人種的に病に冒された人々」の断種
を訴えましたし、女性作家のウルフ(Virginia Woolf。1882〜1941年)や作家の
ローレンス(DH Lawrence.1885〜1930年)は私的な集まりで国家が痴愚者を根こ
そぎにすべきであると主張しました。
オーストラリアの吸収政策は、このような思想を実践に移したものだ、という
指摘がなされているのです。
(以上、http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/feb/14/australia
前掲による。)
私としては、1901年から1973年にかけて実施されたところの、非白人の移民受
入を制限する政策であるオーストラリアの白豪主義政策(White Australia policy)
(http://en.wikipedia.org/wiki/White_Australia_Policy)
そのものが、このような母国英国における思想を実践に移したものである、と
言いたいところです。
(続く)
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20424
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太田述正 2008.03.26 皆さんとディスカッション(続x95)
2008/03/26 18:55
太田述正コラム#2447(2008.3.26)
<皆さんとディスカッション(続x95)>
<くらよし>
桜テレビを見ました。
<太田さんが「ソ連の脅威」ならぬ>「極東日米軍の脅威」<について語って
いたのを見て、ミグ25(ベレンコ中尉亡命)事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3%E4%B8%
AD%E5%B0%89%E4%BA%A1%E5%91%BD%E4%BA%8B%E4%BB%B6
http://www.geocities.jp/GL_Hobby/Zatsugaku/JAJ-Jiken-Jiko/JAJ-MIG25-
Belenco.html
についてのTV番組を見た時のことを思い出しました。>
当時の関係者などのインタビューを交えて、その時<戦闘準備をした>対応の
判断は正しかったのかと視聴者が個々に考えさせるような内容で構成されていま
した。
当時の司令官や亡命パイロットもそろえて「<ミグ25の>機密漏洩を防ぐ為、
<ソ連は>必ず攻撃してくる(はずだった)」という趣旨の答弁がなされていま
した。
<しかし、>じゃあなぜソ連が実力行使をしなかったのかが、評論家も含めて
一切触れられていませんでした。
双方にいろんな課題を残した出来事でしたが、ソ連側が、極東での自国の戦力
事情や、日米の戦力を独自に分析していたあらわれだと思います。
当時、誰かは言ってたのかもしれないけど、逆の立場からの考え<を述べた人>
は太田さん以外見たことがありません。
桜テレビで、色んな方が、自衛隊や北朝鮮問題なんかで、<日本人の安全保障
や自衛隊に対する意識は>大きく変わり良くなったとおっしゃられていました。
良くなったとの<彼らによる>連呼で催眠術にかかってしまった<ような状態
のわれわれです>けれども、<太田さんのように、>別の角度から考え、国民に
対し、然るべき問題提起をすれば、<日本人の間で>実質的独立を望む意識がめ
ばえるのかなあ、とちょっびり望みがでました。
<とにかく、国政選挙に>いつも参加しない人達<も参加し、独立を望む>意
思を示してほしいものです。
<太田>
「当時は、縦割り行政が今よりもひどく、自衛隊の立場は低かった。警察によ
って封鎖された現場には、陸上自衛隊員すら管轄権を盾に締め出され、軍事に関
わる事項にもかかわらず一切の情報収集・警護に関する立案ができなかった。当
時の陸上自衛隊函館駐屯地司令は、目の前で起きた軍事的な事案から締め出され、
道南の防衛を担任する自分がテレビからの情報しか得られない苦悩を、後に公表
された手記で明かしている。」(上記ウィキペディア)
あたごの衝突事故の後の海保と海自の関係(コラム#2445)を見ていると、それ
から32年も経ったというのに、「大きく変わり良くなった」なんてウソっぱちで
あることがよく分かりますよね。
<ケンスケ2>
--秩禄処分--
コラム#2355「天下りについて(その1)」を読みました。
明治維新で,武士階級が俸禄を放棄して債権を押しつけられた。
彼らの生活設計は全て崩壊した。
しかしこのことによって初めて、日本は近代国家建設の源資を手に入れた。
時代遅れの官僚機構を清算するとき,やむ得ない選択なのかも知れません。
ただ批判するだけで<変革ができる>・・とは思いません。
<太田>
今回の「くらよし」さんや「ケンスケ2」さんの投稿は、読解するのがいささ
かホネでした。投稿前に、一度は読み返してくださいね。
民主党が選挙で政権を奪取した場合、幕末当時の薩長と違って、軍隊を含む自
前の官僚機構を持っていないのに、旧政権から江戸城(霞ヶ関/市ヶ谷)を明け渡
され、さあ統治してみろと言われたような状況になるわけです。
そんな状況で版籍奉還(1869年)・廃藩置県(1871年)・秩禄処分(1876年)
を一挙にやったとすれば、薩長政権は一ヶ月と持たなかったことでしょう。
天下り廃止はやらなければならないのだけれど、天下り官僚の「俸禄を放棄」
させて、しかも秩禄処分の時のように形だけではあっても「金録公債」を与える
ことすらせずに彼らを失職させるのは、版籍奉還・廃藩置県・(金録公債授与抜
きの)秩禄処分を一挙に行うようなものであり、現役官僚はそんな命令を実施に
移すことに抵抗するだけでなく、官僚OBともども画策して民主党政権を瓦解に追
い込むに違いありません。
<読者OS>
日本国の多くの組織の長や副は(株式会社の会長、副会長、etc, 何とか協会
の長、次長、理事など)70歳以上の方です。これではこれらの組織において、ま
ともな運営が期待出来る筈はありません。本当は組織の邪魔になっているのでは
ないでしょうか。
これらの地位は、官僚の天下りポストと同一の位置を占めている様な気がしま
す。
これら(一般化した)天下りポストについた人は日本の貴族階級であり、実際
は日本の活力を奪っていると思います。(議員という地位も、あらゆる分野から
の天下りポストに見えます。芸能界やスポーツ界、官界に学会、経済界に報道機
関などの。)
この事実を多くの方に知らせたいと思います。
太田さんどう思われますか?
<太田>
要するに、日本の大企業や公法人のほとんどが政官業の三位一体的癒着構造の
一翼を担っているということなのです。
さもなきゃ、老害の大企業なんてとっくの昔につぶれているはずです。
この癒着構造を瓦解させるためには、まずもって自民党を政権の座から引きず
り下ろさなければなりません。
それなのに、橋下氏に続いて、今度は樺島郁夫前東大法学部政治学教授が自民
党に推されて熊本県知事に当選しました。
樺島氏は二大政党制の実現が必要だという持論を持っておられたと承知してお
り(典拠省略)、しかも彼の場合、その年齢を考えれば、読者OSさんおっしゃる
ところの天下りであるとさえ言いたくなるだけに、橋下氏の場合以上に許し難い
思いがします。
<田吾作>
「ル・モンド・ディプロマティーク」に以下のような記事があります。
リスボン条約も国民投票にかけるべきだ
http://www.diplo.jp/articles07/0712-3.html
欧州構想をめぐる左翼の迷走
http://www.diplo.jp/articles05/0505-2.html
<読者MN>
先日は台湾総統選に関してのメールにコラム#2423でレスをつけて下さりありが
とうございました。
ニュースリリースに関する鮮やかなご高察、感銘いたしました。
加盟申請に関する国民投票は有効投票率に達せず無効と相成ったようで、台湾
国民(民族)はもとより、東アジアの人々にとっても問題は先送りにされた感が
あります。
私はアングロサクソン及びスコッツに詳しい太田メルマガの啓蒙によりEUでは
「国民国家」と「民族」を巡り、我々東アジア人などよりもよほど進んだ議論が
行われていることを知りました。
そして、その析出とも言うべきリスボン条約についてコラム#2444(未公開)を
配信していただくに及び、非才ながら一筆差し上げた次第です。
偶然かつ個人的な話なのですが、同コラムにおけるウェッブの論考の引用部分
において先生もご記述の通り、本条約が蘭仏で否決されたEU憲法の衣替えバージ
ョンであることを昨年6月に聞く機会がありました。
ある大学で行われたACU(アジアカレンシーユニット)に関するシンポで、日本
の教育関係者のほかEUからも人が出ていました。
リスボン条約に関しては、すこしウェブを引くだけでも色々と記事が読めるの
ですが
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E6%86%B2%E6%B3%95
http://www.diplo.jp/articles07/0712-3.html
http://www.mmjp.or.jp/gyoukaku/toron/199907.htm
http://www.jetro.be/jp/business/eutopics/eu99-2.pdf
http://www.jetro.be/jp/business/eutopics/eu103-4.pdf
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/3638.html
(全て本日午前アクセス。)
最後のリンク(NHK解説委員室)の記事に出てくる”ミニ条約”という言葉につ
いて、シンポでEU職員の方が語っておられたことが印象深かったので、当時のメ
モを頼りにすこし文に起こしてみようと思います。
同時通訳がついていたものの、なんとか頑張って英語(英国人のスピーチでし
た)で聞き取ろうとあがいていたため、文面に至らぬ点がありましたらご容赦下
さい。
☆ ☆ ☆
<EU職員 M.G氏>
「『投票方法の変革』『多数決の多用』『議長国の各国持ち回り制から欧州議 会
での投票による選出制』『各国国内法に対するEU法の優先』等を骨子とする EU憲
法が2005年にお蔵入りになってしまったことを受け」
(小生:これらの変化がEU議会への権力の委譲と集中を生み、そこからEU軍や 各
国政府を超える権限をもつEU政府が生まれることで、国民=民族(現在議論 中)
の権利が損なわれる、という意見が蘭仏で同条約批准が退けられた大きな要因と
考えている)
「仮に憲法がお蔵入りになってもそれらが必要であるという信念は欧州委員会 に
とって不変であるということが確認された。これらを実行するため、現在は 「憲
法」という表現をやめ、『ミニ条約』という表現を使い鋭意交渉中である」
「つまり、あらゆる項目を1つにまとめた憲法をそれぞれの国に持ち帰ってもら
い、その上で国民投票に諮って批准するのではなく、各項目それぞれについて
『ミニ条約』を各国―欧州委員会(あるいは相互国間?このあたりちょっと 不明
確で申し訳ありません)で批准し、最終的にはEU憲法にほぼ相当する法的 拘束力
を持つ法体系を構築していく。『憲法』と異なり『ミニ条約』は条約ひとつひと
つを批准することが必要で、交渉及び法体系の作成には大変な労力が かかるが国
民投票に諮らずとも各国の議会の批准で発効させることができる」
「それらを推進するため、EUでは『安定成長協定』を取り決め、これを達成する
ことをめざして各国との交渉、及び新規加盟国との交渉にあたる。その駆動力と
なるのが世界第二位の基準通貨となったユーロである」
「ユーロ信認の根拠は通貨価値安定を重視する金融政策、対外収支の均衡、欧州
委員会と協力して各国が『安定成長協定』の遵守に努めることである。特に 新規
加盟国に対しそれらを支援するためにCSF(Community Support Framework)があ
り、2004-6の3年間にポーランド、構造基金と結合基金を合計 して128億ユーロ、
ハンガリーには同様に(二基金計で)31億ユーロ、チェコに は構造基金だけで
15億ユーロ、スロバキアにも同様で7億8千万ユーロの支援」
「この構造基金と結合基金は新規EU加盟国に対し、共通農業政策(CAP)
http://www.deljpn.ec.europa.eu/union/showpage_jp_union.afs.agriculture.php
と同クラスの資金規模で構造改革支援をしています」
☆ ☆ ☆
まったく、今書き起こしてみてEUの手並みの鮮やかさにはため息がでます。
本シンポはあくまでACU構想とそのメルクマールとしてのEUROの発展の歴史につ
いて拝聴する、というものでした。個人的には政治組織が文化を組織化しながら
包含しつつある(スポーツ、文化遺産など)一方で多くの国民は文化的とはあま
り言えない暮らしをし(私を含め日本人もEU人も十分テレビの見すぎです)政治
的にも孤立を深めている昨今、蘭仏での否決はむしろ意外でした。そんな背景も
あってこのあたりはテキトーに聞いていたのですが先生のコラム配信と、それに
続いて田中宇氏のコラムでも言及があったので驚いている次第で す。これから大
手メディアでも取り上げられるかもしれませんね。
ついでに田中氏のメルマガからも引用しておきます。こちらは先生のコラム配信
と違って(失礼!!)アナウンスメント効果の方が大きそうです(笑
>>イラク戦争後、EUは軍事・政治統合を加速している。05年には「EU憲法」
の草案が加盟各国で国民投票や議会決議にかけられ、フランスとオランダの国民
投票で否決され、一時は葬り去られたかに見えた。しかしその後、昨年になって、
EU憲法とほとんど同じ内容のものが、今度は「リスボン条約」として検討され、
昨年12月にポルトガルのリスボンで、EU加盟諸国の代表がこの条約に署名した。
すでに多くの国の議会がリスボン条約を批准しており、05年に国民投票で否決さ
れたフランスでも議会が批准決議を通した。
http://tanakanews.com/f0611EU.htm
http://www.conservatives.com/tile.do?def=news.story.page&obj_id=142045&speeches=1
05年の「憲法」とは異なり、今回のは「条約」なので、国民投票は不要で、各
国の議会での批准決議だけで発効できるのがポイントである。憲法と条約は、形
式こそ違うが中身はほとんど同じで、EUに大統領と外務防衛大臣のポストを作
り(すでにある名目的なポストを、実質的なものとして強化する)、これまでEU
各国が個別に保有していた外交と軍事に関する国家主権を、EUに統合していこう
とするものである。
今の速度で進むと、EUは今後数年以内に、統合的な外交軍事戦略を持つように
なる。EU軍の創設も進むだろう。すでに軍事統合の準備事務局のようなものが、
ブリュッセルのEU中央にできている。実体的な兵力を持ったEU統合軍が立ち上が
ってきたら、もはや欧州にはNATOは必要なくなる。
<<引用終わり。[ 田中宇:イギリスの孤立 ]より。昨日配信。
先生のスコットランドへの考察を読むにつけ、欧州での民族問題と、アジアの
欧州たる中国における民族問題、とりわけ台湾とチベットにおいて、同時期に注
目を集めたものの、台湾の公民投票は無効、チベットにおける泥仕合の様相、と
ても欧州にはかなわんなと思う次第であります。
PS 欧州憲法につきウェブにあたっていると、
「デロゲーション」だの「リコメンデーション」なる言葉が目に付きました。
http://usui.asablo.jp/blog/2007/01/31/1155014
なんだか政治学に出てきそうな言葉ではあるのですが、もしかしたら将来邦訳
されて普遍的な言葉になるような気がして・・・先生は何かご存知ではありませ
んか?
<太田>
田吾作さん、MNさん、貴重な情報をありがとうございました。
上記ブログの筆者は、
「たくさんのデロゲーションなる抜け道が盛り込まれる<ことで、>EUの環境
立法は、ますますソフト化していくだろう。・・リコメンデーションという法的
拘束力のない文書<もよく用いられる>。EU研究の業界用語では、これを
Co-Regulation(共同規制)という。あたらしいガバナンス様式の一種である。」
という文脈の中でご指摘の二つの言葉を使っています。
リコメンデーション(recommendation)は字義通り「勧告」でしょうが、デロ
ゲーション(derogation)は余り聞き慣れない言葉です。
「(名誉・品格を)傷つける」という意味の derogatory はよく用いられる言葉
であり、筆者自身が「抜け道」と意訳されていることを併せ考えれば、何となく
イメージはつかめますね。
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20426
■
太田述正 2008.02.15 オーストラリアの原罪(2)
2008/03/27 10:19
太田述正コラム#2367(2008.2.15)
<オーストラリアの原罪(その2)>(2008.3.27公開)
1934年、英国の保健省(Department of Health)は、「魯鈍者(feeble-minded)
・・25万人の精神的欠陥者(mental defectives)とそれよりはるかに多数の精
神的非通常者(mentally subnormal)」の強制的断種を勧告する報告書を出しま
した。
労働党の議員達が労働者階級の人々が犠牲になることを懼れて反対したため、
結局この勧告は実施に移されることはありませんでしたが、当時の英国の雰囲気
が分かろうというものです。
(2)ネヴィルの吸収政策
フェビアン流社会主義者達の影響を受けてオーストラリアで吸収政策を推進し
たのはネヴィル(Auber Octavius Neville。1875〜1954年)です。
イギリスに生まれたネヴィルは、子供の時にオーストラリアのビクトリア(州)
に移住し、1897年に西オーストリア(州)に移り、官僚になり、どんどん昇進し
ます。
1915年に同州の原住民保護長官(Chief Protector of Aborigines)となった
ネヴィルは、1936年には原住民問題コミッショナー(Commissioner for Native
Affairs)となり、1940年に退官します。
オーストラリアの原住民は、1788年に英国人が初めてオーストラリアにやって
きた時には約30万人いたのに、1921年までには6万人まで減少していました。
彼の推進した吸収政策は、原住民地区の主として女の子を連れだし、しばしば
異種族間結婚(miscegenation)(や強姦)を伴いつつ白人の家庭で奉公をさせる
ことによって、原住民性を失い、肌の色も褪せた人々を創り出すことを意図した
ものでした。
こうすることによって、オーストラリアにかつて原住民がいたという痕跡を拭
い去ることができる、というわけです。
この政策は我々から見れば唾棄すべきものですが、ネヴィルにしてみれば、こ
れはフェビアン流社会主義の進歩的な考え方の実践であり、原住民地区に追いや
られたことによる貧困とオーストラリアの白人大衆達による原住民へのむき出し
の暴力を伴う迫害から原住民を守るためのものでもあったのであり、ほとんど政
治的支援も得られず、碌にカネも与えられなかったにもかかわらず、ネヴィルは
この政策の遂行に尽力を続けるのです。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/feb/14/australia
http://www.hinduonnet.com/2001/09/16/stories/13160611.htm、(どちらも前掲)、
及び、http://en.wikipedia.org/wiki/A._O._Neville(2月14日アクセス)による。)
3 終わりに
英国よりも遅れて黒人奴隷貿易を止め、英国よりも大幅に遅れて形式的な奴隷
制廃止を行い、つい最近になってようやく黒人差別意識を克服しつつあるように
見える米国と、英国ではついに実践に移されることのなかった優生学理論を20世
紀前半から中期にかけて実践に移したオーストラリアは、私に言わせれば、どち
らもできそこないの(bastard)アングロサクソンなのです。
先の大戦で日本にとって最大の敵は米国でしたが、この米国に優るとも劣らな
い憎しみの念をもって日本と戦い、戦後の極東裁判で、マッカーサー占領軍司令
官や米国が送り込んだキーナン検事よりも日本に対して厳しい立場で訴訟指揮を
行ったのが、オーストラリアが送り込んだオーストラリア最高裁判事のウェッブ
(William Flood Webb。1887〜1972年)裁判長でした
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%
A0%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96。2月15日アクセス)。
そのオーストラリアが、米国同様、先の大戦時まで、文字通りの有色人種差別
国であったことをわれわれ日本人は決して忘れるべきではありません。
すなわち「太平洋」戦争は、この限りにおいて、正義と進歩を代表する日本と
悪徳と反動を代表する米豪の戦いであったということを・・。
そんなオーストラリアが、現在、日本の調査捕鯨に対して国を挙げて反対運動
を行っています。
白豪主義の「放棄」にもかかわらず、そしてラッド首相が行ったオーストラリ
ア原住民への謝罪にもかかわらず、オーストラリアはいまだにアングロサクソン
を頂点に置く人種差別意識を克服できていない、と言わても仕方ないでしょう。
(完)
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20441
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太田述正 2008.03.28 皆さんとディスカッション(続x96)(続x97)
2008/03/28 16:28
太田述正コラム#2449(2008.3.27)
<皆さんとディスカッション(続x96)>
<大阪の川にゃ>
--台湾の核武装をアメリカが承認か?--
台湾に核の起爆部品を「誤配達」、米国防総省が大失態
(2008年3月26日10時39分 読売新聞)
米国防総省は25日、米国が2006年秋、台湾に大陸間弾道ミサイルの核弾頭を起
爆させるための部品を「誤って引き渡していたことが判明した」と発表した。
米国防総省によると、台湾に送られたのは、弾道ミサイル「ミニットマン」(射
程1万キロ・メートル以上)の弾頭に取り付ける電気式信管4個。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080326-OYT1T00219.htm
これは以下のような、数年前から噂されていたところの、北朝鮮核開発牽制の
ための米国による中国に対する台湾核武装カードなのでしょうか。
「北核阻止できなければ米も台湾核阻止できず」
チョソン・ドットコム(朝鮮日報 2004/04/22)
趙甲済(チョ・ガプジェ)月間朝鮮編集長は22日、「米国の消息筋によれば、
チェイニー米副大統領は最近中国を訪問し、『中国が北朝鮮の核武装を阻止で
きなければ、米国も台湾と日本の核武装を阻止できない』というブッシュ大統
領のメッセージを党政の首脳部に伝達した」と主張した。
http://www.chosunonline.com/article/20040422000027
<太田>
米空軍による単なるミスです!
(http://www.ft.com/cms/s/0/f7f252a6-faa2-11dc-aa46-000077b07658.html。
3月26日アクセス)。
それがいかなるひどいミスの連続であったかが、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/03/26/AR2008032600666.html
(3月27日アクセス)に詳述されています。
通常爆弾だと思って米空軍のB-52が核爆弾を搭載して米本土上を飛行したとい
うミスが昨年起こりました。
今回のミスは2006年に発生し、今年、台湾当局からの強い注意喚起があるまで
米側が気付かなかったものですが、こんなミスが続くということは、いかに米軍
が核兵器を無造作に扱っているかを示して余りあるものがあります。
(事実関係は、上記FT、ワシントンポスト記事による。)
<○○>
『赤頭巾ちゃん気をつけて』、名前は知っていたのですが、そういう内容が含
まれているとは思っていませんでした(コラム#2415)。ぜひ読んでみたいと思
います。
筑駒が教育をしていないという点については、筑駒卒の(珍しく)優秀な同期の
知り合いが、高校では何も教えてくれなかった、と日記で述懐していたのを思い
出しました。
あまり受験教育を行うのは、本人の将来を底上げはしても、上限を潰すものな
のではないか、というのが私の個人的な感想です。
<太田>
受験教育についてのご所見は、言い得て妙ですね。
<finprodrifting>
コラム#2351「オバマ大頭領誕生へ?(続x4)」を読みました。
私も基本的にオバマ有利と見ています。ただし、民主党内での候補者争いがあ
まりにも長引けば長引くほど、クリントンのオバマに対する negative campaign
を有権者は耳にすることになるので、本選挙では共和党に負けてしまうのではと
危惧しています。
また、クリントンの場合、ブッシュよりはましな政治をするかとは思いますが、
選挙運動の中でも、ネガティブキャンペーンを恥じらいもなく繰り広げ、平気で
うそをついたりするところを見ると、ベネズエラをはじめ反米的な国家のリーダ
ーからは信頼を得ることはできないと思います。
経験は未知数とは言われますが、リーダーに求められるのって、実務能力や細
かいノウハウじゃなくて、最終的には人間としての高潔さではないかと思います。
その点でも、オバマが当選しないと、今後、4or8年、極めて不安定な世界情勢
になるのではと危惧しています。
<コバ>
米国の世論調査でマケイン候補が民主党候補よりも優勢になっているようです
(http://www.ntv.co.jp/news/105626.html)。
しかし、今やオバマがヒラリーの圧倒的優位を覆しているからあまり当てには
出来なそうです。
マケインはブッシュと比較するとどうなのでしょう。そして、オバマやヒラリ
ーのほうがマケインよりもマシなのでしょうか。
泥沼の中東、世界を安定化させることの出来る大統領を米国人が選ぶことが切
に望まれます。
<太田>
引用された世論調査については、昨日も本日も、ガーディアン、FT、NYタイム
ス、ワシントンポストの電子版に、私が気がついた範囲では一切言及されていま
せんでした。
ということは、論ずる価値はないということでしょう。
それはさておき、マケインについてのご質問もこれあり、近々コラム(非公開)
でマケインのことを書くことにしました。
ポイントは、共和党がメタメタであること、当選すればこれまでで最高齢で米
大統領に就任すること、にもかかわらず、3人のうちマケインだけがロースクー
ル出身でなく海軍兵学校出身であり戦争経験がありしかも長期にわたる捕虜経験
があること、マケインは共和党左派であること、等から、オバマ、クリントンの
どちらの民主党候補ともいい勝負になりうること、です。
<兵頭二十八>(http://sorceress.raindrop.jp/blog/より転載)
チャンネル桜の先々週の日本の防衛をめぐる討論会、じつはわたしにも声がか
かっていたのであるが、2月冒頭の強度のギックリ腰の後遺症で、安い椅子に長
時間腰掛けていると苦痛であったので、参加をお断りした。<中略>
で、じつはわたしは、代わりとして、太田述正氏と「エンリケ航海王子」氏を
参加させるべきですぜと、秘書の方を通じ、水島さんに熱烈に推挙申し上げたの
である。近代国家の「政−軍関係」について、この2人以上にマトモな発言をし
てきた人は、日本には居やしないんだから。わたしへの出演依頼の電子メールに
は予定メンバー表がついていた。その全員を集めても、この2人の面白さには敵
うまいとわたしは即断した(一面識もない田久保さま、おゆるしください)。
太田氏については、わたしからの意見具申以外にも、視聴者のリクエストがす
でにあったらしく、サクッと列席が実現したようなので、慶賀の至りだ。ささや
かなカンパの代わりにもなれかしと祈る。(たしか出演料は、ソロバン玉の上の
1コ? でも無編集・無検閲で語り抜ける番組はここしかない筈。)
案の定というか、プロボカティブな展開となったようで、これまた大慶と存ず
る。何年も太田氏のメルマガのバックナンバーを読んできたわたしとしては、番
組のビデオを見なくとも、太田氏がよいことを存分にブチカマシたと分かってい
る。
太田氏は「山田洋行」プロットがムチャクチャになる前に防衛庁のインサイダ
ーではなくなっている。しかし太田氏を非難する陣営の方々はどうなのかな?
知っていて黙っていた人がいるんじゃないですか? 真に勇気のある人はどっち
で、偽愛国者やヘタレ言論人は誰なのか、追々、世間にも知られて行くだろう。
<太田>
なるほど、そうだったの。
ところで、「エンリケ航海王子」とは何者か?
http://sorceress.raindrop.jp/blog/2008/02/
にその手がかりがあります。
<某某某>
コラム#2414「「太田総理・・」ダブル収録記」を読みました。
太田さんが出た、3月14日の「太田総理・・」の番組を見ていて、気になった
ことがひとつありました。
「脅威なんて実はなかったから、予算を半分にしても防衛は出来る」との話で
す。
これは筋が通るんでしょうか?私にはそうは思えませんでした。
というのも、過去は過去、今は今、未来は未来であって、過去の体験値を大事
にするのはもちろんですが、「過去大丈夫だったから、今後もだいじょうぶ」と
は言えないと思うのです。
<太田>
私が言っているのは、自衛隊に対して具体的な任務を与え、それに必要な予算
をつけよ、ということに尽きます。
日本の領域(国土)防衛という任務だけでは、これまで自衛隊の保持してきた
機能や自衛隊の規模、ひいては防衛費の規模の説明は不可能です。
説明が不可能である限り、自衛隊に対して具体的な任務を与えたことにはなり
ません。
そして、具体的任務を与えなければ、自衛隊の退廃、腐敗、そして不祥事や事
故の頻発が続くことは避けられません。
将来、領域防衛任務の重要性が増す可能性が強いと思うので、それに備えるべ
きだとおっしゃるのであれば、整備すべきは自衛隊というより、自衛隊をとりま
く国内環境・・防衛基盤・・の方でしょう。脅威の増大が現実化してきたら、防
衛産業を拡大したり、自衛隊を拡大したりするための基盤の整備です。
しかし、現時点でより行うべきことは、現状で与えうる任務相応に自衛隊の規
模、ひいては防衛費の規模を大幅に圧縮するか、集団的自衛権を行使できるよう
にして、自衛隊の海外派遣任務を質量共に増やすことによって、現在程度の防衛
費や自衛隊の規模を維持しつつ、トータルとしての自衛隊に具体的な任務を与え
ることだと私は考えます。
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3月31日(月)1930開演の週間金曜日主催のトークライブに出演します。
場所は阿佐ヶ谷ロフトA(http://www.loft-prj.co.jp/lofta/)です。
概要は以下の通り。
創刊15周年『週刊金曜日』PRESENTS vol.3 in ASAGAYA/LOFT A
「三菱重工の正体と自衛隊の本質」
「希望は戦争」が最もあてはまるのは、フリーターではなく、巨大軍事産業だ。
明治時代から「戦争」とともに歩み続ける政商「三菱重工業」の正体に迫る。
半田滋(『東京新聞』編集委員)
田中みのる(ジャーナリスト)
鎌田慧(ルポライター)
太田述正(評論家)
佐高信(評論家、『週刊金曜日』発行人)
北村肇(『週刊金曜日』編集長)
【司会】伊田浩之(『週刊金曜日』編集部)
18:30 開場
当日券のみ:¥1,500+最低1ドリンク
出演者のうち、佐高信、鎌田慧ご両名とは初対面です。
それにしても、何ともおどろおどろしい能書きですね。
チャンネル桜に出演した時とは正反対のシチュエーションですが、果たして私
なんぞが出演させていただいてよろしいのでしょうかね?
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私の考えや当コラムに対するコメントをお寄せになった場合、お断りすること
なく、私のブログの掲示板や当コラムに転載することがあります。なおその際、
時候の挨拶的な部分を削除したり、筆者のアイデンティティーを隠すために必
要な範囲で、文章に手を入れたり部分的に文章を削除したりさせていただきます。
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太田述正コラム#2451(2008.3.28)
<皆さんとディスカッション(続x97)>
<遠江人>
コラム#2449を読みました。
週間金曜日主催のトークライブに出演されるそうですが、おっしゃるとおり、
まったく正反対のシチュエーションですね。太田さん、楽しすぎます(笑)
チャンネル桜の感想でも書きましたが、とにかく進行どおりの討論などさせな
いことです。何も変わらなかったことが過去に証明されていることを、相も変わ
らず繰り返している予定調和の場において、右でも左でもない異物が本質を突く
ことこそ意義があります。
今回も「皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわけだが、何も変
わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ」のセリフは有効かも
しれませんよ(笑)
<まさ>
>明治時代から「戦争」と歩み続ける政商「三菱重工業」の正体に迫る。(コラ
ム#2449)
おもしろそうですね。 龍馬より身分の低かった弥太郎が一代で、どうして、財
を成すことができたのか。
三菱重工には、優先的に練兵場や官営工場の払い下げが行われていたそうです。
<読者MN>
ごきげんいかがですか、MNです。
先日もコラム#2447でレスをいただきありがとうございました。
「リコメンデーション」すなわち「勧告」とのご指摘、腑に落ちました。
個人的には、日本の官庁がおこなう行政指導のようなイメージに落ち着いてい
ます。
結構、『日本的社会主義』もモデルケースにされてるのかも!(笑
また、「デロゲーション」についてですが、やはり興味があったので値は張り
ますが
http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E3%81%AE%E9
%80%B8%E8%84%B1%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E2%80%95%E7%B7%8A%E6
%80%A5%E4%BA%8B%E6%85%8B%E3%81%8C%E7%85%A7%E3%82%89%E3%81%99%E6%B3%95%E3
%83%BB%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%83%BB%E5%80%8B%E4%BA%BA-%E5%AF%BA%E8%B0%B7-%
E5%BA%83%E5%8F%B8/dp/toc/4641046182
これ買ってみました。まだ届いていませんが。
さて、トークライブで鎌田慧さんと同席されるとのこと、羽があれば飛んでい
って拝聴したいのですが、いかんせん東京は遠いです・・。
といいますのも、かつて氏の『ドキュメント 造船不況』
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%
83%88-%E9%80%A0%E8%88%B9%E4%B8%8D%E6%B3%81-%E9%8E%8C%E7%94%B0-%E6%85%A7/
dp/4002601560/ref=sr_1_36?ie=UTF8&s=books&qid=1206607871&sr=8-36
を読み大いに感銘を受けました。
その作者と先生の対談ですから、すごくすごーく興味があるんですが、3月末
ってつらい日程だなあ(苦
情報の一極集中ここにあり。南無〜
私は石油ショックの年に生まれたため、企業リストラといえばポストバブルの
いわゆる失われた十年、の頃しか存じませんが、同書のおかげでいかにして組合
が力を失っていったのかを知ることが出来ました。
また、その後の共産主義陣営の崩壊が追い討ちをかけたであろうことも、組合
の弱体化と99年以降の労働者派遣法の改正も同書からの類推で得た知識と相成り
ました。
というわけで私は結構氏のファンでして、おなじく鎌田氏の『痛憤の時代を書
く』という本を読んだ時にすこし抜粋がきをしております。
先生のご見識を以ってすれば氏とお会いするまでに氏の著作数冊読破されるこ
となどいともたやすいことでしょうけれども、期日も来週月曜と迫っております
し、もし何かのお役に立てば嬉しいのでその抜粋をPDFにしたものを添付いたし
ます。
もし気が向かれたらご笑覧くださいませ。
それでは、ご多幸を祈念いたしております。
<太田>
MNさん。参考資料送付ありがとうございます。
トークライブの詳細が分かったので、お示ししておきます。
3/31
創刊15周年『週刊金曜日』PRESENTS vol3 in ASAGAYA/LOFT A
「三菱重工の正体と自衛隊の本質」
「希望は戦争」が最もあてはまるのは、フリーターではなく、巨大軍事産業だ。
明治時代から「戦争」と歩み続ける政商「三菱重工業」の正体に迫る。
○第1部 19時30分〜21時10分
――「あたご」事件と自衛隊の本質
【出演】
太田述正(評論家、元防衛庁長官官房防衛審議官)
半田滋(『東京新聞』編集委員)
田中みのる(ジャーナリスト)
【司会】伊田浩之(『週刊金曜日』編集部)
○第2部 21時20分〜23時ごろ
――防衛省汚職事件と三菱重工の正体
【出演】
太田述正(評論家、元防衛庁長官官房防衛審議官)
鎌田慧(ルポライター)
佐高信(評論家、『週刊金曜日』発行人)
佐藤優(作家、起訴休職外務事務官)(途中から出演)
【司会】伊田浩之(『週刊金曜日』編集部)
●日時3月31日(月)18時30分開場、19時30分開始
(前売りはありません。開場時刻から先着順の入場となります)
●場所 東京ASAGAYA/LOFT A 杉並区阿佐谷南1-36-16-B1(JR中央線 阿佐
谷駅下車 パールセンター街徒歩2分)電話03-5929-3445
●入場料1500円(飲食代別)
話は全く変わりますが、私の弥生モード/縄文モード論の弱点が前から気になっ
ていました。
なぜ、縄文モードの日本が、平安時代のように戦争とともに死刑制度を(事実
上)廃止していないのか、という点です。(江戸時代も縄文モードの時代ですが、
支配階層の武士は弥生モードのままなので死刑制度も存続させた、と考えるわけ
です。)
森達也氏のインタビュー(
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080324/150968/?P=3、
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080324/150969/。3月27日ア
クセス)を読んで触発され、ようやく解答らしきものに到達しました。
「群れて生きることを選択した人類の普遍性ではあるけれど、この国はそれが
とても強い。だから想像だけど、かつてアジア諸国も、一人ひとりは善良で思い
やりのある日本人が、国家や軍隊という組織になったときに、どうしてこれほど
無慈悲になれるのだろうと驚いたんじゃないかな。・・零度の状態の水は、個体
でもあり液体でもある。物理的には確定できない。この零度の状態の水をコップ
に入れて、指でちょっと衝撃を与えると、一瞬にして氷になってしまうことがあ
るんです。臨界状態における物質の振る舞いのひとつの特性です。一瞬にして相
が変わる。日本人はこの臨界点が低い。だから、ちょっとした刺戟で一色に染ま
ってしまいやすい。・・集団行動が突出して得意だから、あの敗戦から十数年で
高度経済成長を成し遂げた。だから美徳でもある。」
→論旨が整理されていません。1937年の日支事変以降、日本が戦争を合理的に遂
行できなかったのは戦争を厭う戦争が不得意な縄文モードの日本になってしまっ
ていたからです。また、そもそも、日本文明は世界で多数を占める集団主義の文
明ではなく人間(じんかん)主義の文明であってどちらかと言えば個人主義のア
ングロサクソン文明に近いのです。更に言えば、高度経済成長は戦前から始まっ
ていたのです。(太田)
「相転移が対外的に為されるときには戦争になるし、対内的には死刑制度が嵌
るんでしょうね。共通することは、悪の抹殺への希求。でも、その悪の実相には
目が届かない。」
→戦争や死刑を合理的に遂行できないのは縄文モードの日本であるからこそなの
です。だから、縄文モードが続けば、日本は戦争を放棄し、死刑を廃止するに至
る可能性が高いのです。実際、戦後、戦争は放棄されて現在に至っています。
(太田)
「世界が死刑廃止の趨勢にあるなかで圧倒的な死刑・・国家による殺人<を>
・・存置を支持するこの<日本>の特殊性」
→世界の趨勢と対比させる前に、日本において、同じく国家による殺人であると
ころの戦争の方は放棄したというのに死刑制度の方は存置していることに注意を
喚起させるべきでしょう。単にきっかけがつかめず、死刑制度の廃止の方は遅れ
てしまったというだけのことだという気が私にはしてきました。(太田)
「検察庁というのは、視点によっては殺人機関だとつくづく思いましたね。お
そらく多くの罪なき人たちが、警察や検察の組織の論理で処刑されています。・
・<しかも、>1965年を境にして、死刑囚を取り巻く環境が・・管理一辺倒に変
わってしまう。・・結果、不祥事が起こると、誰が悪いんだと責任をなすりあう
。・・かつての戦争もこうだったのではないか。結局、国民も軍部もメディアも
政治家もみんなが加担していったにもかかわらず、戦争が終わってみると、軍部
の一部の指導者に責任を押し付けようとしてきた。・・昨年の殺人事件の発生件
数<は>、実は戦後最低だった・・現実とは遊離した体感治安ばかりが悪化して
、仮想の悪が作られる。死刑が急激に増えてきた背景に、このメカニズムが働い
ている」
→やっぱり縄文モードの日本では死刑制度の合理的な遂行は不可能だということ
でしょう。1965年は、戦争の方の1937年の日支事変の始まりに相当するのかも。
(太田)
「裁判員<の導入により、>・・実際に被告を目にすることで、簡単にお茶の
間で「あんなの死刑よ」と言っていた人が、言えなくなるんじゃないか。そうい
う予測もありますね。民意がより直接的に司法に介入するから、加速的に死刑判
決が増えるとの見方もある。どっちだろう? わからないんです。」
→前者の予測が正しいのでは? 後からふりかえってみると、裁判員制度という
奇妙な制度の慌ただしい導入は、1941年の対米開戦がきっかけとなって戦争の放
棄がもたらされたのと同様、死刑の事実上の廃止をもたらすきっかけになったと
総括されるのではないでしょうか。
それでは、元に戻って、どうして「世界が死刑廃止の趨勢にある」のでしょう
か。
長くなるので簡単にしますが、それは、「世界で戦争が放棄される趨勢にある
・・戦争が国際的警察行動で取って代わられつつある・・趨勢にある」ことと連
動していると考えている、と申し上げておきましょう。(太田)
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20442
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太田述正 2007.09.27 朝鮮戦争をめぐって(1)
2008/03/28 16:34
太田述正コラム#2089(2007.9.27)
<朝鮮戦争をめぐって(その1)>(2008.3.28公開)
1 始めに
今年4月に交通事故で亡くなったハルバースタム(David Halberstam。1934〜
2007年)・・ベトナム戦争にいかに米国のエリート達が愚劣に対処したかを描い
た The Best and the Brightest(1972)の著者として有名・・の遺作
'THE COLDEST WINTER America and the Korean War'についてのいくつかの書評
を読んで感じたところをご披瀝したいと思います。
2 書評と感想
(1)ワシントンポスト
「<朝鮮戦争(1950〜53年)では>軍人たる士官達が事実をねじまげて文民の
指導者達に報告した。ベトナムとイラクではこのパターンが逆さまになり、文民
達が軍部と国民を操るために情報を恣意的に選択した。しかしハルバースタムの
見解では、朝鮮戦争の方がはるかに危険な先例なのだ。・・<事実、>半世紀も
経ってまだ何千もの米軍部隊が朝鮮半島にとどまっている・・」
→前段については特段言うことはありませんが、後段については、そんなこと
を言うのなら、先の大戦から60年以上も経ってもなお、何万もの米軍部隊が日本
列島にとどまっているのはどういうことになるのでしょうね。
「マッカーサー(Douglas MacArthur。1880〜1964年)は、5年間誰にも無答責
な立場で日本占領軍の司令官をしていた男だが、<朝鮮>戦争をリモート・コン
トロールで行った。「朝鮮半島の戦場でわずか一夜を過ごす」こともなかったの
だ。彼は既に70になっていた・・。」
→1950年6月25日に北朝鮮軍が侵攻してきたのですが、マッカーサーは6月29日
に専用機で水原に入り、自動車で前線を視察しただけでなく、自ら戦場を歩き回
っています(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89。
9月27日アクセス)。
確かにマッカーサーはその日のうちに日本に戻っているので、ハルバースタムの
指摘は間違いではないとはいえ、何十万の軍隊を指揮する元帥が戦場にいなけれ
ばならない、ということはないでしょう。第一、マッカーサーは戦場のすぐ近く
の日本にいたのです。
「ワシントンを回避し彼が戦争を個人的に遂行するため、マッカーサーは、
<もともとからあった>第8軍(Eighth Army)と並列の第10軍団(X Corps)を
編成した・・。自分の部隊を・・ハルバースタムに言わせれば「信じがたいこと
に」・・二つに分けたのは彼の愛おしい廷臣であったエドワード・アーモンド
(Edward Almond)に戦闘部隊指揮官職を与えることによって大将への承認基準
を満たすためであり、その結果マッカーサーは敵の追撃を一ヶ月遅らせてしまっ
た」
→第10軍団は仁川(Inchon)上陸作戦を敢行するために編成されたものであり、
その間、半島内における追撃の速度が鈍ったとことはある意味で当然のことです
し、海兵隊を交えた上陸作戦の特殊性に鑑みれば、新しい部隊を編成したことも
決しておかしいとは言えないのではないでしょうか
(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/09/20/
AR2007092002084_pf.html。9月23日アクセス)。
(2)ニューヨークタイムス1
「朝鮮戦争は、議会ないし国民が理解しないままに疑わしい戦略的大義に基づ
き大統領が命じた、ハルバースタムの生涯中に生起した3つの米国の戦争の最初
のものだった。
朝鮮戦争は、米国が初めてその帝国的無能さをさらけ出し、軍事指導者達が二
度とアジアにおける地上戦を行うまいと誓うことになった戦争でもあった。
しかし・・ベトナム戦争とイラク戦争がその後に生起することになる・・。
朝鮮半島における戦争は巨大な失策の賜だった。
ディーン・アチソン(Dean Acheson)国務長官が定例演説で南朝鮮を米国のアジ
アにおける「防衛圏(defense perimeter)」に含めることを忘れたことが、気
乗りしなかったスターリンをして、金日成が約束したところの全朝鮮を統一する
ための3週間の電撃戦に北朝鮮軍を投入させることになった。それは成功する寸
前のところまで行った。
マッカーサーは・・日本においても、南朝鮮においても、攻撃に対して準備す
ることを完全に怠っていた。<攻撃を受けた>最初の夜、彼はそれを「強行偵察」
と誤解した。一日経った時点で、今度は彼は全朝鮮が失われてしまったとパニく
った。・・
マッカーサーは彼の軍歴の中で最も素晴らしい<仁川上陸という>戦術的攻撃
で答えた。これが逆説的により大きな大失敗を引き起こすことになる。・・<マ
ッカーサーは、>自分はもはや不敗であると思い、・・中共が彼に挑戦するよう
なことはありえないと信じ込み、全北朝鮮の速やかな征服を命じた。
・・しかしその結果、ハルバースタムに言わせれば、「賽は投げられ、他の人
々が彼のひどい傲慢さと虚栄の代償を支払うことになった」のだ。
またもや米軍が敗走した時、マッカーサーの強迫観念的反応は核戦争をも辞さ
ない、中共との全面戦争の扇動だった。一人一人の兵士に「死にものぐるいで戦
う」ことを求める「過酷な限定戦争」で満足できるもっとまともな将軍で置き換
えるため、彼はトルーマンによって1951年4月に馘首されなければならなかった。
そのおかげで、対峙状況が招来され、二つの朝鮮の間のもともとの境界線が回復
することになったのだ。」
→ここは、まことにもってその通りですね。
(http://www.nytimes.com/2007/09/23/books/review/Frankel-t.html?pagewanted=print。
9月23日アクセス)
(続く)
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太田述正 2008.03.29 皆さんとディスカッション(続x98)
2008/03/30 09:46
太田述正コラム#2453(2008.3.29)
<皆さんとディスカッション(続x98)>
<読者MN>
「遠江人」さんもほのめかしておられる(コラム#2451)ように思いますが、小
生にもやや予定調和感が感じられます。鎌田先生の立ち位置が気になる・・・ぐ
おー行きたいなあ。行ってがっかりしてえなあ。いやそれでもいいんです。議論
がなされるだけでもたいしたことです!!先生が折角ご出席になるトークライブ
が日本的各論賛成総論反対に堕すことなく、実り多きものとなるよう祈念いたし
ております。
<太田>
全体もそうなのですが、第2部は、鎌田氏の金曜日社から出版される新著のPR
を兼ねているようなので、議論もさることながら、第2部では、まずは氏のお話
をじっくり伺いたいと思っています。
<読者MN>
すでにお聞き及びかとは思いますが、『マルチチュード』研究で名高いネグリ
氏の来日が中止になりました。
http://www.i-house.or.jp/jp/ProgramActivities/ushiba/index.htm
先生の外務省慨嘆が聞こえてきそうですが、このニュースは又、先生がコラム
#2451でご指摘になった
>「世界で戦争が放棄される趨勢にある・・戦争が国際的警察行動で取って 代わ
られつつある・・趨勢にある」ことと連動していると考えている、と申し上げて
おきましょう。
という部分と複雑にリンクしているように思えてならないのです。
つまり先生がご指摘のような世界の趨勢から、日本をより蚊帳の外におく効
果がある、という意味においてです。
私はフランス社会学の白眉といえばラカンよりヴィリリオを想起します。
その一連の著作においてこれまで何度も軍事行動と警察行動の対比がなされて
きました。
たとえば、
「・・かくして、国際連合は政治的に手酷く否認され、さらに、おそらくは近
い将来、NATOの防衛的調整力もが否認された後、われわれは、新たなタイプの 調
整、今度は攻撃的な調整の時代に突入するだろう。、《軍人》は、もはや、 人殺
しの不良国家との「泥棒との憲兵ごっこ」に興ずるふりをやめ、《新世界秩序》
の実効的運営に手こずる《政治家》の前に再び自らの場所を確保するだろう・・」
(p18-19『幻滅への戦略 グローバル情報支配と警察化する戦争』 ポール・ヴィ
リリオ著、河村一郎訳、青土社、2000年)
ナイン・イレヴンよりも前にものされたこの文章と、欧州がこたびのリスボン
条約の実現によりEU軍創設に向けて動き出したことから類推しますと、NATO から
EU軍への移行というものがもしあるとするならば、それが先生がご指摘に なった
『戦争が国際的警察行動で取って代わられつつある』ことと時間空間的 に符合し
ているように思えてなりません。これが必然なのか、それとも『コンステレーシ
ョン』なのかはわかりませんが、上記の《軍人》が戦いの対象としているところ
は以下のように示されています。
「・・「人権」の名における戦争、人道的戦争の遂行を掲げるとなれば、敵と
の停戦交渉の余地は奪われる。敵が暴虐者、人類の敵である限り、総力戦、そし
て無条件降伏という極論以外の選択肢は残らない。それゆえ、お気づきの通り、
この新たな戦争の論理は、その基盤にある宇宙航空戦略と同じく、国家地政学の
思想家たちが排斥してきた「極限化」に」通じている。例えば、キャンプ・デイ
ヴィッド合意直後の議会(クネセト)でシャロン将軍がイツハク・ラビンに浴び
せた非難と、それに対する後者の応酬を思い出してみよう。「あなたはテロリス
トのアラファトと交渉した、恥ずべきことだ!」将軍はこう糾弾した。ラビンは
「だが、親愛なる友よ、講和するには敵と交渉するしかないだろう!」と言い返
し、イスラエル議会は爆笑に包まれた。「普遍的価値」が政治的領土に優先する
という新事態には、それゆえ、同盟側の戦闘機にも似て素早く目立たない一つの
捏造物が相伴う。「介入の義務」の教条主義を機に発動される、《世俗的聖戦》
という捏造物である・・」 (p19-20上掲同書)
また、軍事の警察化とパラレルに、以下のような興味深い記事もあります。 軍
事の産業化(民営化)についての本山美彦教授(京大)の一連の著作と、手軽に
読めるものとしてのウェブ発表論文です。この二本が特に示唆に富んでいますの
でぜひご参照下さい。NATOと米軍の蜜月は、米軍が培ったノウハウを NATOを通じ
てEUに注入するためのものでもあったかと勘ぐりたくなります。
http://www3.ocn.ne.jp/~iewri/watching/200409/index.html
http://www3.ocn.ne.jp/~iewri/watching/20041112/index.html
ヴィリリオ氏にせよ本山教授にせよ、技術の進歩という観点を片時も忘れるこ
となく社会や経済を論じておられる点だけでも尊敬に値すると思っています。
彼らの言を目立つ場、公の場において見ることが少ないと感じる個人的経験か
ら、それらと180度ベクトルの異なる言説がわが国に多いということの証左でもあ
ると考えます。
実現不可能なイデオロギーは、その存在や主張は大いに認められるべきですが
、それが主権者より付託された権力を有する実務機関に属する、あるいは影響を
与える可能性がある人間に教条主義的に受け入れられ ることは避けられねばなら
ないと信じております。
<太田>
アントニオ・ネグリ(新聞記事で名前だけは存じ上げていました)、ポール・
ヴィリリオ、そして本山美彦各氏をご紹介いただき、刺激を受けました。
それぞれ、イタリア、フランス、日本の知識人であり、もっぱらアングロサク
ソンの知識人の動向をフォローしている私にとっては盲点の部分です。
今後とも、折に触れ、MNさんのアンテナに引っかかってきた欧州や日本の知識
人の言動をご紹介いただければ幸いです。
ヴィリリオの本からの引用が短すぎて、私同様、読者の多くの方も混乱される
のではないかと思います。
いずれにせよ、頭に入れておくべき第一は軍隊と警察の違いです。
前者は法を超えた存在であるのに対し後者は法に拘束された存在であって、こ
のこととも関連し、後者は正当防衛/緊急避難の範囲でしか「敵」を殺傷できませ
んが、前者による「敵」の殺傷には制約が科されません。
頭に入れておくべき第二は・・これは私の考えですが・・、戦争に係る「総力
戦」とか「無条件降伏の追求」は欧州文明の産物だということです。
ところで、本山教授がお示しいただいたコラムで言及されている無線ICタグの
国際標準化問題のその後がどうなっているのか、MNさんでも他の方でも、ご存じ
の方がいらっしゃったらお教え下さい。
<鎌倉人>
コラム#2452「オバマ大頭領誕生へ?(続x4)」(未公開)を読みました。
日本での米国大統領選挙についての報道を見ていると、太田さんが言われるよ
うに、日本は米国の属国ではないかと・・。
特にあきれたのは、小浜とオバマについてのマスコミの報道です。
日本のマスコミならば、大統領候補の政策を分析して、日本との関係や米中関
係の影響がどのようになるかとかの視点が必要だと思うのですが・・。
<太田>
日本は、米国に次ぐグローバルパワーなのですから、本来、(日米関係や米中
関係への影響にとどまらず、)有力大統領候補の掲げる政策全般に関心を持ち、
分析すべきでしょう。米国の属国であることを考えればなおさらです。
小浜市のオバマへのしゃれっ気一杯の入れ込みぶりについては、マスコミを利
用した小浜市の広報戦略として秀逸であり、分かっていて利用されるマスコミ
(外国のマスコミも含む)に目くじらを立てることもないでしょう。
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20453
■
太田述正 2007.09.28 朝鮮戦争をめぐって(その2)
2008/03/30 09:51
太田述正コラム#2092(2007.9.28)
<朝鮮戦争をめぐって(その2)>(2008.3.29公開)
(3)ニューヨークタイムス2
「ハルバースタム氏は、ヘンリー・R・ルース(Henry R. Luce)を始めとする
チャイナ・ロビーが及ぼした悪しき影響についても、歯に衣を着せぬ批判を行っ
ている。彼らが蒋介石と国民党に無条件で支援を続けていたために、共産主義の
支那と朝鮮における紛争に対して冷静な政策をとることが不可能になった、と。」
→そこまで言うなら、米国人の大部分がが蒋介石と国民党ロビーだけでなく、毛
沢東と共産党ロビーでもあったため、支那における紛争に対して米国が冷静な政
策をとることが不可能になった1930年代をどうしてくれる、と言いたくなります。
(http://www.nytimes.com/2007/09/26/books/26grim.html?pagewanted=print。
9月27日アクセス)
(4)ロサンゼルスタイムス
「米国人数百万の頭の中に存在していた支那像は、米国と米国人が大好きな忠
実で従順な農民で一杯、という幻想に満ちたものだった。
→そう。その裏返しが、米国と米国人を物とも思わぬ狡猾で好戦的なサムライで
一杯、という幻想的な戦前の日本像だったことが問題なのです。
(http://www.latimes.com/features/books/la-et-rutten25sep25,0,190081,
print.story?coll=la-home-middleright。9月26日アクセス)
(5)スレート誌
「<ハルバースタムは、マッカーサー(及びその幕僚であったやウィロビー
(Charles Andrew Willoughby)やアーモンド(前出))だけを悪者にしているが、>
それでは、物事の反面しか見ていないと言わざるをえない。・・マッカーサーが
何をしでかすかを非常にはらはらして見守っていた連中だってマッカーサーと目
標は共有していたし、マッカーサーが希望していたのと同様、彼らも大勝利を欲
していた。
ハルバースタムは、<朝鮮>戦争の際の反共ヒステリー・ムードが政権の選択肢
を狭めてしまっていたと信じている。・・<トルーマン>大統領は閣僚達に、新
しい権威と新しい資源を<マッカーサーに>与えてやらなければならないと述べ
た。「少なすぎるのと多すぎるのとどちらがよいかだが、マッカーサーは多すぎ
る方を与えられるべきだ」と。・・
しかも、朝鮮半島を統一するという運命的な意志決定は、基本的に既に仁川上
陸の前になされていたのであり、アチソン<国務長官>自身、その信奉者の一人
だったのだ。・・
マッカーサーが38度線を越えて北朝鮮に進撃する準備をしている時、個人的に
電報を彼に送り、来るべき作戦においてマッカーサーは「基本的に自由にやって
よい」と思ってくれてよいと大統領が考えている、と伝えたのはマーシャル<国
防長官>だった。」
→その通り。米国の指導者達は、ほとんど全員国際情勢が分からず、とりわけア
ジアのことなど、皆目分からないのであって、マッカーサーはフィリピンにいた
期間が長く、その上日本に5年もいたのですから、当時の米国の指導者達の中で
はまだマシな方だったのでです。
何と言っても、マッカーサーは、(恐らく朝鮮戦争が起こったことで)先の大
戦が日本の自衛戦争であったことに気付く程度の国際情勢リテラシーはあったか
らです。(後で再び論じる。)
(http://www.slate.com/id/2174591/。9月25日アクセス)(注1)
(注1)クリスチャン・サイエンスモニターにも書評が載っていた
(http://www.csmonitor.com/2007/0925/p13s02-bogn.htm。9月25日アクセス)
が、面白いのは、仁川上陸作戦を取り上げている箇所だけであり、ワシントンポ
ストの書評と同じなので、省略する。
(続く)
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20460
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太田述正 2008.03.30 皆さんとディスカッション(続x99)
2008/03/30 14:18
太田述正コラム#2455(2008.3.30)
<皆さんとディスカッション(続x99)>
<MN>
温かいレスをありがとうございます。
ヴィリリオの引用の件については、まったくおっしゃる通りです。。
冗長を避けようとしたのと、急いで書いたことが重なり、とりわけ推敲の足り
ない文になったと反省しています。
始めの引用部分については、なぜUNやNATOが批判されるに至ったか、という部
分が欠けており続く引用部分でも、前述部分に同様です。
戦争のテクノロジに関する著者の考察を省いて『軍人』がいかなるものとなる
かを示す部分のみを引用したため、説得力に欠け、扇動的になってしまったと思
います。
また時間のあるときに補足させていただきたいと思います。
さて、本山論文にご興味をお持ち頂いたようでとても嬉しく思っております。
>無線ICタグの国際標準化問題
その後、について少し調べさせていただきました。
まずは、http://ja.wikipedia.org/wiki/Electronic_Product_Code
これに、どうやらEPCがGTIN(ジーティン)に衣替えしたらしいことを付け加え
ておきます。
GTINに対応するEPCとUコードの勝ち負け、みたいな話はまだ見つけていません
が、『GTIN』が標準化された今、そのリンケージであるEPCとUコードは、いわゆ
るデファクトスタンダードの争いになっていると思います。
そして、
http://www.dsri.jp/invres/study_report/iryou_research.htm
http://www.fmric.or.jp/trace/tebiki/tebiki_rev_draft070209.pdf
http://homepage3.nifty.com/nsk-nhk/edi/20061127GTIN.pdf
すでにわが国で導入が進められている様子が伝わります。EPCでネ。
極め付けです
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/gtin.html
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/eanucc.html
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/gdsn.html
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/epc.html
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/rfid.html
http://jp.sun.com/solutions/retail/funamoto/vol2/
サンのシステムがウォルマートに売り込まれたようですね。
<太田>
さっそくありがとうございます。
お示しの一番最後のfunamoto/vol2(2005年5月末以降執筆)によれば、
「ウォルマートに限らず、ターゲット、ベストバイ、アルバートソン、ドイツ
のメトロ、英国のテスコをはじめとした大手小売業でのRFID本格稼動が本年中に
は一斉に開始される。・・このような中で、RFIDの採用に積極的に取り組む消費
財メーカーが次々と出てきている。・・サプライチェーンの革命的とも言える壮
大なプロセス変革事業を、目的を同じくして着実に推進している・・。重要なこ
とは<米国では>各サイドが個別に行っているのではなく、一体となって進めて
いることである。・・我が国においても対岸の火事として傍観したり、批評家的
立場を取っているだけではなく、具体的な一歩を踏み出す時期に来ていると認識
する必要があるだろう。」
とうことのようですね。
本山教授がおっしゃるように「IT設備投資世界第1位」の米国防省が「第2位
<の米>ウォルマート」と連携してRFID流商品管理無線ICタグの導入をグローバル
に推進しているのだとすれば、軍が技術/組織革新を引っ張ってきたという拙著
『防衛庁再生宣言』での指摘を裏付ける最新動向の一つということになります。
<ちんみ>
--ワーキングプアの「派遣」先は、戦場〜--
堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ』岩波新書、700円(税別)に関する書評
(栗原裕一郎)が http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080326/151245/
に載っています。
ブッシュ大統領の肝いりで2002年「落ちこぼれゼロ法」が施行された。全国一
斉学力テストを義務づけ教育に競争を導入することで高等学校における学力の低
下に歯止めをかける、というのが表向きの目標として掲げられていたが、この法
律の本当の狙いは生徒たちの個人情報にあったという。全高校に生徒の個人情報
の提出が要請されており、拒否した学校は助成金をカットされるという条項が織
り込まれていたのだ。裕福な子女が通う高校にとっては助成金などどうというこ
ともないが、貧しい地域の高校は存続にかかわるため提出せざるをえない。つま
り貧困層がターゲットだったわけだ。個人情報収集の目的は何か? 軍へのリク
ルートを効率的におこなうための素地づくりである。〈米軍はこの膨大な高校生
のリストをさらにふるいにかけて、なるべく貧しく将来の見通しが暗い生徒たち
のリストを作り直す。そして七週間の営業研修を受けた軍のリクルーターたちが
リストにある生徒たちの携帯に電話をかけて直接勧誘をするしくみだ〉
・・
唐突に憲法9条を持ち出す著者の思考形態<や、陳腐な>グローバリズム批判
<といった>イデオロギーに染まった部分については読み手がチェックを入れる
という前提に立てば、本書はきわめてすぐれたレポートであると思う。
<太田>
私が、タイトルを見ただけで読まないことにした書評ですね。
私は随分前から日本人の書いた外国についての本は一切読まないことにしてい
ます。この種の本の書評だって原則そうです。ただ、批判をする素材としてこの
種の本の書評に目を通すことはあります。
今にして思えば、この書評は読んだ方がよかったかも。
書評子である栗原裕一郎も、そしてこの本の著者である堤未果(川田龍平参議
院議員の奥さんになった人らしい)も、どちらも問題なしとしないからです。
まず、「唐突に憲法9条を持ち出す著者の思考形態<や、陳腐な>グローバリ
ズム批判<といった>イデオロギーに染まった部分」というのは、的確な堤未果
批判です。私だって同じ批判をしたことでしょう。
しかし、それに続く、「については読み手がチェックを入れるという前提に立
てば、本書はきわめてすぐれたレポートであると思う。」には「ありえねー」と
言いたくなりました。
視座が歪んでおれば、取材も、従って記述も歪んでくるはずだからです。
事実記述が歪んでいるというのが堤に対する第二の批判であり、これは最低限
のチェックをせずに「すぐれたレポートであると思う」と言い切った栗原に対す
る第二の批判にもなろうかと思います。
どういうことか。
ブッシュが導入した問題の法律を、堤と同様の観点から批判している米国のサ
イト
http://www.afsc.org/newengland/nh/finalafscyouth/militaryrecuitment.html
に昨日アクセスしたところ、以下のような記述がありました。
「・・この法律に基づいた支援を受けた個々の教育機関(Each local educational
agency)は、軍のリクルーターまたはより高等な教育機関(institution of higher
education)からの、中学校生徒の名前、住所、電話番号へのアクセス要求に応
じなければならない。これら要求に応じない学校は連邦補助金の相当部分の支給
を打ち切られる場合がある。・・中学校の生徒またはその両親が要求すれば、そ
の生徒の名前、住所、電話番号が書面による同意なくして開示されることはない。
また学校当局は、軍のリクルーターに他の外部組織(outside entities)に対す
るもの以上の便宜供与を行わないとすることができる。例えば、生徒達がそれ以
外の組織のリクルーター(alternative speakers)の話をも併せて聞くことがで
きるフォーラムを学校に設け、そのフォーラムにのみ軍が募集担当者を派遣する
ことができることとすることができる。・・」
なーんだ、と拍子抜けされたでしょ。
それでもなおかつ、この法律を批判するなんて、米国内ではごくごく少数の意
見のはずですよ。
読者がよく知らない外国の話を取り上げて、鬼面人を驚かす類の記述するのは、
いかがなものでしょうか。
ところで私は、日本の現役官僚や天下りした官僚OBの書いた本は、その書評を
含め、一切取り上げないことにしています。
意識するとせざるにかかわらず、体制べったりの内容であるに違いない本にな
ど何の関心もないからです。
しかし、その書評が英米の有力メディアに載ったらそりゃあ読みます。
300万部以上売れたという坂東眞理子(1946年〜)の『女性の品格』(2006年
9月)がニューヨークタイムスで厳しく批判されていました
(http://www.nytimes.com/2008/03/29/world/asia/29bando.html?ref=world&pagewanted=print。
3月29日アクセス)。
板東は東京大学文学部卒後の1969年に総理府入省。1975年総理府婦人問題担当
室(男女共同参画室の前身)が発足した時、最年少の担当官として参加、1978年
に日本初の「婦人白書」の執筆を担当した。1980年よりハーバード大学へ留学。
統計局消費統計課長、埼玉県副知事、在豪州ブリスベン総領事(女性初の総領事)、
総理府男女共同参画室長、内閣府男女共同参画局長等を経て2003年に退官。
・・2003年8月31日の埼玉県知事選挙に出馬するが落選。以後、同年10月に昭和
女子大理事、2004年4月同大女性文化研究所長および教授、2005年4月同大総務
担当副学長、2007年4月同大学長に就任、という経歴です。
確かに知事選に出た時は自民党の推薦を受けたわけではありませんし、昭和女
子大とのご縁も天下りではなかった可能性はあります。
実に、現役官僚の時代に著書24冊、翻訳書2冊も上梓しているのですから・・。
(以上、事実関係は
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E6%9D%B1%E7%9C%9E%E7%90%86%E5%AD%90
(3月30日アクセス)による。
しかし、だからこそ板東はうさんくさい。
彼女の官僚時代の経歴は、(まだ現役官僚とも言える)最高裁裁判官の横尾和
子と、役所こそ異なれ、極めて似ており、一定レベルに達した女性キャリア官僚
に対する逆差別の典型的事例であるとも言えそうです。
それはともかく、官僚時代にこんなに沢山の本を書いたこと自体が問題なので
す。
これは、彼女が勤務で得られた知識や情報を流用し、恐らくは勤務時間の一部
も使って印税収入を得ていたことを意味する、と言いたくなるところはぐっと抑
えましょう。
彼女自身が、『女性の品格』の中で、「ほとんどあらゆる経済的社会的指標に
照らし、日本の女性は他の先進諸国の女性に遅れをとっている。日本のシステム、
すなわち、法、職場は女性に対して厳しいものとなっている。」ことを認めてい
る(NYタイムス上掲)にもかかわらず、この女性差別システム・・これは政官業
癒着構造と表裏の関係にあると言える・・の抜本的変革の必要性を指摘しない内
容の本ばかりを出していたであろうことが問題なのです。
さもなきゃ彼女は、逆差別の対象としておいしいポストばかりをあてがわれる
形で出世し、局長まで勤め上げることなどできなかったことでしょう。
逆差別の対象になるほどの恵まれた女性であれば、それこそ日本の女性差別シ
ステムの抜本的変革を目指し、犠牲を払うことを厭わず、問題提起をしたってい
いくらいのところ、せめて沈黙していてしかるべきだったと私は思うのですが、
まことに遺憾です。
それでも懲りずに板東は、『女性の品格』において、「攻撃的で独立的」であ
るという印象を与えないところの「男とは異なった形の品格」の追求という「洗
練された」道を薦めることによって、事実上古くさい「良妻賢母」となることを
日本の女性達に薦めた(NYタイムス上掲)ことでまたまた大儲けをしたわけです。
これじゃいつまで経っても、日本に女性は浮かばれないじゃありませんか。
<ケンスケ2>
コラム#2092「朝鮮戦争をめぐって(その2)」を読みました。
朝鮮戦争が、金日成の皮をかぶった人民解放軍の南進であったことは、よく知
られるようになっています。
ようやく。
米軍はこのときまで、ゲリラ戦というものを体験しておらず、正規軍同士の決
戦で勝負がつくような戦争しか想定していなかったわけですね。
この失敗はその後ベトナムでもイラクでも繰り返されるわけですが。
旧日本軍の踏み込んでいた泥沼の深さも、今漸くアメリカ人も理解し始めたの
かも知れませんね。
<太田>
朝鮮戦争に人民解放軍が参戦したのは、あくまでも途中からです。
また、朝鮮戦争は、北側が、ゲリラ的な戦術を採った部分はあったでしょうが、
基本的に正規軍同士の戦いでした。
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20469
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太田述正 2007.09.29 朝鮮戦争をめぐって(3)
2008/03/30 19:13
太田述正コラム#2094(2007.9.29)
<朝鮮戦争をめぐって(その3)>(2008.3.30公開)
3 朝鮮戦争とは何だったのか
(1)米国の東アジア戦略大転換の契機
朝鮮戦争は、日本の再軍備を認めない戦略から、日本を米国の東アジア防衛の
拠点とする戦略への大転換を米国にもたらしました。
この米国の戦略転換の転轍手となったのは昭和天皇であり、以下のような経過
をたどります。
昭和天皇は、新憲法が成立して10日後の1946年10月16日に行われたマッカーサ
ーとの会見(3回目)会見で、早くも「戦争放棄を決意実行する日本が危険にさ
らされる事のない様な世界の到来を、一日も早く見られる様に念願せずには居れ
ません」と憲法第9条、つまりは米国の日本再軍備否定戦略への不安感を表明し
ました。
この時、マッカーサーはこの天皇の不安感の表明に一顧だに与えていません。
その半年後、新憲法が施行されてから3日後の1947年5月6日の会見(4回目)
において天皇は、「日本の安全保障を図る為にはアングロサクソンの代表者であ
る米国がそのイニシアティヴをとることを要するのでありまして、その為元帥の
御支援を期待しております」と、事実上米国による日本の防衛を要請しました。
この時、マッカーサーはこの天皇の要請を、事実上拒否しています。
(ちなみに、この会見から半年後の11月19日、天皇は、「25年から50年、ある
いはそれ以上にわたる長期の貸与というフィクション」の下で米軍による沖縄占
領の継続を求める、という「沖縄メッセージ」を米側に伝達している。)
その後、東西間の冷戦が本格化し、1947年6月から翌1948年9月にかけてベルリ
ン危機が起こっています。
このような背景の下、1949年11月26日の会見(9回目)において、天皇は「ソ
連による共産主義思想の浸透と朝鮮に対する侵略等がありますと国民が甚だしく
動揺するが如き事態となることを惧れます」と、あたかも朝鮮戦争の勃発を予測
したかのように共産主義の脅威を訴えます。
これに対し、ようやくマッカーサーは、日本が主権を回復してからも「過渡的
な措置」として米軍等が駐留を続ける可能性に言及します。
ところが、その半年後の1950年4月18日に行われた会見(10回目)において、改
めて天皇が、中国やインドシナ、朝鮮半島、日本など内外の共産主義の動向に触
れた上で、「イデオロギーに対しては共通の世界観を持った国家の協力によって
対抗しなければならないと思います」と主張したのに対し、マッカーサーは、再
び米軍の駐留について言を左右にするのです。
そこへ1950年6月25日に朝鮮戦争という東西「熱戦」が勃発します。
茫然自失後、正気に戻ったマッカーサーが痛切に感じたのは、先の大戦前から
の自分を含む米国の指導者達の東アジア認識が間違っており、昭和天皇の認識こ
そ一貫して正しかった、ということであったに違いありません。
そこでマッカーサーひいては米国は豹変し、日本を含む東アジアの防衛に米国
がコミットする必要性を認めるとともに、日本に再軍備を命じるのです。
このようにして、朝鮮戦争は、日本の再軍備を認めない戦略から、日本を米国
の東アジア防衛の拠点とする戦略への大転換を米国にもたらしたのです。
この際、付け加えておきましょう。
当時の吉田茂首相は、米国の本格的再軍備命令に抵抗し、警察予備隊の創設で
お茶を濁した上、7月末の参議院外務委員会において、「私は<米国に>軍事基
地は貸したくないと考えております」とまで発言します。
これらが吉田による米国に対する意趣返しであることに天皇が気付いていたの
か気付いていなかったのかは定かではありませんが、いずれにせよ危機意識を募
らせた天皇は、同年8月、日本との講和問題の責任者であるダレスに対し、「基
地問題をめぐる最近の<参議院における>誤った論争も、日本の側からの自発的
なオファによって避けることができたであろう」に、との吉田を批判する「文書
メッセージ」を直接送っています。
とまれ、昭和天皇の描いた日本再軍備プラス双務的日米安保構想は、こうして
吉田茂によって軍隊もどきの自衛隊プラス片務的日米安保へと矮小化されてしま
い、日本は米国の保護国に成り下がってしまったわけです。
(以上、天皇とマッカーサーについては、
http://nota.jp/group/kgarticle9/?20060912121406(9月28日アクセス)による。)
(2)東アジア25年戦争の最終章
私は、朝鮮戦争(1950〜51年)は、1925年の中国国民党の北伐開始によって始
まった東アジア戦争の最終章である、とらえています。
日本と支那だけを見れば、1931年の満州事変から1945年の日本の先の大戦にお
ける敗北までを一続きの15年戦争(正しくは14年戦争)ととらえることもできま
すが、私は、東アジアにおける自由民主主義と全体主義との戦いという視点に立
って25年戦争ととらえているのです。
その主要アクターは、自由民主主義の日本と米国、共産主義(スターリン主義)
のソ連(ロシア)と中国共産党、そして容共ファシストの中国国民党、です。
(続く)
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太田述正 2008.03.31 沖縄集団自決事件判決(1)
2008/03/31 13:57
太田述正コラム#2457(2008.3.31)
<沖縄集団自決事件判決(その1)>
1 始めに
沖縄戦の最中に那覇市の西に浮かぶ慶良間諸島の中の座間味島で起こった集団
自決事件をめぐる訴訟で、大阪地裁が28日に判決を言い渡し、被告の大江健三郎
氏と岩波書店側の主張をほぼ全面的に認め、元日本軍の守備隊長らの請求を棄却
しました。
(判決要旨については、共同電
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/article.php?storyid=903470020
(3月31日アクセス)参照。)
この判決に対し、「左」の朝日新聞と東京新聞は評価し、「右」の讀賣新聞と
産経新聞は疑問を投げかけました。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008032902099269.html、
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080328-OYT1T00793.htm
(いずれも3月29日アクセス。いずれも社説)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080329/trl0803290218000-n1.htm
(3月31日アクセス。「主張」欄)
こんなにきれいに判決の評価が分かれるのはおかしいと思いませんか。
政治的立ち位置で判決の評価が決まるというのであれば、およそ裁判をやる意
味などなくなってしまうからです。
こんなことになるのは、この裁判について言えば、政治的立ち位置の呪縛の下
で、「左」が被告の立場、「右」が原告の立場に立った場合の思考実験をしよう
としないからでしょう。
2 大江氏と私の立場の同一性
実は、私が千葉英司氏から訴えられた裁判とこの裁判は良く似ています。
第一に、大江氏は、自著『沖縄ノート』に、自ら現地調査をせず、研究者の戦
史を引用する形で
(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080328/trl0803281159009-n1.htm。
3月31日アクセス)、
「沖縄住民に集団自決を強制したと記憶される男」「『命令された』集団自殺を
ひきおこす結果をまねいたことのはっきりしている守備隊長」(東京新聞前掲)
と実名を伏せて原告の梅沢氏(と赤松氏)について記しました。
一方私の場合は、コラム#195に、自ら調査はせず『東村山の闇』という本を引
用する形で「<東村山市議会の>昭代議員のビルからの転落死は万引き発覚を苦
にしての自殺と断定されてしまいます。ところが、所轄の東村山警察署で転落死
事件の捜査及び広報の責任者であった副署長も、彼の下で捜査を担当した刑事課
員も、また、捜査を指揮した東京地検八王子支部の支部長及び担当検事もことご
とく創価学会員だったのです。昭代市議をビルから突き落として殺害した人間は
創価学会関係者の疑いが強かったため、彼らは公僕としての義務よりも創価学会
への忠誠を優先させ、創価学会の組織防衛に走ったと思われます」と実名を伏せ
て原告の千葉氏(ほか3名)について記したところです。
第二に、「「沖縄ノート」は座間味島と渡嘉敷島の元守備隊長を原告梅沢及び
赤松大尉だと明示していないが、引用された文献、新聞報道などで同定は可能」
(共同電前掲)という点も、千葉氏らの名前を明示しなかったものの、「引用さ
れた文献、新聞報道などで同定は可能」であった私のケースと同じです。
第三に、「<大江氏は、>軍は当時、島民に「軍官民共生共死」の方針を徹底
した▽軍−沖縄守備軍−2つの島の守備隊のタテの構造で自決を押しつけた▽装
置された時限爆弾としての命令だった−などと<守備隊長集団自決命令説の信憑
性を裏付ける>独自の解釈を披露した。・・<ただし、>著書のどこを読んでも
そんな解釈は記されていない。」(産経新聞上掲)は、要するに私が、当該コラ
ムの中では書かなかったものの、裁判の過程で、『東村山の闇』を信頼できると
信じた理由を申し述べたことと同じ類の話です。
第四に、「<大江氏の>『沖縄ノート』・・は、公共の利害に関する事実にか
かり、公益を図る目的で出版されたと認められる」(共同電前掲)点も、私のコ
ラム#195と同じです。
第五に、「沖縄ノートは赤松大尉へのかなり強い表現が用いられている」(共
同電上掲)点も、あたかも私自身の見解のように、『東村山の闇』の要旨を紹介
したことに似ていると言えるでしょう。(これに加えて私が『東村山の闇』を読
み違えて千葉氏を創価学会員と記したという問題もあったわけだ。しかし、この
点は、千葉氏から訴えの提起があった時点で、別のコラムにおいて訂正しており、
しかもこのことについて謝罪する旨を更に別のコラムに記す用意があることを裁
判の過程で申し出ているので争点ではなくなったはずだというのが私のスタンス
だ。)
ところが、大阪地裁は「原告梅沢らが書籍記載の内容の自決命令を発したこと
を真実だと断定できないとしても、その事実は合理的資料もしくは根拠があると
評価できるから、書籍発行時に、家永三郎及び被告らが記述が真実と信じる理由
があったと認めるのが相当。被告らによる原告梅沢及び赤松大尉への名誉棄損は
成立せず、損害賠償や書籍の出版などの差し止め請求は理由がない。」という判
決を下し、大江氏らを勝訴させた(共同電上掲)のに、私の裁判では東京地裁、
高裁とも私に対し敗訴判決を下しました。
3 コメント
私は、「公共の利害に関する事実にかかり、公益を図る目的で」なされた言論
については、当該言論を行った者の側に重大な過失がない限り、真実性の証明・
・この場合は集団自決命令がなかったこと・・を名誉毀損を主張する側が行うべ
きだとするスタンスをとっているので、名誉毀損を主張する側である梅沢氏らに
よる証明が不十分であったとすれば、大江氏側が勝訴してしかるべきであったと
思うのです。
では、果たして証明は不十分だったのでしょうか。
(続く)
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太田述正 2007.09.30 朝鮮戦争をめぐって(4)
2008/03/31 18:06
太田述正コラム#2096(2007.9.30)
<朝鮮戦争をめぐって(その4)>(2008.3.31公開)
最終章たる朝鮮戦争から始めることにしましょう。
現在の日本人の多くは、占領史観の影響を受けた、戦前と戦後が断絶した歴史
観を抱いています。
ですから、朝鮮戦争についても、隣国で米軍と北朝鮮軍/中共軍とが戦った戦
争、といった程度の認識の人が多いのではないでしょうか。
このような認識は誤りです。
韓国軍が、初期の潰走の後、釜山一帯に追い詰められた釜山橋頭堡防衛戦線で、
(支援にかけつけた米軍とともに)頑強に抵抗したおかげで、韓米連合軍による
その後の反撃が可能になったことを忘れるべきではありません。
朝鮮戦争の主役はあくまでも北朝鮮軍と韓国軍であり、それをそれぞれ中共軍
と米軍等が支援した、ととらえるべきなのです。
北朝鮮軍は中共軍やソ連軍に属していた朝鮮族部隊をそのまま北朝鮮軍師団に
改編したものが殆どで練度が高かったのですが、その北朝鮮軍に対し、韓国軍は、
建国後に新たに編成された師団ばかりであって、その5年前まで日本帝国臣民で
あったところの、その多くが日本軍出身者であった将校(注2)が、まだ訓練が
十分ではなかった、やはりその5年前まで日本帝国臣民であった兵士を率いて戦
いました。
(以上、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%96%84%E7%87%81
(9月30日アクセス)、及び
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89
(9月28日アクセス)による。)
(注2)例えば、開戦時の韓国軍の参謀総長は蔡秉徳(日本陸士49期卒・元日
本陸軍少佐)、そして蔡の解任後の参謀総長は丁一権(日本陸士55期・日本陸軍
憲兵。後に首相)であるし、釜山橋頭堡防衛戦線で最も活躍した第一師団長は白
善○(「火」篇に「華」)(満州国軍官学校卒・元満州国軍中尉。後に陸軍参謀
総長・駐仏大使・交通部長官)。
そして北朝鮮軍は、1936年のソ連軍ドクトリンである『赤軍野外教令』に則っ
て戦い、韓国軍は、日本陸軍の『歩兵操典』に則って戦ったのであって、北朝鮮
軍と韓国軍の戦いについてみれば、朝鮮戦争は、1938年の張鼓峰事件や1939年の
ノモンハン事件、そして1945年の日ソ戦に引き続く最後の日ソ戦であるという意
味において、私の言う東アジア25年戦争の最終章だったのです。
(ここは、http://www.okazaki-inst.jp/?p=432(9月28日アクセス)を大い
に参考にした。)
それに、朝鮮戦争には、正真正銘の日本の武装部隊が参戦をしています。
海上保安庁の掃海艇(もちろん旧海軍由来)が戦闘地域である朝鮮水域で掃海
を実施した(注3)のです。
(注3)「10月6日米極東海軍司令官から山崎猛運輸大臣に対し、日本の掃海艇
使用について、文書を以て指令が出された。
1945年9月2日の連合国最高司令官指令第2号には、「日本帝国大本営は一切の掃
海艇が所定の武装解除の措置を実行し、所要の燃料を補給し、掃海任務に利用し
得る如く保存すべし。日本国および朝鮮水域における水中機雷は連合国最高司令
官の指定海軍代表者により指示せらるる所に従い除去せらるべし。」とあり、進
駐軍の命令により海上保安庁は朝鮮水域において掃海作業を実施する法的根拠は
一応存在していた。
もっとも、朝鮮水域は戦闘地域であり、そこで上陸作戦のために掃海作業をする
ことは戦闘行為に相当するため、占領下にある日本が掃海部隊を派遣することは、
国際的に微妙な問題をはらんでいた。
また、国内的には、海上保安庁法第25条が海上保安庁の非軍事的性格を明文を以
て規定していることから、これまた問題となる可能性があった。
そこで、日本特別掃海隊は日章旗ではなく、国際信号旗のE旗を掲げることが指
示された。
吉田茂首相の承認の下、米国海軍の指示に従い、10月16日に海上保安庁は掃海部
隊を編成し<、朝鮮水域に派遣し、掃海を実施し>た」
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89 上掲)
中国共産党との内戦に敗れて台湾に逃げ込んでいた中国国民党も朝鮮戦争への
参戦を希望したのですが、中共軍の参戦を惹起する懼れがあったので米国はこれ
を断っています。
なお、朝鮮戦争が勃発すると、台湾海峡を挟んで内戦が再燃することを懼れた
米国は、第7艦隊を台湾海峡に派遣しています。
(以上、http://en.wikipedia.org/wiki/Korean_War(9月28日アクセス)による。)
疎遠になっていた中国国民党と米国との関係修復もまた、朝鮮戦争を契機に成
ったのです。
このように見てくると、東アジア25年戦争の最終章、かつ最後の日ソ戦として
の朝鮮戦争は、それまで日本を敵視していた米国(や英国等)と中国国民党が、
初めて日本の側に立ってソ連と中国共産党と戦った最初にして最後の戦争であっ
た、という捉え方ができるのです。
朝鮮戦争の結果、南北併せて最高約300万人(南約100万、北最高約200万)の旧
日本帝国臣民たる一般市民、41万5,000人の旧日本帝国臣民たる韓国軍兵士、33,000
人の米軍兵士、約150万人の北朝鮮兵士(その中には多数の旧日本帝国臣民が含
まれている)と中共軍兵士が死亡しました
(http://www.latimes.com/features/books/la-et-rutten25sep25,0,190081,print
.story?coll=la-home-middleright。9月28日アクセス)。
この天文学的な犠牲、とりわけ旧日本帝国臣民の犠牲は、米国が旧日本帝国を
敵視し、先の大戦で旧日本帝国を瓦解せしめてさえいなければ生ずるはずがなか
ったことに鑑みれば、その責任は米国が一義的に負わなければならない、と私は
考えているのです。
(続く)
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